2020.09.30  トランプ政権、最後の1年(26)
       最後の手は郵便投票の敗北を最高裁提訴
       新裁判官任命で多数確保狙う

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 11月3日の米大統領選挙まで1か月余り。共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領の戦いは、バイデンの優勢が続いている。10を超える世論調査会社、主要メディア各社によって、調査結果に多少差があるが。9月の動向では、バイデンが9~5%の差で優勢で、それを超える変動はほとんどない。劣勢挽回に必死のトランプは、新型コロナウイルス症流行で投票が大幅に増えると予想される郵便投票について24日、「結果は信頼できない」「郵便投票そのものが大きな詐欺だ」とまで発言、選挙に敗北した場合には連邦最高裁判所に提訴する意図を明言している。
 さらに26日、最近死去した民主派のギンスブルグ最高裁判事の後任に、保守派のバレット連邦高裁判事を指名すると表明した。最高裁の判事定員は9人。最近まで保守派5人、民主派4人だったが、それが6人と3人になる。保守派がさらに多勢になる最高裁では、選挙結果を承認しないとする政権の主張を認める可能性があると、トランプは期待しているのだ。28日の朝日新聞は「保守派判事駆け込み指名」と1面トップで報道している。
 これまでの大統領選挙で1位、2位が僅差だったケースでは、1960年の民主党ケネディが共和党ニクソンを破ったとき、2000年の共和党ブッシュが民主党のゴアを破ったときがあるが、どちらの場合も敗者はその結果を受け入れ、当選者に祝福を送った。
 今回、トランプの“負けたら郵便投票のせいだから連邦最高裁に提訴する”とする姿勢に対して、共和党内でも批判が高まっており、英BBC電子版によると、共和党上院指導者のマッコネル議員は24日、大統領選挙後の行事は通常通り進められ、「11月3日の選挙でどちらが勝利しようと、1月20日には平和的な大統領就任式が行われるだろう」と断言した。他の共和党議員たちも大統領選挙結果を重視する議員が大多数で、ロムニー上院議員は「大統領が憲法によって保障されている選挙結果を尊重しないことなど、信じられないし、受け入れられない」と強調した。
 大統領選挙の郵便投票を管轄する郵政公社(USPS)当局も、再三にわたって、郵便投票の態勢は整っており、大統領選挙に支障は全くないと表明している。
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