2020.02.08  トランプ大統領、最後の1年(6)
          弾劾訴追裁判、下院は可決、上院は否決で無罪押し切る
          BBCも追及―好都合なデータを寄せ集めた一般教書(上)

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 トランプ米大統領の「ウクライナ疑惑」を追求する米上院弾劾裁判は、5日、トランプの「権力乱用」などの罪状について採決、与党共和党の多数票で無罪判決を下した。下院は昨年12月18日、民主党による賛成多数で弾劾訴追を決定しているが、上院採決が優先、トランプの無罪が確定した。100%予測通りだが、本人とトランプ陣営はまさに狂喜。下院のペロシ議長(民主党)が、勝利宣言をしたトランプの目の前で演説草稿の紙を破り棄てた表情がすごかった。トランプは握手も無視して下院を後にした。11月3日の投票日に向け、米大統領選が、とげとげしい戦いになるのは必至だ。

 トランプ米大統領は4日、米議会で毎年の一般教書演説を行った。内政・外交の実績と基本方針を示す重要演説。“トランプ氏は冒頭、「3年前、我々は『偉大な米国の復活』を始めた。今夜、皆さんの前で信じられない結果を共有できる」と語った。2016年大統領選で自身の選挙スローガンとして米国民に約束した「メイク・アメリカ・アゲン(米国を再び偉大に)」を達成した、との意味を込めたとみられる”(朝日新聞)などと日本の新聞も大きく報じた。
 日本メディアも、大統領選挙まで1年を切ったトランプの宣伝色が強い、とは見たかもしれないが、トランプが都合の良いデータを寄せ集めた、選挙むけ演説だとはっきり批判した、新聞もテレビもなかったのではないか。
 ところが、英公共放送BBCは、「一般教書演説:トランプの主張の事実チェック」をしっかりやった。5日の国際電子版の報道を、以下に紹介しよう。

2 020年一般教書:ドナルド・トランプの主張のファクト(事実)・チェック

 トランプの主張:「我々は700万の仕事を作り出した・・・失業率は半世紀で最低になった」
 事実チェック:2017年1月にトランプが大統領に就任して以来、670万近くの仕事が増えた。オバマ前大統領が就任した2010年10月以来、仕事は毎月、増え続けてきた。
 昨年12月の失業率は3.5%。1969年12月にも3.5%を記録している。どちらも、過去50年間の最低。

 トランプの主張:「アフリカ系米国人、スペイン語系米国人、アジア系米国人の失業率は史上最低水準になった」。
 事実チェック:2019年9月のアフリカ系米国人、スペイン語系米国人の失業率は5.5%と3.9%。1970年代に米労働省が統計を取り出して以来の最低記録。9月以降、少し増加した。最近では、アフリカ系米国人の失業率は5.9%、スペイン語系米国人は4.2%になった。アジア系米国人の失業率は現状2.5%で、2006年12月と同水準。
 しかし、最近の公的統計によると、米国での人種的グループ間の不平等は残っている。黒人男性の平均週給は、白人男性より平均26%低い。スペイン語系男性と白人男性との格差はさら大きい。(続く)
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