2019.09.05  アフガニスタン戦争解決に転機
  米国・タリバン交渉合意、政府とはこれから

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

本欄でも途中経過をリポートしてきたが、昨年10月から中東カタールで断続的に行われてきた、米国とアフガニスタンの反政府勢力タリバンの和平交渉が、9回目の9月1日、基本的合意に達した。トランプ米大統領の承認はこれから。米交渉団のカリルザーデ代表がテレビとの会見で明らかにした。合意によると、米軍は現在、アフガニスタンの5基地に1万4千人残留しているが、135日以内に5,400人が撤退する。タリバンのスポークスマンも、英BBCに対して、カリルザーデの説明は正確だと述べた。
今回の米・タリバンの合意について、ガニ・アフガニスタン大統領は直ちに最側近と協議を始めたと英BBCは伝えている。ガニ大統領は、アフガニスタンでの戦争に「米国政府と社会は5千億ドルの負担をしてきた」と述べたことがある。
政府側もタリバン側もこれまで直接交渉を拒絶してきたが、タリバンは米代表団に対して、政府側との交渉に前向きな姿勢を示しており、ガニ大統領が交渉入りを受け入れる可能性もある。そのためには、まず双方が停戦を取り決めることが必要だろう。
英BBCの著名な女性記者ライス・ドウセット記者はカブールから「残りの米軍をどうするかは、アフガン政府とタリバンの間の和平交渉と停戦次第だ」と伝えている。
また、多くのアフガン人は、やっと手に入れた人権と自由が失われることを恐れているという。タリバンは1996年から2001年の支配の下で、厳しい宗教上の規制を国民に強制したからだ。
BBCによると、昨年来、タリバンはアフガン国内の70%で活発に活動している。2001年以来、国際治安支援部隊約3,500人(うち米軍は2,300人以上)が死亡した。また、ガニ大統領によると、2014年以来、アフガン政府軍4万5千人以上が死亡した。一方、2019年2月の国連機関報告によると、これまでに民間人3万2千人以上が死亡、6万人以上が負傷している。
米国防総省によると、米国がアフガニスタンでタリバンとの戦争を開始した2001年10月から2019年3月までの支出は7600億ドルである。
一方、アフガニスタンの人的損失、戦争経費を系統的に調査しているブラウン大学ワトソン研究所によると、この間の戦争経費は1兆ドル近く、アフガン政府軍関係者5万8千人、敵の戦闘員4万2千人が死亡している。
(了)
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