2019.08.21 日韓関係悪化を報道する世界のメディア
英BBC国際電子版から(2)

坂井定雄(龍谷大学名誉教授)

日韓の貿易紛争が世界の電子産業への供給に大打撃か(BBC 2019.7.23)
日本と韓国の貿易紛争が、両国の国境を越えて世界全体の電子産業に危機をもたらしつつある。

 この争いは、韓国が半導体とディスプレイ・スクリーンの製造に必要としている工業物資の輸出を、日本が制限することから起こった。
 日本はさらに、より強硬な貿易制限の可能性を警告した。
 この日本の動きに、韓国は怒りの反応を巻き起こし、韓国の文在寅大統領は、「韓国経済にとって予想外の緊急事態だ」と表明した。
 韓国の当局者は23日、世界貿易機関(WTO)総会の会合に、この紛争を持ちこむ。
 韓国は日本が国際的貿易ルールに違反しており、この制限措置を撤回しなければならない、と国際社会を説得することを望んでいる。
 この燃え上がった紛争は、外交上の争いに貿易を武器として使う最新の事例とみられている。
 今回の事例について、テンプル大学ジャパンのロバート・デュジャレット現代アジア研究所長は、「双方とも相応な主張がある」「この問題は50年前以来のことで、今に始まったことではない」と述べている。
日韓の問題をどう理解すればいいのか
 両国は1910年から1945年の日本敗戦まで、日本の植民地支配の歴史を共有している。
 昨年、韓国の最高裁判所は、日本企業に対して、戦時下に強制労働をさせた補償として補償金を支払うよう判決を下し、長年にわたる緊張を再燃させた。
日韓間の根強い対立
 この判決は、日本からの非難を引き起こした。日本は、1965年に隣接する両国の関係が正常化した時に解決済みだと主張した。
 7月、日本政府は、韓国の重要電子産業に対して、輸出管理を強化した。
 しかし、多くの人たちは、この輸出管理強化の正当化を疑っている。
 テンプル大学のデユジャレット研究所長は「この輸出制限には、3種類のハイテク製品〈フッ化ポリイミド、フォトレジスト、フッ化水素〉の輸出制限が含まれる。日本はこれらの物質の卓越した生産国で、メモリー・チップやディスプレイ・スクリーン製造の必需品。それらは韓国の最重要産業なのだ」と説明している。
 IHS Markit によると、韓国のハイテク巨大企業サムスン電子とSK Hynixは、世界のメモリー素材の約60%を輸出している。
 サムスンのスポークスマンは、「現状を再評価している。わが社の生産への影響を最小にする対応策を検討している」と述べた。SK Hynixはコメントを避けた。
 日本の輸出規制がハイテク材料の売買を阻止するわけではないが、日本の輸出業者はハイテク材料を韓国に販売する許可を得ることが必要で、輸出の遅延や行き詰まりを生む可能性がある。
 日本政府は輸出優遇国(ホワイト国)から除外するだろう。その結果、さらに多くの韓国への輸出品が影響を受けることになるだろう。
韓国はどう反撃するか?
 この争いは韓国の強い反応を引き起こした。ビールから日本への旅行まで、ボイコットが広がっている。(了)

 (筆者注)前回は最近(8月12日)のBBCの報道を紹介したが、今回は月23日のBBCの報道を紹介した。次回は8月2日、5日の報道まで紹介したい。

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