2020.08.03 核兵器と戦争の廃絶に向け行動を
平和アピール七人委が被爆75年で訴え

岩垂 弘 (ジャーナリスト)

世界平和アピール七人委員会は8月1日、「核兵器と戦争の廃絶に向けて今こそ行動を―広島・長崎被爆75周年―」と題するアピールを発表した。8月6日に広島が、同9日に長崎が被爆75周年を迎えるのにあたり、今こそ核兵器と戦争の廃絶のために行動を起こそうと内外に訴える内容だ。

アピールは、75年前の広島と長崎の原爆被爆で多くの被爆者が今なお後遺障害で苦しんでいるにもかかわらず、核保有国が核兵器の近代化・小型化を一層進めるばかりか、核兵器禁止条約にも参加しないで妨害すらおこなっていると非難、今こそ世界の全ての人びとが、「核兵器不拡条約(NPT)に加盟する米ロ英仏中の5か国、特に最大の核兵器保有国である米ロ二か国が率先して、条約第6条に規定する核軍縮交渉を直ちに開始し、誠実に結論を導き、履行する」「日本を含めて核兵器禁止に賛成できていない国の政府が、核兵器への依存政策から速やかに脱却する」「核兵器禁止条約を一日でも早く発効させる」の3点を実現させるために立ち上がるよう訴えている。

世界平和アピール七人委は、1955年、物理学者・湯川秀樹らにより、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の知識人有志の集まりとして結成され、国際間の紛争は武力で解決してはならない、を原則に日本国憲法擁護、核兵器禁止、世界平和実現などを目指して内外に向けアピールを発表してきた。今回のアピールは141回目。
 現在の委員は、武者小路公秀(国際政治学者)、大石芳野(写真家)、小沼通二(物理学、慶應義塾大学名誉教授)、池内了(宇宙論・宇宙物理学、総合研究大学院大学名誉教授)、池辺晋一郎(作曲家)、髙村薫(作家)、島薗進(宗教学、上智大学教授)の7氏。
アピールの全文は次の通り。

核兵器と戦争の廃絶に向けて今こそ行動を
―広島・長崎被爆75周年―

世界平和アピール七人委員会

広島・長崎の被爆による惨禍から75年を経過した。多くの被爆者が後遺障害を抱えながら、屈することなく核兵器廃絶の声を挙げ続けている。B.ラッセル、A.アインシュタイン、湯川秀樹たちはそれぞれ、広島・長崎の惨禍を知ってすぐ、今後核戦争が起これば放射能の影響によって人類が滅亡する可能性があると警告した。また彼らは、ビキニ事件の翌年の1955年に11人の科学者の連名でラッセル・アインシュタイン宣言を発表し、核兵器廃絶・戦争廃絶のために世界の科学者が協力して努力することを求めた。
現在核兵器を保有する国は米国・ロシア・英国・フランス・中国・イスラエル・インド・パキスタン・北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の9か国あり、核弾頭数は13,400発を超え、このうちの9割以上を米国とロシアが保有している。米ロ英仏の4か国は、大陸間弾道ミサイル・潜水艦発射ミサイル・爆撃機搭載などにより、核弾頭を作戦配備状態においている。(他の国の配備状態は発表されていない。) 
 2017年には核兵器禁止条約が、国連加盟国の三分の二近くの賛成によって採択され、発効に向けて署名・批准が進んでいる。この条約は、核兵器を完全な非人道的兵器であると断じて、核兵器に関わるあらゆる活動を禁止し、核兵器廃棄の基本的道筋を示し、核兵器による被害者の支援と、実験と使用によって汚染された環境の回復を定めている。
しかるに核兵器国は、核兵器の近代化・小型化を進め、核兵器禁止条約交渉には参加せず、妨害すらおこなっている。日本を含む核兵器依存国も世界の潮流に乗り遅れている。しかも、米国は2018年2月の「核態勢見直し」において、またロシアは2020年6月の「核抑止の国家政策の基本」において、通常兵器による攻撃に対する核兵器による反撃の可能性を表明している。これらは核兵器の実戦使用を容易にしようとするきわめて危険な動きであって、決して認めることができない。
 すべての核兵器と戦争の速やかな廃絶を65年前の発足時から求めてきた私たち世界平和アピール七人委員会は、
1 まず核兵器不拡散条約(NPT)に加盟する米ロ英仏中の5か国、特に最大の核兵器保有国である米ロ二か国が率先して、条約第6条に規定する核軍縮交渉を直ちに開始し、誠実に結論を導き、履行すること、
2 日本を含めて核兵器禁止に賛成できていない国の政府が、核兵器への依存政策から速やかに脱却すること、
3 核兵器禁止条約を一日でも早く発効させること
の実現を目指して、世界のすべての人たちが行動するよう呼びかける。

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