2021.04.24 “タリバンは厳しすぎる”とのひそかな訴えも
アフガニスタン、BBCの現地取材から(3)

坂井定雄(龍谷大学名誉教授)

 私たちの取材には、常にタリバンが同行していた。わたしたちがインタビューした住民たちはすべて、タリバンへの支持を口にし、治安が良くなり、犯罪が減ったと話した。一人の年長の住民は「政府軍が支配していた時には、彼らは私たち住民を捕まえ、釈放するには賄賂を要求した。そのため私たちは、大きな損害を強いられた。今は、とても幸せだ」と話した。
 タリバンのウルトラ保守は、こうした保守的な地域ほど住民とぶつかることはないが、住民の一人は、匿名を条件に、他の地域では、私たちがインタビューしている地域よりもっと厳しいところもある、と話した。そこでは、髭を剃った住民が鞭で打たれ、音楽を聴くためのステレオがぶち壊されたりした、という。「住民は、もっと小さなことでも体罰をされるので、タリバンの言うとおりにしなければならないんだ」と彼はいった。
 ハジ・ヘクマット首長は、1990年代にタリバンに加わったベテランだ。一方、私たちに同行した若い戦士たちは、写真に撮られるのが嬉しく、最初は顔をターバンで覆っていたが、しばらくして外し、顔を撮られるようになった。古いタリバン体制は、写真に撮られるのを禁じていた。
 「以前のタリバンは誤っていたのか?」とハジ・ヘクマットに訊くと、彼は答えたー
 「タリバンは以前も今も同じだ。以前もいまも時間は同じだ。しかし、個人の場ではもちろん変化はある。熱心な人も静かな人もいる。それが正常だ」
 タリバンは、彼らが築こうとしている「イスラム政権」の意味をあいまいにしようとしているようだ。一部の専門家たちは、タリバンの内部では急進派と穏健派が、内部抗争を避けようと急がずに努力としている、と見ている。彼らの本拠地の中で、双方が異なった立場をどう調整していくか?来るべき彼らの政権は、その試練の場になるだろう。
 私たちがチキンと米飯のランチを食べていた時、遠くの空爆の響きが4回聞こえた。ハジ・ヘクマットは「遠くです。心配しないで」と話した。
 何年もの間、主に米軍の爆撃はタリバンの前進を抑えてきた。昨年、米国はタリバンとの和平協定を結んだ。その結果、米軍の撤退によって、タリバンが全土で軍事作戦を開始することへの恐れが広がった。
 ハジ・ヘクマットはカブールのアフガニスタン政府を“カブールの行政官”、腐敗した反イスラムどもと呼んだ、彼のような人が、この国で、彼らの条件以外に他の勢力と和解するとは考えられない。
 「ジハード(聖戦)なのだ。祈りなのだ。我々は権力のためではなく、アラーの法、シャリーアをこの国にもたらす戦いだ。」とハジ・ヘクマットは結んだ。(了)
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