2019.04.10 大阪ダブル選挙で維新が圧勝
大阪維新はなぜかくも強いのか(1)

広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)

2019年4月7日投開票の大阪ダブル選挙で維新が圧勝した。それも知事選では約100万票、大阪市長選でも20万票近い大差をつけての圧勝だった。おまけに府議選では過半数を制し、大阪市議選でも過半数までにあと一歩に迫った。これで、大阪都構想に関する住民再投票の可能性が一気に現実味を帯びてきたように思える。なぜかくも大差がついたのか、なぜ大阪維新はかくも強いのか、表面的な観察ではわからないことばかりだ。この間にヒアリングした大阪自治体関係者の意見も含めて、私の見解を以下に述べてみたい。

第1は、維新支持層と自民支持層の投票行動の違いについてである。大阪府民と大阪市民を対象とした共同通信社調査(3月29~31日実施)によれば、自民支持率は府民31.3%と市民30.7%、維新支持率は18.8%と21.9%だった。ところが、朝日新聞の出口調査によると、大阪市長選では維新支持層が全投票者の44%を占めたのに対して、自民支持層は21%にとどまった。今回市長選の投票率は52%だから、維新支持層のほとんどが投票に行ったのに対して、自民支持層の3分の1は投票に行かなかったことになる。このことは、維新支持層が今回のダブル選挙で積極的に投票行動に参加し、自民支持層に無関心派が多かったことを示している。

第2は、維新支持層と自民支持層の投票先の違いである。維新支持層は圧倒的多数(97%)が維新候補に投票しているのに対して、自民支持層が自民候補に投票したのは67%にとどまり、33%が維新候補に流れた。(共同通信社の出口調査ではさらにこの傾向が激しく、自民支持層の50%が維新候補に投票している)。これは、自民党大阪府連のダブル選挙に関する態度や方針が最後までバラバラなので(首相官邸と通じている国会議員がそれぞれ勝手な情報を発信している)、自民支持層の票固めが出来ず、選挙は事実上の「自由投票」と化していたからである。

第3は、選挙中に大阪都構想や入れ替わり選挙に対する有権者の態度に変化が生じたことである。選挙前の共同通信社調査では、大阪府民は大阪都構想賛成46.5%、反対34.3%、大阪市民は賛成44.2%、反対41.4%だったが、これが出口調査では大阪府民賛成60.5%、反対34.8%、大阪市民賛成57.6%、反対40.2%に変化していた(自民支持層でも48.7%が賛成)。反対の割合はほとんど変わらなかったが、賛成の割合が増えたのは都構想賛成派がより多く投票に行ったからであろう。

また選挙前、入れ替わり選挙については、大阪府民の場合「理解できる」46.3%、「理解できない」44.2%と賛否が拮抗し、大阪市民の場合は「理解できる」38.5%、「理解できない」51.7%とむしろ拒否姿勢が強かった。ところが、これも出口調査では、大阪府民「理解できる」55.7%、「理解できない」40.2%、大阪市民「理解できる」54.0%、「理解できない」43.6%に変わった。これは選挙中の維新候補の主張が浸透したことに加えて、理解派がより多く投票に行ったためと思われる。

以上、主として政党支持率で半数を占める保守層(自民支持層、維新支持層)の動向を分析したが、総じて維新が候補者・支持層ともに積極的であり、自民は府議・市議候補者の覇気のなさと支持層の無関心が重なって歴史的な敗北を喫したと言える。大阪の保守層が維新支持層と自民支持層に分裂し、その中でも自民支持層が劣化していく様子が典型的にあらわれたのが今回のダブル選挙だったのである。

しかし、それ以上に注目すべきは、大阪における革新勢力の弱体ぶりと不甲斐なさであろう。まず選挙前の共同通信社調査の政党支持率(カッコ内は大阪市)は、自民31.3%(30.7%)維新18.8%(21.9%)でほぼ半数を占め、これに公明7.1%(8.6%)を加えると6割前後の比重を持つことになる。残りの4割のうち「支持政党なし」の無党派層が30.9%(30.3%)を占めるので、野党各派は全部寄せ集めても10%にも満たない。内訳は、立民3.5%(2.2%)、共産3.3%(3.5%)、国民1.1%(0.4%)、社民0.7%(0.6%)、自由0.4%(0.3%)というものだ。これでは大阪維新に対抗できるわけがない。

加えて今回のダブル選挙では、無党派層の過半数と革新勢力やリベラル野党の少なくない部分が維新候補に投票しているのだから、その理解に苦しむ。共同通信社の出口調査によると、無党派層の維新候補への投票割合は知事選61.5%、市長選56.5%(以下同じ)の過半数に達し、立民は30.4%と32.2%、共産は29.5%と27.8%と3割前後が維新候補に投票しているのである。この現象は大阪都構想反対一本やりでは野党支持層をも引き付けることができないことを示しており、政策面での抜本的な革新が求められているのではないか。(つづく)

Comment
岩波の『世界』4月号の立命館大学の森裕之氏の「都構想・万博・カジノ―分断都市大阪の民主主義」で以下のように書かれているところに注目。「大阪の市民が維新政治を支持してきた最大の理由は、漠然と感じてきた財政の無駄遣いに対する批判にあった」。その「漠然と感じられる」というところにアンタッチャブルな公費の使われ方があったのだと思いますが、どうなのでしょうか。
https://www.iwanami.co.jp/book/b442808.html
K.M (URL) 2019/04/11 Thu 02:08 [ Edit ]
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