2020.01.06  記憶と反省と想像 (5)
   韓国通信NO625

小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)

「内憂外患」の連続だった韓国・朝鮮の歴史。中国に隣接する地理的な条件に加え、日本の存在が、外患、いつも「災いの元」だった。
日本からの解放後も棘の道を歩まなければならなかった。沖縄と北方領土いう例外はあるが、日本は分断を免れ、「タナボタ」という表現には異論があるかも知れないが、「民主化」を享受する道を歩んだ。戦後韓国が歩んだ道は、日本は関係がないように見えるが「災いの元」日本とは無縁ではなかった。
日本人は1945年以降の隣国に対して無関心であり続けた。日本人が韓国を「発見」したのは、「民主化宣言」(1987/6/29)の翌年の88年ソウルオリンピックだった。それまでの韓国は魅力が乏しく観光にでかける人は少なかった。ところが、夜間外出禁止令に象徴される韓国に劇的な変化が生まれた。私が初めて韓国を旅行したのも、「民主化宣言」直後の87年10月だった。「
民主化宣言」にいたる歴史を復修(さら)ってみた。

<済州島4.3事件から朝鮮戦争へ>
「済州島4.3事件」(1947)では島民8万人が虐殺された。占領軍でもない米軍政が韓国政治に公然と干渉し、政府軍と右翼に「済州島4.3事件」(1947)では島民8万人が虐殺された。占領軍でもない米軍政が韓国政治に公よる虐殺事件を起こした。未曽有の虐殺の真相と責任は闇に閉ざされたままだ。
同胞が血で血を洗う朝鮮戦争は明らかな米ソの代理戦争だった。国土は廃墟と化し、南北あわせ530万人という犠牲者は、実に総人口3,500万人の6分の1にあたる。離散家族は今でも1千万人といわれる。
二つの事件は韓国社会を決定づけた。極端な反共国家へ、軍事政権が生まれる素地となった。日本は戦争特需で経済復興を遂げた以外は無関心だった。
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<写真/避難民たち 東亜日報>

<4.19学生革命>
南朝鮮(韓国)の初代大統領李承晩は朝鮮独立運動の功労者だが、アメリカの傀儡でもあった。また「李承晩ライン」によって多くの日本の漁船が拿捕されたため、日本人の韓国に対する悪感情が生まれたことも否定できない。
李承晩の腐敗独裁政治に「ノー」を叩きつけた4.19学生革命は、日本の60年安保闘争と全く同じ時期に起きた。高校生によって始められた運動は全国に波及、流血の事態は186人を超す死者を生んだ。政府は戒厳令で対決したが、結局、李承晩はアメリカからも見放されアメリカに亡命。その後起きた朴正熙の軍事クーデターによって韓国社会は長い「冬の時代」に入る。
日本の新安保条約は自然承認となり、岸首相は退陣。政権は池田内閣に引き継がれ、日本は高度経済成長時代に突き進んだ。60年安保闘争は戦後最大の反政府運動と評価される一面、学生運動、労働運動の挫折の歴史として語られることが多く、いまや人々の記憶から消えようとしている。
韓国憲法の前文で、4.19学生革命は3.1独立運動とともに継承すべき輝かしい偉業として記されている。独裁政権と闘う民主化運動の精神的支柱として人々の心に生き続ける。

<アメリカが主導した日韓条約>
4.19学生革命、60年安保闘争から5年目に締結された日韓条約に日韓双方で反対運動が繰り広げられた。私が通っていた大学でも「日韓条約粉砕!」の立て看板が掲げられ、デモへの参加呼びかけが盛んに行われた。60年安保闘争に参加した私は日韓条約が新安保条約の延長上にあると理解したが、就職試験を前に反対運動に参加するゆとりはなかった。日本側は反米闘争、護憲の色彩が強く、韓国側は日本に対し植民地時代の清算と謝罪を強く求めた。同じ反対運動だったが、日韓での意識のずれは大きかった。また、韓国の反対運動は数倍も規模が大きく、先鋭化した。
日韓の国交正常化はアメリカの極東戦略の一環だった。ベトナム戦争の激化によって、韓国は派兵、日本は後方支援を米国から求められた。憲法の制約があって日本は派兵ができなかった。
無償3億ドル有償2億ドルという経済協力資金を得るために朴政権は反対勢力を力で押さえ込んで締結を強行した。朴大統領は金で韓国の心を売ったと批判された。日韓条約反対運動は4.19以後最大の反政府運動だった。
韓国政府は経済協力資金を利用して「漢江の奇跡」といわれる経済発展を遂げたが、経済協力資金は軍事政権維持のためにも使われた。日本が軍事政権を支えたといわれる所以だ。<次号「光州事件」へ続く>

NHKへモノ申し
「桜を見る会」問題で安倍内閣は窮地に追い込まれている。今年の桜が散る頃が見ものだ。

12月17日、大阪高裁が森友学園に対する国有財産払い下げ額を明らかにしなかった国に「有罪」判決という画期的なニュースが飛び込んできた。
「隠匿」「改ざん」を常習とする政府への痛打である。まっとうな判決に希望を感じながら、その日の夕方7時のNHKニュースがこれをどう伝えるか見守った。
その日のトップニュースは池江璃花子の退院のニュース(5分)、続いて共通試験での記述式国語と数学の見送り(5分)、聖火リレー関連(7分)、予算編成閣僚折衝(3分)、立憲・国民の合流(2分)と続き、最後まで大阪高裁の判決は報じられなかった。
「またやったかNHK! 」と憤慨、次のメッセージをNHKに送った。
「森友学園への国有地売却額を不開示にした政府に対して大阪高裁が不開示決定は違法とする判決を下した。政府にとっては厳しい判決で大打撃だったはず。しかし全く報道されなかった。安倍内閣に対する忖度もいい加減にして欲しい。ニュースの順番、時間についてチェックしている視聴者がいることを忘れないでほしい。最近のNHKのニュース選択は異常だ。反省を求めても無理なのかも知れないが、抗議だけはしておきたい。回答をいただけるならそれにこしたことはない」。今のところ回答はない。グチを言わずNHKを育てよう。

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