2018.11.26 「安倍内閣支持者に改憲阻止を働きかけよう」
       平和アピール七人委、高知市の講演会で訴え

岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 内外に向けて反核平和を訴え続けている有識者グループの「世界平和アピール七人委員会」が11月17日(土)、高知市の県民文化ホールで講演会を開いた。自民党が開会中の臨時国会に改憲案を提示する動きを示していることから、講演会のテーマは「改憲をさせないために何ができるか」。5人の七人委員会メンバーが改憲をさせないための方策を訴えたが、その中に「改憲を進める安倍内閣を支持する人たちに『騙されてはならぬ』と働きかけよう」という訴えがあり、聴衆の関心を集めた。

 講演会が七人委員会と、地元護憲団体の、こうち九条の会、女性「九条の会」高知の共催となったことから、講演会には「憲法公布72周年県民のつどい」の名称がかぶせられた。会場は約400人の聴衆で埋まった。

 講演会では、池内了委員(宇宙論・宇宙物理学者、名古屋大学名誉教授)が七人委員会の歴史と活動を紹介。その後、大石芳野委員(写真家)が「踏みにじられる人々の思い」、髙村薫委員(作家)が「誰も騙されてはならぬ」、武者小路公秀委員(国際政治学者、元国連大学副学長)が「新冷戦 二つの積極的平和主義を否定するトランプ『アメリカ第一主義』」、小沼通二委員・事務局長(物理学者、慶應義塾大学名誉教授)が「過去に戻らず、未来を拓くために」との演題でそれぞれ講演した。

 日本の戦前回帰をアジアの人々が懸念
 大石委員は、戦地で負傷した子どもたちや難民の写真を紹介し、「戦争は人災ですから、本気で止めようと思えば止められるものです。戦火に見舞われた国々に、もし日本国憲法の第9条のようなものがあったならば、この子たちは親や愛しい人を失うとか、武器で怪我をするなどの心身の傷を受けずに済んだだろうに……との思いを繰り返しながら付き合ってきました」「ところが今や、憲法をめぐる論議に揺れています。これまで当たり前のようにあった、戦争をしない、人権を守るといった生きることに必要な最低限の保障が変えられようとしているのです」と、改憲の動きに強い危機感を表明した。
 さらに、「こうした日本の現状をアジア諸国の人々も強い関心を持って見守りつつも、また戦前のような状態になりはしないかと心配しています」と、アジアの人々の間に高まりつつある懸念を伝えた。

 自衛隊明記は子どもでも分かる矛盾
 髙村委員は、まず「現時点では、私たちの国はとうてい改憲を目指し、推し進める状況にない」との認識を示し、「にもかかわらず、国民の意思とは関係のない、政治家の個人的な妄執による改憲の動きが出てきていることが最大の問題点である」と断じた。
 その上で「改憲を阻止するにはどうしたらいいか」と問い、「それには、二通りの道がある。一つは安倍内閣を打倒すること、もう一つは改憲をめぐる国民投票で自民党の改憲案を否決すること。安倍内閣を倒すには、支持率を下落させればよい」と述べた。だが、髙村委員は「これは容易なことではない。安倍内閣がどんなにウソをついても、この内閣を支持する人がなお4割もいるからだ。多くの人がいまだに安倍内閣のウソと不実に気がつかないためだ」「改憲問題で、安倍首相は9条の2項(戦力不保持と交戦権否認)を残して自衛隊を明記するだけ、と言っている。しかし、これは、子どもでも分かる矛盾だ」として「安倍内閣を支持する人たちに、今こそ、安倍内閣に騙されぬな、と呼びかけなくては」と話した。

 新冷戦に抵抗しよう
 武者小路委員は「トランプ大統領のもとで米国が打ち出した戦略は、核兵器を実戦に適するようにするために、その小型化を進めて潜水艦に搭載することだ」と指摘し、これにより、太平洋・インド洋と地中海・大西洋で米対中ロの海洋核軍拡競争を中心とする「新しい冷戦」が始まるだろうとの見方を示した。そして「米国と西欧と日本の市民は、反核・反帝国主義のために協力する平和学の『積極的平和主義』の立場から、一致・協力して、地球上の生命を全滅させかねない新冷戦に抵抗すべき時がきている」と述べた。
 また、「『アメリカ第一主義』のもとで、世界各地域でのマイノリティや先住民族や、移住労働者や難民を差別主義や憎悪扇動の対象とする世界規模の新しいファシズムが台頭していることを確認しよう」と語った。

 防衛省を防災省に
 小沼委員・事務局長は、第1次世界大戦終結以来の戦争廃絶への流れとヒロシマ・ナガサキ以来の核兵器廃絶への流れを紹介した後、「今、われわれは何ができるか」と問い、「相手の立場に立って考える」「現政権のもとでの憲法改定への動きと憲法空洞化が日本を弱体化していることを直視する」「少子高齢化・慢性財政悪化・国土狭溢の日本の軍事化は現実性がないことを確かめる」「被占領国意識を脱却し、安保条約と行政協定の不合理を直視する」「世界の潮流を見据えて、他国が脅威を感じない国にするために抜本的な路線見直しを行う」「すべての変革は少数派が支持を広げた結果であり、あきらめることなく、自信を持って着実に進む」などの実践を呼びかけた。
 さらに、小沼委員・事務局長は、防衛省を防災省に、自衛隊を災害救助隊に改組することを提案した。

 休憩後、池内委員の司会で、大石、髙村、武者小路、小沼の4委員によるパネル討論が行われたが、冒頭、池内委員の発言があり、その中で、池内委員は、安倍政権になってから世界の趨勢に逆らって防衛予算(軍事費)が年々大幅に増えていること、防衛省と企業による軍事転用可能な共同研究が拡大しつつあることを指摘し、「こうした事実に警戒心を強め、反対の世論を盛り上げよう」と呼びかけた。





Comment
管理人にだけ表示を許可する
 
TrackBack