2021.04.14 原発汚染水の海洋放出は許さない
韓国通信NO666

小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)

 菅首相は福島原発の汚染水の海洋放出を13日に正式決定した。
 貯蔵が限界に達しているとの判断に加え、復興オリンピック、総選挙を控え、貯蔵タンクの存在が目障りになってきた。廃炉の見通しがないまま、東京電力の都合を優先させる。
 福島の漁業者たちが風評被害を心配して放出に反対するのは当然だ。NHKテレビは連日、既定事実のように政府の方針を伝えている。

<問題の本質は「風評被害」ではない>
 風評被害の懸念に対して海水で薄めれば安全という御用学者と、IAEA(国際原子力機関)のお墨付きで説得するのは乱暴すぎる。
 汚染水にはトリチウム、ストロンチウム、ヨウ素などの放射性核種などが含まれている。体内に取り込まれると遺伝子を傷つける恐れが無視されている。根も葉もない噂(風評)で、福島の水産業が損害を被るという簡単な話ではない。さらに世界の海洋環境汚染からも決して許されるものではない。
 史上最悪の原発事故の後始末である。経費も時間もかかるのを覚悟しなければならない。タンクの増設、長期貯蔵の後、地中への埋設を求めた漁業関係者の主張に政府は耳を貸す気はないのか。国も東電も安易で拙速な汚染水の海洋放出を断念すべきだ。

<高まる政治不信>
 今回の放出計画はあまりにも身勝手で無責任だ。長期政権を目指した安倍政権による五輪招致は、復興を演出するための政治利用だった。遅々として進まない復興の現実に新型コロナが追い打ちをかけ、野望は打ち砕かれようとしている。聖火は汚された。再び福島が切り捨てられようとしている。
 コロナ対策のやる気のなさと不手際を棚にあげておいて、政府は新型コロナワクチンの接種状況を把握するためにマイナンバーを活用しようとしている。まさに噴飯もの。コロナと政治不信が引き起こした不安と混乱。
 貧困層を直撃したコロナが映し出した社会は弱肉強食の世界だ。経済弱者を救済するどころか生活保護制度の改悪、年金の引き下げが行われ、消費税の引き上げさえ取りざたされる。「国民のいのちと生活を守る」菅政権の正体を見た。

 韓国の文政権が公約の実現を問われ、支持を下げた。来年の大統領選挙で守旧派が政権を奪還すれば日韓関係が改善すると喜ぶのは見当違いも甚だしい。誰が大統領になっても韓国は慰安婦問題、徴用工問題については世界の世論を背景に一層厳しい態度をとるに違いない。もちろん汚染水の海洋放出にも断固反対だ。
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<写真/国連の特別報告官の「海洋放出反対声明」の記事とともに市民団体のアピール行動「海に国境はない」が紹介された。ハンギョレ新聞3/12記事>
 隣国のことを心配するより、嘘と権力への忖度に溢れた日本社会こそ民意によって変える必要がある。わが国の若者たちの奮起に期待したい。

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