2020.04.20 「新型コロナ暴落」は大恐慌への導火線か?(2)
―過小評価されているコロナ危機―

半澤健市 (元金融機関勤務)

《「緊急事態宣言」を全国に拡大したが》
 政府は4月7日に都と6道府県に発令した範囲を全国に拡大した。16日に発令、同日に効力が発生した。しかしコロナウイルス感染者カーブは右肩上がりを続けている。日本を含む世界株価は30%程度のパニック的暴落をみた後、買い戻しもありマイナス20%辺の水準にある。しかし乱高下の指標である「恐怖指数」はなお落ち着かない変動を続けている。トランプ米大統領は、早ければ5月前半に、経済活動の再開を目論んでいる。米国内のコロナ感染者は67万名、死亡者は3万3千名でいずれも世界一である。

「コロナ暴落」をみて、私は前稿で「大恐慌」の起点と書いた。(20年3月24日)
されば暴落が先見したはずの実体経済はどう動いているか。いくつかの実例を挙げる。

《想像を超える短期間の情勢変化》
 ■IMF(国際通貨基金)は2020年の世界経済をマイナス3%と予想した。戦後経済の実績からみれば驚愕すべき数字である。IMFは、21年には経済はプラスに転ずるとみているがこれは暫定数字のようだ。21年以降分は、失礼ながら適当に載せただけと私は読んだ。もっとも「下振れのリスクは極めて大きい」と予防線を張っている。
■IMFは、米国の20年QⅠ(第一四半期・1月~3月)GDPを、前年同期比でマイナス6%と予想している。また米国主要大手銀行の米GDPのQⅡ・GDP予想は、マイナス25%である(いずれも前年同期比)。
■米失業保険申請は最近4週間累積で2000万人レベルに達しており、全米労働者1.6億人で2000万人を割れば、失業率12%が出る。メディアは12%~17%と報じている。失業救済制度の破綻論まで出てきた。
■中国は、自国GDPのQⅠはマイナス6.8%だったと発表した。四半期統計では初めてである。米銀JPモルガンチェイスは、21年末までに5兆ドル(日本のGDP相当)のGDPが世界から失われると予想している。

上記の数例は、恐慌経済の「序の口」を示すにすぎない。金融界の一隅に40年棲んだ人間から見ると、株価暴落の実体経済へ衝撃を過小評価している。
勿論、「コロナ恐慌」の最大のカギは、この世界的爆発がどう展開するかにかかっている。どう展開するか。それは21世紀の「コロナ」の特色にかかる。話を1世紀前に戻す。

《「スペイン・ウイルス」では日本で40万人の死者》
 「新型コロナウイルス」の原型は「スペインウイルス(風邪)」である。
歴史人口学者速水融のネットコメントに従いながら話を進める。「スペインウイルス」は、米国に起源し1918年から20年まで世界的に流行したインフルエンザである。全世界で、4500万名の死者を出した。第一次世界大戦の死者1000万名を凌ぐ数字である。日本では人口約5500万人の半数が感染。約45万人が死亡した。この大規模なパンデミックの発生下に、総力戦体制の生活が継続していた。我々にはこの惨事の記憶が薄い。その理由を速水は、当時の短い平均寿命、限定された都市化、第一次大戦の存在、関東大震災、衛生思想の弱さ、徹底した医療体制の不在などに原因を求めている。

《21世紀の「新コロナ」の特長はなにか》
 新コロナの特長はなにか。その環境をみればわかる。グローバリゼーションの超展開である。ヒト・モノ・カネが国境を越えている。そしてあらゆる範囲に展開している。その時・空・速度がすでに人間の理解力や想像力を超えている。これ以上ウイルスの蔓延・拡散に好ましい環境があろうか。安倍・トランプら世界の指導者の言動をみるとコロナウイルスに3周回ほど遅れて見える。(2020/04/18)

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