2019.02.25 IS(イスラム国)最後の拠点バグーズから住民救出
          ―IS残党はなお、1万数千人が分散、潜伏か

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 2014年以来、シリア、イラク両国で残酷な内戦、テロ支配を拡大し、両国軍やクルド人武装勢力、米軍をはじめとする国際有志国軍の攻撃でついに敗退したイスラム過激派テロ組織・イスラム国(IS)が、最後の拠点としたシリアの町バグーズで、人質状態で残っていた一般市民約300人が20日、無事救出された。よかった!

 7年間にわたり、イラク、シリア両国で残虐な内戦を広げ、最盛期の5年前にはシリア、イラクの8万8千平方キロ(日本の約4分の1)を支配、約20万人の一般市民の死者の大半を生んだイスラム過激派イスラム国(1S)。米空軍など国際有志国連合軍の空爆の支援を受けた、シリアのクルド人武装勢力シリア民主軍(SDF)に追い詰められ、最後の拠点シリアのイラク国境の市バグーズに1000~1500人の戦闘員が立てこもっていた。2万人を超える市民の大半が2月中旬までに市から脱出。最後に残った約2百家族、300人ほどの一般市民が、人質状態になっていた。
 バグーズはシリア、イラクを貫流するユーフラテス川の中流西岸に位置するシリアの地方都市。先月、同市を完全包囲したSDFは総攻撃を前に、ISと交渉を続け、最後に残った市民の無事救出に努力を重ねていた。交渉の内容は不明だが、人質状態の一般市民は解放し、ISは戦い続けることで合意したようだ。これまでの事例では、ISが降伏することは予想できない。
 グテレス国連事務総長によると、イラクとシリアに分散し、なおISの指揮下にあるとみられるISメンバーは1万3千人~1万4千人、うち3千人が外国人戦闘員だという。また、米軍主導の国際有志国連合軍の昨年7月の推定によると、ISはイラクに1万5千人~1万7千人、シリアに1万4千人~1万8千人だったが、その後トランプ大統領がシリアからの米軍撤退を宣言してからは、この推定は明らかにしていない。いずれにせよ、ISの残党が、かってのような大組織を再建することはあり得ない。。
 ISの残党の一部は、アフガニスタン、エジプトのシナイ半島、北、西アフリカのイスラム諸国に逃げ込み、現地で組織を温存させようとしているが、その規模は不明。アフガニスタンでは、数回、反政府爆弾テロを実行したと伝えられたが、タリバンはじめ現地のイスラム過激派の支持・支援は得られず、先細りになっているようだ。
 ISには、チュニジアなど北アフリカのイスラム諸国や英国やフランスはじめ欧州諸国、東南アジア諸国から計4万人程度が、ISに参加したと国際有志国連合軍は推定している。そのうち2017年10月までに約5千6百人が母国に帰ったとみられている。
 シリア民主軍(SDF)によると、ISの外国人戦闘員約800人を捉え拘束、外国人戦闘員と一緒にいた女性400~500人、子供約1千人を保護しているという。
 またイラクでは、ISの外国人戦闘員約1千人を拘束しているという。
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