2019.03.20 キム・ヨナが歌う3456 
         韓国通信NO594
                   
小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)

 キム・ヨナという名前を憶えていますか。金妍兒と漢字で表記すると、ますますわからなくなるかも知れない。一時期、浅田真央と女子フィギュアーのトップの座を争った韓国の選手。フィギュアースケートのフアンなら知らない人がいないくらい「チョー有名人」だ。<写真/キム・ヨナ選手>
韓国通信594写真
 浅田真央の可愛らしさ、優雅さ、懸命さに魅せられたファンは多いが、彼女はいつ転倒するのかとハラハラさせる選手だった。それに比べるとキム・ヨナは、いつも憎らしいほど落ち着いて堂々とした演技を見せてくれた。二人は良きライバル、そしてほぼ同時期に引退したが、キム・ヨナはリンクの外でも活躍を続けた。

 冬季オリンピック招致活動から始まり、2017年11月の国連総会の演説では世界平和を訴え、北朝鮮の五輪参加を呼びかけた。彼女の演説が実を結び、北朝鮮の平昌への参加が実現すると、劇的な南北首脳会談、米朝会談へと一気に進んだ。彼女は元スポーツ選手として見事に「南北親善大使」の役割を果たした。
 かつて米中の「雪解け」のはしりとなった「ピンポン外交」、1991年千葉幕張で開かれた卓球世界大会の「南北合同チーム」と「統一旗」が思いだされる。その陰に卓球の元選手、荻村伊智朗がいた。スポーツが政治を動かし、世界に希望を与えた。

 原発事故を隠し、金で「買った」と云われるオリンピック開催。オリンピック一色で国民を思考停止に追い込んで平和憲法を潰す改憲シナリオも見える。前のめりな原発の再稼働、地震、洪水、何が起きるかわからない。今、オリンピック会場づくりにブルドーザーがうなり、辺野古では基地づくりのブルドーザーがうなる。オリンピック精神とは相いれない汚らしい政治利用だ。

 キム・ヨナの話が横道にそれてしまった。
 先月、キム・ヨナが歌手デビューをして、3.1独立運動100年の記念ソングを発表した。奇妙なタイトル「3456」は、3.1独立運動(1919年)、4.19学生革命(1960年李承晩独裁政権追放)、5.18光州事件(1980年)、6.10民主化闘争(1987)からとった。どれも過去100年、韓国の民主化運動史上に輝やく民衆闘争である。
 歌詞は、「暗い闇の中でも走っている」に始まり、「星よりも明るい光だから たずねて行ける3456、みずから花咲く3456、真似のできない3456、永遠の歌3456」と続く。ポップ調で明るい歌声、男性歌手ハ・ヨヌとのデュエット。キム・ヨナは「これからの100年の希望になれば」と歌に込めた思いを語った。下のユーチュープから映像を見ることが出来る。歌詞に英語がついているので概略が理解できる。 https://www.youtube.com/watch?v=J6Krqse01zg
 
 沖縄県民の意思を「真摯に受け止めて」、埋め立てを強行する政府。安倍首相の公私混同と「ウソ」と「改ざん」の勢いは一向に衰えを見せない。朴槿恵元大統領は国政の私物化が露見して獄中にいる。日本社会のデタラメさからは、民主化闘争の歴史をさりげなく歌って見せたキム・ヨナの存在とその社会は信じがたい。
 去年は明治150年の年だった。日本は150年を振り返り、未来をどのように歌うのか。人気モデルのローラが辺野古埋め立て反対を呼びかけただけで、新聞記者の望月衣塑子記者がまともな質問をしただけで排除されようとする日本と韓国は大違いだ。
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