2019.10.07  空振りに終わるかもしれない立憲民主の政権構想、言葉は勇ましいが中身がない、
          程遠い野党連合政権への道(2)

広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
 
 一般的に言って政権交代が現実味を帯びるのは、政権与党に対する世論の批判が極度に高まり、野党第1党あるいは野党各党の支持率が与党を上回るような状況が生じたとき、あるいは無党派層が雪崩を打って野党側の支持に回ったときだとされている。2009年8月の衆院選で民主が自民から政権を奪取した時は、それ以前の段階で世論に大きな変化が生じていた。共同通信の世論調査によれば、2009年6月の麻生内閣支持率は17%、政党支持率は自民19.8%、民主38.5%、衆院選比例区の投票先は自民18.7%、民主47.7%だった。

 これに対して、現在の世論動向はどうか。直近の19年9月調査によれば、安倍内閣支持率は各社ほとんどが50%を超え(カッコ内は前回調査)、政党支持率でも自民は断トツ1位(3~4割台)、野党は各党全て合わせてもその半分にも満たない(1~2割弱)。これではどう足掻いても政権交代など「夢のまた夢」としか言いようがない。

内閣支持率与党支持率野党支持率
  自民公明維新立民国民共産れいわ無党派
共同55.447.73.32.853.8101.53.13.41823.9
 (50.3)(40.9)(5.1)(3.8)(49.8)(10.0)(1.4)(4.3)(4.3)(20.0)(26.6)
朝日4837334371321335
 (42)(34)(5)(4)(43)(10)(1)(4)(1)(16)(30)
読売5338524551411139
 (58)(41)(4)(3)(48)(7)(1)(2)(0)(10)(37)
産経51.739.53.52.745.78.61.42.72.214.932.9
 (46.6)(37.4)(4.6)(3.4)(45.4)(8.7)(2.0)(3.4)(1.6)(15.7)(31.9)
毎日5034554481221336

 加えて、3分の1前後を占める無党派層が必ずしも野党寄りとは限らない。2019年参院選の出口調査(共同通信)によると、全投票者数に占める無党派層の割合は20%で6割弱しか投票に行かず、しかも投票先は与党側が自民24%、公明7%、維新12%で計43%、野党側は立民21%、国民7%、共産11%、社民3%、れいわ10%、計52%とそれほど違わなかった。

 NHK世論調査(19年8月)は、今回参院選における野党の選挙協力を踏まえて次期衆院選での野党協力を進めるべきかどうかについて尋ねている。回答は「野党4党の連携を次の衆院選挙でも続けた方がよい」27%、「続けない方がよい」19%、「どちらともいえない」44%というもので、多くの有権者は判断に迷っている状況がうかがえる。有権者は野党共闘が掲げる政策に賛同しても、与野党間の余りも大きい力関係の差からして、それがどれだけ現実性があるかを疑っているのである。

 こんな折しも折、9月30日に立憲民主の党大会が開かれ、10月3日の結党2年を前に次期衆院選への活動方針が採択された。枝野代表は、冒頭のあいさつで「次の総選挙での政権交代を実現すべく、全ての活動を進めていく。問われているのは野党の本気度、野党第1党たる立憲の本気度だ」と決意表明した。活動方針には、統一会派結成を政権交代への第一歩と位置づけ、臨時国会がその試金石になると明記された(毎日10月1日)。

 だが、各紙の扱いが挙って小さかったように、枝野代表の決意表明は言葉は勇ましいものの、肝心の政権構想がほとんど明らかにされていない点が気になる。活動方針には、政権構想を練る「代表直属チーム」の設置が盛り込まれただけで、すべては「これから」で内容(意味)不明だ。これでは、小泉環境相の国連発言と同じく「威勢は良いが中身がない」印象を与えるだけで、立憲民主はもとより野党共闘がどんな方向に進んでいくかわからない。

 問題は、消費税に対する各党のスタンスの違いが極めて大きいことだ。毎日新聞(9月17日)はこの点を手際よく解説している。れいわの山本代表は、9月12日の志位共産党委員長との共同記者会見で「消費税5%への引き下げ」を野党共闘の前提条件にすることを強調した。しかし、立憲民主は「まずは8%に凍結すべき」とする方針でそれ以上一歩も踏み込んでいない。消費税減税に対する最も強硬な反対意見は野田社保代表からのもので、「(増税)凍結とかいい。ただ、減税、廃止までするとベクトルが違う」と断言している。消費税増税方針を自民・公明と3党合意した張本人の野田前首相が、そんな「減税、廃止」と言った話に乗れるはずがないからだ。

 加えて10月1日からは消費税10%が実施され、今後は日に日に既成事実化していく。一旦動き始めた10%税制を8%、5%に戻すのは容易なことでない。立憲民主、国民民主、社保の3党会派による統一会派結成は、消費税10%は「織り込み済み」と考えるのが自然だろう。まして、立憲民主、国民民主を組織的に支援する連合が、10%実施を求めてきたのは周知の事実なのである。

 志位委員長は8月27日の記者会見で、「政権をともにする政治的合意、政権が実行する政策的合意、選挙協力の合意の3点がそろえば、野党共闘が本当に力あるものになる。国民のみなさんに『野党は本気だ』『本気でいまの政権を変えて新しい政権をつくろうとしている』と〝本気度〟が伝わって、選挙で勝つことができると考えている」と訴えた。枝野代表も9月30日の党大会で「選挙での政権交代を実現すべく全ての活動を進めていく。問われているのは野党の本気度、野党第1党たる立憲の本気度だ」と応えた。これだけみると、〝本気度〟の共演が始まったかのような印象を受ける。

 ところが、志位委員長は9月30日、「消費税廃止をめざし、緊急に5%に減税を」とする各党への呼びかけを突如発表し(赤旗10月1日)、消費税減税に向けた新たな野党協議と共闘を呼びかけた。この方針転換は、れいわの山本代表との共同記者会見を踏まえてのものであろうが、野党統一会派(立憲民主、国民民主、社保+社民)が到底呑めそうにもない新たな政策を野党共闘の条件に提起したのである。その意図はいったいどこにあるかまだ分からないが、この提案はこれからの野党共闘の行方を考える上で重大な分岐点になるような気がする。

 方針転換の背景には、消費税10%実施後の景気後退が世論変化の切っ掛けとなり、自民1強体制を切り崩す絶好の機会になるとの情勢判断があるのだろう。総選挙はいずれ行われるが、その場合、野党全体で政策が共有されなくても共産とれいわが「5%減税」の旗印を掲げれば、安倍政権に一矢を報えると考えているのではないか。この新たな提案は、従来の野党間の政策協定の域を超えるものであるだけに、場合によっては野党共闘フレーム全体の再編に及ぶこともあり得る。有体に言えば、野党共闘体制から共産が離れてれいわと共同戦線を組み、野党が統一会派と共産・れいわに二分されるというものだ。

 この方針転換は、このところ党勢後退が著しい共産にとっては野党共闘に埋没するリスクを回避し、党勢の回復を図るための「秘策」なのかもしれない。そのとき、これまで野党共闘を支えてきた市民グループがどう動くか、それが衆院選小選挙区の候補者調整にどう影響するか、これからの情勢は極めて流動的だ。(つづく)
Comment
国会議員のみなさんは町のスーパーマーケットへ買い物に行ったことがあるでしょうか。景気や消費はものすごい勢いで悪化しています。

今までは生鮮食料品の安売りは当日の消費期限切れが夕方出ていたのが、消費税10%になってから消費期限がまだ1日か2日あるのに、昼ごろから30%引きか半額になっている。

昨日の昼には肉、魚すべてがそうなっていてたまげてしまった。これではお店はやっていかれないでしょう。客も安くて腹持ちのする脂っこいものを買っている。だからやたらブクブクした不健康な人が増えました。

コンビニ弁当に頼る人は自炊したら光熱費や調味料に金がかかるからこれにしているという。それも1食を2回に分けて食べている。
他人事ではありません。私も買い物は3日に一度に減らしました。

日本は恐ろしいことになっています。
K.F (URL) 2019/10/08 Tue 09:22 [ Edit ]
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