2020.01.01  2020年の年頭にあたって
         まだすることがある
                       リベラル21運営委員会

題字下にあるように、われわれが「護憲、軍縮、共生を掲げてネット上に市民のメディア、リベラル21を創った」のは2007年の春であった。以来、13回目の新年を迎えたことになる。なにはともあれここまで続けられたことを同人各位とともに喜びたい。同時にわれわれの支えとなってくれている読者にこころから感謝申し上げる。
創刊時、わが国は前年秋に小泉内閣に代わって第1次安倍晋三内閣が発足して半年というところであったが、当時掲げたスローガン「護憲、軍縮、共生」が2020年の今日、いささかも古くなっていないことに驚く。古くなっていないどころか、「護憲」はまさに眼前の課題としてより差し迫ったものとなっているし、「軍縮」も「共生」も残念ながら色あせない。
われわれに先見の明があったと言いたいわけではない。課題のほうが解決に向かうどころか、深刻さを増していることに改めて感じ入っているのである。
第二次大戦後、世界は東西両陣営に分かれて対立し、時には第三次世界大戦が現実のものに見えた時期もあった。その冷戦は幸いなことに1989年末、地中海マルタ島での米ソ(ブッシュ・ゴルバチョフ)首脳会談で終わりを告げた。世界は大きな脅威から解放されたはずであった。
あれから30年、つい最近の12月27日、ロシア、中国、イラン3国がイラン近海のオマーン湾で初の合同軍事演習を始めた。イランへの制裁強化を主張するアメリカがホルムズ海峡、オマーン湾で有志連合による「番人(センチネル)作戦」を11月から展開していることに対してイランの友好国の中国、ロシアが牽制に出たと見られている。
東西冷戦の終結によって資本主義対社会主義というイデオロギー対立にも勝負がついたはずであったが、イデオロギーとは別にロシアも中国も独裁政権が民主化とは逆に強権性を着々と強め、それが第三国(イラン)をめぐる国際緊張に割って入ってきたのである。国際情勢を有利に動かすために中ロが手を組んで軍を動かしたのは、おそらく朝鮮戦争以来のことであるはずである。
しかもこの情勢にわが国も情報収集目的と言いながら、海上自衛隊をオマーン湾から西の海域に派遣することにした。緊張する海域にわが国が独自に海上自衛隊部隊を派遣するのも初めてではないか。それが大きな議論もなくおこなわれようとしている。「護憲」も「軍縮」もスローガンとしてこれまでになく現実味を増している。
こうした流れに抗するにはわれわれの力は小さい。しかし、ここまで十年以上、社会の片隅で声を上げ続けてきたからには、ここで口を閉ざすわけにはいかない。新しい形で軍事力に物を言わせようとする風潮に異議を唱え続けていく決意である。
翻って国内を眺める。安倍内閣はまさに十年一日のごとく「経済は緩やかに回復している」と言い続けているが、社会の停滞感は誰の目にも明らかであり、その原因もまた明らかである。国際あるいは国内の環境に恵まれて業績のいい企業では、内部留保はもとより役員から従業員(正規)までたっぷりとその恩恵に浴している。しかし、いまや全体の40%に近い非正規の勤労者は労働力の再生産さえおぼつかないレベルの収入に甘んじているからである。
社会を元気づかせるには、お金を使う必要のある人にお金を回すのが一番である。こんな分かり切ったことがなぜできないのか。確かに安倍首相は時に財界の首脳と言われる人たちに、「もっと賃金を上げてほしい」などと陳情めいたことを口にしているが、ただのアリバイつくりとしか見えない。本気でそう思うなら、労働分配率、特に低所得層の収入を上げることに精一杯力を入れるべきである。
もとより現状が都合のいい階層からは抵抗があるだろうが、それは当然のことであって、そこを突破するのが政治のはずである。
この点については野党もまったくだらしがない。富の分配率を動かすことに100%の賛成が得られるはずはないのだから、腹をくくって55%の賛成を獲得することに割り切った施策を打ち出してもらいたい。「共生」とは言葉はやさしいが、実現は非常に難しいスローガンである。われわれ自身の不勉強を認めたうえで、この分野への発言を強化することをわれわれ自身の課題としたい。
「共生」にはもっと大きな課題もある。今年はとりわけ災害が多く、かつひどかった。新聞報道によると、英ロンドンの国際援助団体「クリスチャン・エイド」が先月、発表したところでは、昨年、被害額10憶ドル(1100憶円)以上の災害が15件発生した。最大は昨年10~11月の米カリフォルニアの山火事で被害総額は250憶ドル。日本の台風19号の150憶ドル、15号の50~90憶ドルも15件の中に入っている(日本経済新聞12月30日)。
山火事も台風もまさに温暖化の直接の産物である。環境悪化を危惧する世界各国の学者・専門家が集まってローマクラブを作ったのが1969年。同クラブが『成長の限界』を発表して警鐘を鳴らしたのが1972年、48年前であった。温暖化防止京都会議(気候変動枠組条約第3回締約国会議)で各国がまがりなりにもそれぞれの目標を明らかにしたのが1997年、23年前であった。
昨年9月23日、ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」の開会式に出席したスウェーデンのグレタ・トゥンベリさん16歳はこう言った。「人類の滅亡が始まっているのに、あなた方はまだ経済成長を語っている」
この言葉の前では、80余年を生きてきたものとして返す言葉はない。と言って、目を背けることは後の世代のためにも許されない。これからでも勉強し、できる発言はしなければならない。
『リベラル21』にもまだ果たさなければならないことがあるーと信じて、今年もまた声を上げ続けていきたい。同人各位の健筆、読者諸氏のご支援をお願いする。
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