2019.09.11  厚労省改革若手チームが緊急提言
  この機会に労働法に接してみよう

杜 海樹(フリーライター)

 厚生労働省内の業務改革・組織改革こそが必要ではないかと、8月26日付で厚生労働省改革若手チームが「厚生労働省の業務・組織改革のための緊急提言」と題する提言書を公表した。
 
提言書によれば、厚労省に入省しても「生きながら人生の墓場に入った・・・」といった感想を抱く職員がいるほど職場が疲弊しているといい、若手を対象としたアンケートでも仕事が心身の健康に悪影響を与えるが58%、職員を大事にしない職場であるが45%といった結果になっているという。そして、他の省庁と比べて厚生労働省の職員1人あたりの業務量は著しく増大しており、厚生労働省自身が早急に働き方改革をおこなう必要性がある、残業代についても正当な額が支払われるべきだとしている。
 
厚生労働省と言えば、少子高齢化問題、年金問題、最低賃金問題等々生活に直接関わる重要課題を抱えている国民生活の要の行政機関だ。労働面においては、労働基準監督署、ハローワーク、労働委員会などを設置している。本来であれば、労働基準法の不正を正す立場にあるのが厚生労働省であろうが、不正がまかり通っている実態が内部からの指摘でも明らかとなってきたわけだ。かつてから中央省庁は霞ヶ関の不夜城などと揶揄されるくらいの残業温床地帯ではあったが、内部から改善の声が公表されることなどはほとんどなく、今更何を・・・?と思われる方もいるかもしれないが、ようやく中央省庁においても労働条件の改善が口にできるようになってきたということは歓迎すべきことであろう。
 
厚生労働省の職員等が加入している全労働省労働組合などは、ILO条約や日本国憲法を遵守し、職員の増員で労働行政の整備・強化を図ることが極めて重要であるとして「現下の雇用失業情勢をふまえた労働行政体制の拡充・強化をめざす請願署名」の取り組み等をおこなって来たりもしていた。しかし、それでも、事態の改善にはなかなかつながらないというのが実態であったのであろう。緊急提言が出された機会に何らかの変化が生まれることを期待したいところだ。
 
世間一般では、いわゆる「ブラック企業」問題が取り沙汰されているが、厚生労働省自身が長時間労働、残業代未払云々では日本の労働問題の改善等は進むわけがないであろうから。
 霞ヶ関の中央省庁にお邪魔することがよくあるが、近年の省庁内の光景は、コンビニエンスストアで買ったサンドイッチや菓子パンを貪りながら薄暗い部屋で1人パソコンと睨めっこをしているといったところで、ホントに大丈夫?と思ってしまうことが度々ある。
 厚生労働省なのであるから、労働法くらいは当然知っているだろうとつい勝手に思ってしまうが、近年、労働法を学校で教えないところも多いことから、職員として入省して来ても労働法を知らない可能性の方が高いのかも知れない。また、一般サラリーマンにあっては労働法など一度も目にしたことがないのかも知れない。労働法も、労働基準法はもとより、労働組合法、労働関係調整法、労働安全衛生法・・・と多岐にわたっている。今回の緊急提言を契機に労働法に目を通してみるのも良いことかも知れない。参考までに、労働基準法の主要部分を簡単に抜粋し紹介しておく。

労働基準法 ~抜粋~
第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。 
2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
第5条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
第37条 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
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