2019.03.14 IS(イスラム国)の外国人戦闘員が現地に残した
子供や妻の保護が深刻な課題に

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 イスラム過激派が最後の拠点としたシリアの町バグーズから解放されたばかりの、英国人の母親の国籍を英政府が剥奪したため、生まれたばかりの赤ちゃんが母親とともに帰国できず、死亡し、英国内で政府への非難の声が上がっている。
 9日のBBC電子版は次のように書き始めているー「ジャビド内相に対し、シャミーナ・ベグムの息子がシリアのキャンプで死んだことについて、非難の声が上がっている。ベグムは15歳のときに、ロンドンからシリアに行き、IS(イスラム国)に参加した。彼女は、バグーズで3人目の子を妊娠(1人目、2人目は死亡)、今回、まだ十代の彼女は英国に帰国しようとしたが、ジャビド内相は彼女の英国市民権をはく奪、帰国できなくなった。
 彼女の家族の友人は、英国は赤ちゃんを保護することができなかったと語り、野党労働党は赤ちゃんの死について「冷酷で、非人間的な決定の結果だった」と非難した。
 英政府スポークスマンは、子供の死は「悲劇だ」と述べ、さらに「政府はつねにシリアに行かないよう忠告し、なにがあれ、国民がテロリズムに引き込まれ、危険な紛争地域に行くのをふせぐため、努力を続ける」と述べた。
 BBCによると、ベグムは、2015年に二人の友人と英国からシリアに向かった。
 彼女は、IS最後の拠点となり、ごく最近全滅したバグーズで、オランダ人の戦闘員と結婚、夫とともに生活してきた。相次いで子供を産んだが、医療施設もない、劣悪な生活条件のために二人とも死亡した。先月、3番目の男子ジャラーを出産、赤ちゃんと共にバグーズから救出された。彼女は、BBCの記者に、英国で静かにジャラーを育てることだけが願いです、と語っていた。彼女は息子とともに帰国することを願っていたが、英国内務省は彼女の国籍を奪い、彼女は帰国できなくなった。ジャラーは母親が英国籍の間に生まれていたので、英国籍になるはずだった。
 英国の「影の内閣」内相のアボット氏は、政府の対応を次のように非難したー「この件は、国際法に違反して無国籍者を作ったためだ。英国人の女性が国籍をはく奪された結果、罪のない子供が死亡した。冷酷で、非人間的な行為だ」
赤ちゃんを抱くBeg(坂井)
IS最後の拠点バグーズから赤ちゃんと救出された英国人シャミーナ・ベグムさん。非戦闘員だった。救出後、赤ちゃんとすぐ帰国しようとしたが、英政府から国籍をはく奪され、帰国できず、抱いている赤ちゃんが死亡した。赤ちゃんは英国籍になるはずだった。(BBC電子版3月9日の報道から)

 国連によると、2014年から2018年の間に、ISに加わった外国人戦闘員は、110か国から4万人以上。信頼度が高い英国の調査研究機関ICSRによると、2018年7月までにISに参加した外国人は、80か国から41,490人、うち男性32,809人、女性7、461人、子供4,640人。
 BBCが報道している出身地域別の人数はー
 中東・北アフリカ18,852人
 東欧7、252人
 中央アジア5,965
 西欧5,904
 東アジア1,063人
 アメリカ大陸、オーストラリア、ニュージーランド753人
 南アジア447
 サブサハラ・アフリカ244人
 西欧諸国のうち最大はフランスの約1,900人、2位はドイツの約950人
 3位の英国からは約850人(うち女性145人、子供50人)

 また、現在、イラク、シリアの拘置所に、約50か国、800人の外国人がIS関係者として拘留・投獄され、700人以上の女性と1,500人以上の子供が行方のないまま収容されている。
イラクで終身刑の女性(坂井)
ISのメンバーとみなされたフランス人女性は、イラクの法廷で終身刑を宣告された。(BBC電子版2月20日が報道したAFP写真)

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