2020.11.02  核兵器禁止条約発効へ  日本は現実的な選択を
       韓国通信NO652

小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)

 核兵器禁止条約に50カ国が批准して、来年1月22日の条約発効が確定した。「コロナ鬱」と、前政権の継承を宣言した新政権の誕生でへこみがちだった私の心にパァーッと光が射し込んだ。被爆から75年目にしてやっと核兵器廃絶への道筋が見え始めた。しかし楽観はできない。地球滅亡が先か、核兵器廃絶が先か、その岐路に立たされたのを実感する。

<現実主義か理想主義か>
 原爆投下によって天皇がポツダム宣言を受諾、日本は降伏した。戦争によって、被侵略国もわが国も甚大な人的被害と物的損失を被った。
 私たち日本人は核が人類を滅ぼす最終兵器であることを学んだ。核を作りたがり持ちたがる人はいるが、核戦争を容認する人は一人としていない。核兵器廃絶という「日本発」の運動が世界に広がり、平和への思いと核兵器廃絶への思いが同心円を描きながら世界は核と戦争のない社会をめざしてきた。
 だが条約発効目前にして日本政府は相変わらず、世界の核兵器をなくす運動に背を向けたままだ。どんなへ理屈をつけてもそれは事実だ。アメリカの核抑止力が日本の安全を守っているという理由で、核兵器禁止を非現実的な「理想論」として認めない。国際社会の先頭に立ち核兵器廃絶を訴え、実効ある提案をすべき国が、屈折した醜い姿を世界に晒している。ブルーのリボンを着けるなら反核バッジくらい付けられないものか。

<非現実的な現実主義>
 核保有のバランスの上に成り立つ世界平和。抑止力による平和が現実的で、核兵器廃絶を求める条約のどこが非現実的なのか。1万4千発にものぼる核兵器保有国によって地球の運命が握られる核覇権主義。問題を北朝鮮やイランの核保有に矮小化してはならない。国連の平和主義、協調主義に逆らい、核にモノを言わせ無理を通す国際社会は終わりにしたい。
 核被爆国として、また平和憲法を持つ国として世界から期待される日本が、最大の核保有国アメリカに気兼ねして自国民と世界の平和勢力の期待を裏切っている。アメリカが既に批准した国を切り崩して条約の発効を妨害するくらいだから、アメリカ従属を深める日本が条約に参加するのが難しいという現実を「現実主義」と言い換えるのは欺瞞だ。
 だが、わが国が核兵器廃絶の原点に立ち返り、批准をするなら世界の核兵器情勢は激変する。首相、外相は原発のセールスなどしている暇はない。核保有国を歴訪して禁止条約への加入を説得して回らなければならない。日本にとって人類へ貢献できる最大のチャンスだ。
 いったん国際紛争に巻き込まれると核の抑止力依存は危険このうえない。北朝鮮が核保有国となった現在、「半島の非核化」を呪文のように唱えるより、韓国、北朝鮮と一緒に禁止条約に加入するほうが、よほど現実的な選択であり、アジアの平和に寄与するに違いない。トランプ大統領が「中国のコロナ」のせいで再選を逃した腹いせに核のボタンを押すなんていう悪夢は見たくない。米中戦争になれば米軍基地のある日本は真っ先に戦場と化す。国際関係が不安定さを増すなか、決してありえないことではない。世界から核兵器をなくすために率先して全力を傾けることこそが現実的だ。
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