2019.09.25  年配層は「侵略戦争」、若者は「やむを得なかった」
          信濃毎日新聞が調べた老若の戦争観

岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 この9月19日付の本欄で、日本の新聞が8月15日の「終戦の日」前後に掲載した戦争に関する記事の内容について紹介したが、国会図書館で全国の日刊紙53紙に目を通していて、ひときわ私の目を引いた記事がいくつかあった。その1つが信濃毎日新聞の記事で、その中でも「昭和の戦争」に対する年配層と若者の見方を比較した記事だった。

 今夏、信濃毎日新聞の戦争に関する報道は極めて積極的だった。
 それを端的に示していたのは8月11日付朝刊の紙面だ。同社はこの日から、戦争に関する2本の続き物を同時に始めた。
 1本は第2社会面での「戦後74年 今、語らねば」である。これは、同月23日まで9回続き、元満蒙開拓団員(86歳)、インパール作戦に参加した元兵士(97歳)、長野空襲の被害者(89歳)、ソ連によるシベリア抑留者(103歳)、特攻艇隊員の生き残り(93歳)、満州(中国東北部)にあった731部隊の見習い技術員(89歳)、弟を戦争で亡くした元海軍兵士(93歳)らを登場させ、その体験を語らせていた。

 もう1本は、第1社会面での「空に問う平和 信州と日米安保」で、同月16日まで5回続いた。これは、今年5月ごろから同県の佐久地方で米軍の輸送機、南信地方で米軍のオスプレイ(垂直離着陸機)が目撃されるようになった事実を取り上げ、なぜこのようなことが起きるのかを追求したもので、日米安保条約の中身や米軍基地と隣り合わせで暮らす沖縄県民の生活を報じていた。

 これらの続き物とともに私の興味を引いたのは、同紙が8月14日付と15日付の「くらし」面で展開していた「いまどきトーク! 昭和の戦争どう思う?」という企画記事だった。
 同記事によれば、「戦後74年」を機に、若者と年配者に「今、昭和の戦争をどう思っていますか?」と尋ねた。具体的には以下のような4つの回答を示し、選んでもらった。
 侵略戦争であり、避けるべきだった
 国際情勢からして、やむを得なかった
 敗れたけれども、大義名分のある戦いだった
 いろいろ評価があって、分からない

 若者については、7月17日、長野、松本両市で、16歳から30歳までの若者30人に街頭で尋ねた。一方、年配者については、「くらし」面で60代から90代の回答者を募り、応募してきた26人に尋ねた。
 その結果はどうだったか。同記事によれば、次のようだった。
<若者>37%、30%、23%、C7%、どれでもない3%
<年配者>65%、どれでもない15%、12%、8%、0%

 どうやら、おおまかに言って、昭和の戦争を、若者は「やむを得なかった」、年配者は「侵略戦争」と見ているようなのだ。が、サンブルが少ないし、それに、新聞が行う世論調査のやり方(無差別抽出)とは違った調査の結果だから、若者や年配者の意識を正確に反映したものとは言えない、と反論する人がいてもおかしくない。でも、この結果から、それぞれの年代が過ぐる戦争に対してもつ見方を垣間見ることができるのではないか。

 この企画記事は、回答者から寄せられた意見の一部も載せている。年配者で「A(侵略戦争であり、避けるべきだった)」と答えた人が寄せた意見にはこんなものがあった。
 
 満州で終戦を迎えた長野市の男性(97歳)「今でもあの戦争は明らかに日本の侵略戦争であって、避けるべきだったと思っています」
 松本市の女性(69歳)「日本人はアジアの他民族に対する優越感があり、べっ視し、差別感情を持っていた。『その国土を支配してやらなければならない』という傲慢さによって、軍事力で支配してしまったと思っています」
 9歳で終戦を迎えた松本市の女性(83歳)「父は、体が弱かったので兵隊になれず、ダム工事で仕事していた。強制連行された朝鮮の人たちもいて、食事もろくにやらず働かせるので、栄養失調で亡くなる人がいたり、逃げ出す朝鮮人を殺してしまう軍人がいたりして、『なぜ、こんなひどいことを』と、父は涙ながらに語っていた」
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