2021.08.27 「滅茶苦茶でごじゃりまするがな」
韓国通信NO676

小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)

 往年の喜劇人花菱アチャコを思い出す。困ると、とぼけ顔で「滅茶苦茶でごじゃりまするがな」と笑わせた。何がそんなに可笑しかったのか思い出せないが、小学生だった僕はよく笑った。
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 腹が立ち、胸塞がる毎日。
 政治家たちの無茶苦茶ぶりは笑えない。
 そんな政治家たちの思いあがりに付き合わされてきた。
 憲法など「クソ食らえ」と言わんばかりの傲慢さと国政の私物化には呆れるばかり。政権維持に汲々とするばかりで人々の不安な暮らしなどは二の次みたいだ。
 医療から見放されるという恐怖。誰に怒りをぶつけたらいいのか。無茶苦茶でござりますでは済まされない。
 世界から連日のようにコロナ感染と豪雨と山火事が伝えられる。「この世のものではない」という恐怖に震える被災者の声が聞こえた。
 すべては地球温暖化とかかわっている。日本沈没どころではない、地球が滅びる予感。世界が協調して温暖化対策に取り組まなければならない時に何をすべきか。感染対策に巨費を投じて配布されたマスクの滑稽さと悲しさ。脱炭素化のために原発を再稼働させようとする浅知恵。感染拡大防止の決め手として憲法に「緊急事態条項」が必要と言いだすずる賢さ。
 自民党政府の無茶苦茶ぶりを挙げればきりがない。
 希望はないのか。国民の命を守れない政権に退場してもらうほかない。「さいざんす」とトニー谷が相槌を打つ。野党がだらしないと、評論家のようなことは言うまい。希望は主張し続けることだ。
 輝く憲法9条~アフガンから見えた日本の平和力~
 アフガニスタン(以下アフガン)から米軍が撤収する。タリバン政権を危険視する声が大きい。国外脱出を急ぐ人たち。しかしアメリカが傀儡政権を見捨て軍事介入を断念したことを評価する声はほとんど聞かれない。アメリカが敗北した点ではベトナム戦争と同じ構図だ。タリバン政権そのものに恐怖感を抱くアフガン人がいる一方、旧政府の協力者、アメリカを中心とする多国籍軍の協力者が報復を恐れ、国外脱出しようとするのも容易に想像がつく。タリバン勢力の根絶を目的に派兵をしたアメリカの責任と40数か国、数万人に及んだ多国籍軍の責任を問う声はほとんど聞かれない。安保理決議に基づくとはいえ、イギリス・フランス・ドイツ・カナダ・オーストラリア等は付和雷同の参戦組だ。アメリカに梯子をはずされたことが混乱に拍車をかける。

<アフガンと日本>
 イラク戦争には「復興支援」の名目で自衛隊派遣をしたわが国だが、憲法と世論はアフガン派兵を許さなかった。復興支援金の支払いと給油活動は、アメリカに協力したことと変わりはないが、戦闘には加わっていない。
 日本政府の姑息なアフガン支援に比べて際立つのは民生支援と復興に献身した二人の日本人、国連高等弁務官緒方貞子と、「ベシャワールの会」の代表中村哲医師の活躍だ。二人は平和憲法を持つ日本を輝かせた。

 特に中村哲氏(写真)の活躍は国際協力、世界平和のあり方に教訓を与えた。国家による支援または介入はどのような理屈をつけても、する側の国益にもとづくもの。
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 中村哲氏らが繰り広げた灌漑づくりの活動は現地の人たちの生活に直結する支援だった。「テロ根絶」という軍事介入とは対極にある人道支援だった。
 一昨年、悲しいことに中村氏は現地武装勢力の襲撃によって殺されてしまった。タリバンによる殺害が疑われたが真相はいまだ明らかでない。
 他国を侵略しない。武器によらないで平和に徹する日本の平和主義が光輝いた。平和憲法が世界平和に貢献できることを中村医師は示してくれた。安保法制によって傷だらけになった感のある憲法第9条だが、彼の実践は平和憲法の価値を私たちに教えてくれた。
 人類がコロナで苦しんでいる時に世界は戦争をやめたらいい。正直そんなゆとりはない。米中対立のあおりを受けてわが国が戦争の当事者に、戦場になろうとする状況が生まれている。靖国神社に参拝する暇があるならコロナ対策と平和外交に全力を傾けて欲しい。
 コロナ、地球温暖化、自民党政府という三重苦によって辛い毎日が続くが、すべは人災である。人災は克服できる。人災を取り除くことだ。希望はある。

<2021年8月>
 今年の8月はやけに長く感じられる。家に閉じこもっているせいかも知れない。前回紹介した韓国の小説「そなぎ」にたくさんの意見や感想をいただいた。韓国理解に私の力が及ばないという反省もある。写真家の鄭周河さんから「多くの韓国人が共通に記憶する情の原点」という「そなぎ」への思いが寄せられた。
 戦争が終わってから76年の夏、全国戦没者追悼式と二つの原爆平和記念式の首相の挨拶は聞くに堪えなかった。ロボットに書かせ、読ませてもよかった。長崎の田上市長の平和宣言と比較すれば一目瞭然だ。被爆体験者の思いを紹介することから始まり、核兵器のない世界、平和憲法の理念のもと兵器禁止条約の批准を各国政府参加者に求めた。福島へのエール。原爆には国境がないこと。長崎を最後の被爆地とするよう全世界に訴えた。若者たちへの協力の呼びかけも忘れなかった。

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