2021.02.19  大坂なおみ、全豪2勝目まであと2戦

 全豪オープン・テニスでの大阪なおみ選手の準々決勝快勝記である。前回の盛田氏の紹介では台湾の謝淑薇選手はランキングでは世界71位ながら、得意のねばりと変化球で侮れない相手とのことであったが、大阪選手はどうやら危なげなく勝ち進んだようである。
 そして18日の準決勝、強豪のセリーナ・ウイリアムス戦も大阪選手は見事にストレート勝ちして、20日の決勝に進んだ。
 続報をおまちいただきたい。
 
盛田常夫 (経済学者・在ハンガリー)
               
 難しい試合が予想された大坂なおみの全豪オープンテニス5回戦、対謝淑薇(シェイ・スーウェイ)戦は大坂の圧勝に終わった。試合時間66分の完勝である。全豪制覇まであと2戦となった。18日の準決勝、対セリーナ・ウイリアムズ戦が、事実上の決勝戦となろう。

 大坂が全豪を初めて制した2019年の大会で、大阪は3回戦で謝と対戦した。この要約版のビデオは、YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=qICUDS_WLac&t=694s)でみることができる。この試合、大坂は第1セットを5-7で落とし、第2セットも1-4と敗戦濃厚だった。とにかく、謝はコートを走り回って、大坂の強打を返していた。大坂が打っても打ってもボールが戻ってくる。忍耐が切れたところで、大坂がミスをするというパターンで後がなくなっていた。
 このビデオを見ると、改めて謝の怖さが分かる。右左とも両手打ちの謝はとにかくボールをラケットに当てるのがうまい。しかも、甘いボールが来ると、角度を付けて返球するのでウィナーになる。
 ところが、開き直った大阪は、ゲームカウント1-4から5ゲームを連取して第2セットをひっくり返し、その勢いで第3セットを6-1で押し切った。怒涛のような終盤の猛攻だった。1-4から勘定すると、なんと10対1のゲーム取得率である。

 今回もパターンが良く似ている。4回戦の対ムグルーザ戦で敗戦直前から挽回し、準決勝のウィリアムズ戦を迎える。揉めに揉めた2018年全米オープンの因縁の決勝戦から初めての公式戦対決である。24回目のグランドスラム制覇を目指すウィリアムズは体を絞ってきた。動きが良い。対する大坂の状態も非常に良い。ここで大坂が16歳も年上の憧れのウィリアムズに引導を渡せるかどうか。ここにこの試合の見どころがある。

 それにしても、今年の全豪の女子シングルスのドローだが、地元のバーティ(世界ランク1位)が入った上の山と、大坂やウィリアムズが入った下の山では選手の質が違いすぎる。それは4回戦(ベスト16)の組み合わせを見れば良くわかる(赤がグランドスラム優勝経験者)。
Bartyの山             大坂-Williamsの山
 Barty - Rogers          Hsieh - Vondrousova
  Mertens - Muchova       Osaka - Mugruza
  Vekic - Brady         Williamas - Sabalenka
  Pegula - Svitolina       Swiatek - Halep
 Bartyの山の4回戦で、グランドスラム大会で優勝しているのはBarty1人だけだが、大坂-ウィリアムズの山には4名のグランドスラム優勝者が残った。もちろん、Bartyの山にもグランドスラム優勝者はいたが、スティーヴンス、アザレンカ、オスタペンコは1回戦で負け、ヘニンは2回戦で、プリスコヴァは3回戦で姿を消した。皆、故障を抱えているか、強制隔離で練習ができずに早々と敗退し、4回戦ではBarty1人になってしまった。これにたいして、地元のBartyは十分に練習を積んで今大会を迎えているから、ベスト8まで楽勝で勝ち上がってきた。
 他方、大坂やWilliamsの山は、好調な選手が多く、ハイレベルな戦いが繰り広げられてきた。4回戦の戦いを比較すると、上の山と下の山では雲泥の差がある。大坂-Muguruz戦だけでなく、Williamas-Sabalenka戦などは、獲得ポイント数が双方とも94ポイント・イーヴンの壮絶な打ち合いだった。気の抜けたようなBarty-Rogers戦とは比較にならない試合だった。楽勝の組合せが最終的にBartyに有利に働くのか、それとも激戦を潜り抜けてきた下の山の勝者がBartyを打ち負かすのか。セリーグとパリーグのような戦いになってきた。これが女子シングルス終盤の見どころである。
 まずは18日の大坂-Williams戦のお楽しみである。

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