2019.01.31 トランプ流「アメリカ・エゴイズム」の暴風が今年も吹き荒れる
  カネもヒトも出さなければアメリカの覇権は失墜するが…

伊藤力司 (ジャーナリスト)

2017年の1月20日に第45代アメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプ氏は治世3年目に入った。既にこの2年間「アメリカ・ファースト」という名の「アメリカ・エゴイズム」の暴風が世界に吹き荒れたが、3年目はさらに激しく吹き荒れそうだ。

国内でも、あと25年もすれば多数派人種でなくなる白人優位の体制を、是が非でも維持しようとするトランプ流はアメリカを真っ二つに分裂させている。実際問題として、人種差別をなくそうと長い年月を闘い続けてきたアメリカ民主主義の理想は、根本的に脅かされている。

昨年11月の中間選挙が連邦下院の多数派を野党民主党に与えたことで、新年のトランプ内政は昨年以上の難路に差し掛かっている。2020年の次期大統領選の火ぶたは切られており、トランプ氏にとって再選の可能性が問われる重大な年である。

過去2年間で、トランプ・ホワイトハウスの陣容は完全に一変した。成功したニューヨークの不動産業者であり、大衆的なTV番組の司会者として知名度が高かったとはいえ、政治にも行政にも軍務にも全く経験のないドナルド・トランプという人物が、厳しい大統領選を勝ち抜いて当選したこと自体が「アメリカの変調」だった。

そういう大統領を抱えた共和党は2年前、党内の政治、経済、外交、軍事のプロを呼び集めてホワイトハウスを構成した。素人のトランプ氏としては、そうした共和党の「お仕着せ」リストを頂戴する以外になかった。

しかし2年後の現在、主要スタッフで残っているのはスティーブン・ムニューシン財務長官だけだ。特にこの年末年始の間にホワイトハウスの要であるジョン・ケリー首席補佐官と重要閣僚のジェームズ・マティス国防長官が更迭されるという大ニュースが飛び込んだ。

筆頭閣僚である国務長官も、政権発足時に入閣したレックス・ティラーソン氏が昨年4月に更迭され、現在のマイク・ポンペオ長官がCIA(米中央情報局)長官から転任された。また同長官とともにトランプ外交を推進する安全保障担当の大統領補佐官にネオコン(極右)のジョン・ボルトン元国務次官が加わった。

こうして「自前」の政権を作り上げたトランプ外交の目標とは何か。それは基本的にはこれまでのアメリカ外交が最優先してきたアメリカの世界的覇権維持のために、アメリカの兵隊やカネを出さないですまそうということだ。
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