2021.05.29 BBCが東京オリンピックの問題点を総ざらい

綿密な報道、各国に大きな影響も

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

  世界各国で最も広く報道され、信頼されている、英国のBBCは27日、国際電子版で「Tokyo Olympic Games :When are they and will they go ahead? (東京オリンピック:いつ前進するのか)と題した特集を報道した。東京五輪開催への疑問が世界各国に広がるなか、このBBCの報道は、影響がありそうだ。この記事の要点を、紹介しよう。
 
  東京オリンピックは、日本でCovid(コロナウイルス感染症)の症例が急増しているにもかかわらず、2か月足らずで始まる予定だ。国際オリンピック委員会(IOC)は、東京が非常事態に達しているにもかかわらず、大会開催に、固執している。

 ▼オリンピックはいつ、どこで行うのか?
 2020年夏季オリンピックは、Covidのため2021年7月23日から8月8日の間に日本の首都東京で開催される予定。パラリンピックは、8月24日から9月5日の間に開催予定。メイン大会では、33の競技と339のイベントが42会場で開催される。

▼日本のCovid対策はどうなっているのか?
 日本のCovid症例数は比較的少ないが、四月には新たな感染の波が始まった。昨年以降、約72万人が感染し、12,200人が死亡している。急増の結果、国の大部分が5月末まで非常事態に直面しており、一部は6月20日まで、その制限が続いている。
 日本は2月から、他のほとんどの先進国より遅く、人々にワクチンを接種し始めた。
 これまでのところ、完全に予防接種を受けているのは、290万つまり日本人の人口の約2.3%にしか過ぎない。
 5月下旬に東京と大阪、つまり感染者急増で大きな打撃を受けた大都市で集団予防接種プログラムは始まった。当局は、65歳以上の人々が7月末までに予防接種を受けることを望んでいる。

▼どのような対策がオリンピックで実施されるのか?
 Covidのために日本の国境は閉鎖されており、それは外国のファンは大会に来れないことを意味する。
 国内のファンは許されるが、Covid状況が悪化すれば、観客なしに競技が行われるかもしれない。
 各国の選手とサポート・スタッフは、出国前と日本入国の際に検査をしなければならないだろう。
 彼らは検疫をする必要はないが、地元の人々と交わることは避けなければならないだろう。
 選手たちはワクチン接種をする必要はないが、IOC当局者は、80%の選手がワクチン接種することを望んでおり、大会期間中、毎日、検査することになるだろう。

 ▼日本国民は大会の開催を望んでいるか?
 最近の日本の世論調査では、人口の70%近くが大会開催に反対している。
 東京地域で選手を受け入れる予定だったいくつかの町は、この計画がCovidの流行を拡大し、医療体制に圧力をかけるかもしれないと恐れ、選手受け入れを辞退したと伝えられている。
 5月初め、医師組合は、Cobidを考慮すれば、大会開催は「不可能だ」と政府に伝えた。
 日本で最も著名なビジネス界の大物の一人は、大会開催を支持し続けることを非難した。
 ソフトバンクのCEO(最高経営責任者)孫正義は、ほとんどの人が東京オリンピックを「延期するかキャンセルする」ことを望んでいると述べた。

 ▼競技者の代表はなんといっているか?
 多くの人々や専門家たちが、大会への懸念を表明している。
60か国以上の8万5千人のスポーツマン、スポーツウーマンを代表する世界選手協会は、IOCは選手の安全をより確保するために、IOCはもっと行動しなければならない といっている。同協会は、より綿密は身体的距離とより効果的なテストを望んでいる。
 日本の選手は主に知名度を低く保っているが、同国最大のスポーツスターである、テニスチャンピオンの大坂なおみは、この問題について、議論すべきだと語っている。
 「オリンピックとパワーゲーム」の著者、ジュール・ボイコフは、大会の中止を求める記事をニューヨークタイムズに書き、スポーツイベントは「経済的利益よりも公衆衛生が重要だ」と述べている。

 ▼参加についての他の国々の発言
 主要国で大会に反対する発言をした国はない。
 米国は日本での感染者急増後に渡航警告を発したが、当局は選手たちの参加を確信していると述べている。
 英国チームは「東京オリンピック大会にフルチームを参加させることを約束している」と述べている。
 中国の習近平国家主席は全面的な支持を約束している。中国は次の冬季オリンピックの開催国だ。

▼オリンピック大会は中止できるか
 イエス。ただし、戦争や国内の大混乱のような事態だけ。
 重要なことは、IOCが中止できるのは、IOCと開催国東京との間の契約上、それが可能である場合だけだ。
 IOCはその経費の70%を放映権、18%をスポンサー料で得ていると見られている。もし大会が中止となれば、IOCの財政と今後のオリンピック運動にとって、厳しい打撃になるだろう。
 IOCはこれまでも繰り返し、緊急事態宣言下でさえ、オリンピック大会は開催できると主張してきた。電源の切断を決めることはほとんどない、ように見える。

▼なぜ日本は東京オリンピック大会を中止しないのか
 もし東京がIOCとの契約に反して、大会開催をキャンセルしようとすれば、そのリスクと損失はすべて日本側に落ちてくるだろう。
 東京大会の予算は、1260万ドルと設定されており、実際の経費はその倍額になると見られている。
 大会の延期と国際的なファンの喪失によって、通常のオリンピック大会で期待されてきた開催国とIOCの利益は大きく失われ始めている。(了)
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