2020.08.21 世界の批判高まる日本の在留外国人再入国拒否継続
―NYタイムズの報道から

坂井定雄(龍谷大学名誉教授)

 本欄でも8月4日に書いたが、日本政府は、新型コロナウイルス検査能力の不足を理由に、4月3日以降に出国した、在留資格のある在留外国人の再入国を拒否したままだ。現在、家族や仕事などの関係で再入国が緊急に必要な人を含め、約10万人の外国人が再入国を求めている。政府は、近いうちに一部の人の再入国を徐々に認める方針を示している。前稿でも書いたが、先進7か国では日本だけの措置で、ドイツは厳しい対抗措置を実施している。
 国際世論での日本批判はさらに強まっている。米紙ニューヨーク・タイムズは、8月17日、「日本の外国人『締め出し』あまりにも厳しい実態―在留外国人10万人が入国できない状態に」と大きく報じた。この記事を転載した「東洋経済オンライン」8月20日から、一部を引用、紹介しようー
 「ある非営利の野生動物保護団体で働くジェフ・マジオッタが自宅のある日本から南アフリカに向かったのは3月初め、現地のパークレンジャー向けの救急医療講習を開き、1か月後には東京に戻ってくる予定だった。
 だがそれから5か月近く経った8月初めになっても、マジオッタは東京に帰れずにいた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本政府は4月、水際対策として外国人に対する厳しい入国規制を導入した。そのせいで、マジオッタをはじめとする10万人近い人々が日本での在留資格をもつにもかかわらず、再入国できない事態となっている。
 この入国規制で問題とされているのは、一般の日本国民に認められている旅行の権利が、永住者や定住者などの外国人に認められていないという点だ。そのために、マジオッタら多くの人々がまさに身体窮まった状況に置かれているのだ。
 マジオッタは手持ちの現金がほとんどなかったうえに日本の銀行口座から預金を下ろすこともできず、友人からの金銭的支援に頼って、糊口をしのいでいる。保護団体での仕事のほかに、マジオッタは英会話スクールの教師としても働いていたが、いまは無給休暇という扱いになっていて、東京のアパートの家賃も払えない状態だ。」
 「入国規制のせいで多くの人が痛手を被っている。家族は引き裂かれ、キャリアに傷が付き、若者は何か月もの間、学校に行けないままだ。出国先の外国での滞在費がかかるうえに日本でも税金や家賃を払い続けなければならず、多額の借金を背負った人もいる。」
 外国籍の住民に対する事実上の差別
 「日本国内にいる250万人の外国人にも悪影響は及んでいる。少なからぬ人々が、死に瀕した親の看病のために、家族の死を悼むために、夫や子供と再会するために出国を願いつつも、日本に戻ってくることができなくなる可能性があることから、つらい決断をしいられているのだ。」
 「在日米国商工会議所のクリストファー・ラフルアー会長は『旅行に関するこの政策は外国籍の住民に対する事実上の差別だ』と言う」
 「当局者に言わせれば、これは日本よりも大規模な流行が起きている国々からのウイルス持ち込みを防ぐとともに、空港での検査件数がキャパシティを超えることを防止するために必要な措置だ。
 コロナ禍が始まって半年を過ぎた今も、日本の1日あたりのPCR検査の実施可能件数は約3万3000件にすぎず先進諸国の中では断トツの少なさだ。このうち国際空港に振り向けられているのが約3000件で、9月には約1万件に増やす予定だ。」(了)
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