2021.05.12 日本山妙法寺、世界平和のためのさらなる精進を誓う

藤井日達山主の37回忌法要で

岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 世界各地で平和運動を展開していることで知られる日本山妙法寺(事務局=東京・渋谷)の藤井日達山主の37回忌法要が4月29日、千葉県鴨川市の同寺清澄山道場で行われた。「恩師行勝院日達聖人第三十七回忌追考報恩大法要」と題された法要には、豪雨が降り注ぐ中、同寺の僧侶、信徒をはじめ日蓮宗関係者、スリランカ、インドの両駐日大使館代表ら約120人が参列したが、参会者は口々に山主の業績をたたえ、「いまださまざまな世界の騒乱おさまらざれば、世界の人びとと共に、どこまでも不殺生・非暴力を掲げて、世界平和のために努力してまいりましょう」と誓い合った。
藤井日達法要5
「千葉県鴨川市の清澄山で開かれた日本山妙法寺・藤井日達山主の37回忌法要」


世界各地で平和運動を推進
 第2次世界大戦後が終わってまもなく76年になるが、この間、日本をはじめ世界各地で「反戦平和」「核兵器廃絶」を掲げる運動があるところでは、黄色の僧衣をまとって「南無妙法蓮華経」と唱えながら、うちわ太鼓をうち鳴らす僧侶の集団があった。日本山妙法寺の僧侶だ。
 この僧侶たちが参加した運動は、日本国内に限ってみても、東京・立川の米軍飛行場拡張反対、原水爆禁止、日米安保条約改定阻止、ベトナム反戦、沖縄返還、成田空港建設反対、イラク戦争反対……と数え切れない。最近では、平和行進、護憲運動、安保法制反対運動、脱原発運動などの現場で僧侶たちの姿を必ずみかける。
 もちろん、その活動は地球全域に及び、今でも、戦火が絶えないところ、紛争が続くところには、必ずといってよいほど日本山妙法寺の僧侶の姿がある。

 藤井日達山主は、その日本山妙法寺の開創者。1918年(大正7年)に日蓮宗の一宗派として最初の日本山妙法寺を中国・遼陽に開創。1924年(大正13年)には静岡県内に日本国内最初の妙法寺を建立、以後、日本と世界の各地に同様の寺を建立して布教を続けた。
 日達山主はその生涯を通じて膨大な法話を残しているが、その中で一貫して説いたのは、釈尊の教えの核心は「不殺生戒(ふせっしょうかい)」にあるという点だ。一言で要約すれば、「人を殺すな」ということだという。
 最大の殺生は人が人を殺す戦争である。そこから、日達山主は絶えず「世界平和」「核兵器廃絶」「軍備全廃」を訴え続けた。しかも、「絶えず行動を起こせ」と説き、自ら平和運動の先頭に立った。老齢で歩行が困難になると、車イスで平和行進の先頭を歩んだ。

 世界各国の平和団体、宗教団体、先住民団体との交流・連帯にも力を注いだ。
 1982年6月にはニューヨークの国連本部で国連主催の第2回国連軍縮特別総会が開かれたが、日達山主は、この総会に向けた、米国大陸を横断する平和行進「その時が来た」を提唱、日本山の僧や信徒が西海岸からニューヨークまで歩いた。車イスの山主はニューヨークで行進団を出迎え、さらにニューヨークのセントラルパークで開かれた国際NGO主催の100万人反核集会に参加し、演壇から核兵器廃絶を訴えた。この時、山主は96歳。

 日本山妙法寺の運動は「非暴力」を基本としているが、それは、徹底的な非暴力運動でインドを英国からの独立に導いたマハトマ・ガンジーから学んだ。日達山主は1933年にインドでガンジーと会見しており、山主自身、その著書『仏教と平和』の中で「ガンジーの非暴力に学んだ」と語っている。
 また、共通の目的を持つすべての人びとが手を取り合うことの大切さを説き続け、平和運動の大同団結のために奔走した。日本国内では、分裂していた原水爆禁止運動の統一のために尽力した。

 37回忌法要には、海外の宗教・平和運動関係者からメッセージが寄せられたが、山主と親交のあった英国のブルース・ケントCND(核軍縮運動)副会長は、メッセージの中でこう述べていた。「日達聖人がロンドンにいらした際、私はそのお言葉と生き方に感銘を受けました。ここロンドンとミルトンキーンズの仏舎利塔にとても良い種をまかれました。その後も日本山妙法寺の皆様が、常に世界の平和運動に素晴らしい貢献をされています。日本山妙法寺の皆様は、国際赤十字が1945年に次のように述べたことを体現されています。『戦争がこれほどまでに破壊的かつ徹底的な性質を帯びてきた以上、あらゆる思考、あらゆる努力が、何よりも戦争を不可能にすることを目的としなければならない』」

 日本政府は核兵器禁止条約に参加せよ
 法要では、今井行康・日本山妙法寺大僧伽首座代務者の「導師法話」があった。
 今井首座代務者はその中で、次のように述べた。
 
 「日本政府は唯一の戦争被爆国として核廃絶でも世界をリードしていると必死で印象づけようとしてきましたが、その内容は、一言で言えば、ゆくゆくは廃絶だが今はその時でない、むしろ核の抑止力は国際安全保障上必要というものです。廃絶に重心があるのでなく、必要とする主張をしてきました。核の先制攻撃も否定しない。“核の傘論”に立って、日本政府は相変わらず核抑止論に依存する姿勢をとり続けています」
 「核兵器は悪魔の兵器です。いかなる理由、いかなる場合でも『ヒロシマ・ナガサキ』を繰り返してはなりません」
「今日、世界的な貧困率が上昇する一方で、世界では2兆ドルが新たに核兵器開発を含む軍事に費やされています。私たちは、軍事力による国家安全保障から国民1人ひとりの命と安全、そして尊厳を最優先する政策への転換を強く求めます」
 「本年1月22日、ついに核兵器禁止条約が発効しました。唯一の戦争被爆国である日本政府の責任は重大です。日本政府が速やかに核兵器禁止条約に参加するとともに核兵器のない世界をめざす世界的流れの先頭に立つことを求めます」
 「また、アジアと世界の平和を求める流れに逆行する沖縄・辺野古の米軍基地建設や憲法違反の敵基地攻撃を想定するなど、日米軍事同盟のもとで日本を『戦争する国』にする動きに反対する運動を続けてまいります」

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