2021.08.31 アフガニスタンでの暫定政権構想進む
凶悪なテロ組織「イスラム国」のテロの一方で

坂井定雄(龍谷大学名誉教授)

 カブール空港での爆弾テロで170人を超す犠牲者を出したアフガニスタンで、米軍は事件の翌日(27日)、犯行グループのテロ組織「イスラム国」(IS)の同国東部拠点をドローンで攻撃した。一方、全土を制圧したタリバンは暫定政権作りを進めているようだ。
 アフガニスタンの政情報道で、信頼できるカタールの国際的通信社アルジャジーラは27日、タリバンの有力筋の情報をもとに、全土を支配したタリバンが、目指しているイスラム首長国への暫定政権作りを進めている、と伝えた。イスラム首長国を国名に入れている国はペルシャ湾岸のアラブ首長国連邦だけだ。カタールは、首都ドーハが2015年から始まった米国とタリバンの和平交渉(アフガニスタン政府は不参加)の場となり、米軍撤退の最終合意がまとまった場所。アルジャジーラは、交渉両者と良い関係を維持している。
 同通信社の報道によると、タリバンはまず暫定政権を発足させる計画で、すでに、重要閣僚、法相、内務相、国防相、外務相、財務相、情報相、カブール担当相など重要閣僚の指名が進んでいるという。また、閣僚には、少数民族のタジク人、ウズベク人の指導者も含まれるという。
 一方米国は、これまでのタリバンとの和平交渉で、新政権には、カルザイ元大統領(04~14年在任)、アブドラ・アブドラ国家和解最高評議会議長を含めるよう、強く主張してきたが、今回発足させる新政権に入るかどうかは不明。ただし、カルザイ氏は、タリバンがカブールを支配したのち、カブールでタリバン指導部と会談したことが、確認報道されている。
 タリバン最高指導部No.2のムラー・バラダール、ムラ―・ヤクーブもカブール入りして、政権作りに参加している。タリバンの最高指導者アクンサダの動向は不明。
 また、この有力筋はアルジャジーラに、女性の権利について、女性たちは前政権同様、それぞれが働いていた医療、教育はじめ公的施設で仕事を継続することが求められている、と明確に回答した。(すでにタリバンは、タリバンを恐れて公的施設から離れた女性たちに復帰をよびかけている)
 また同筋は、カブール市内にあるバリケードや不必要な障害物の撤去を始めており、必要な検問所には“礼儀正しく、丁寧に”市民たちと接するよう指示している、と語った。
 しかし実際には、市内に配置されたタリバン兵士たちのかなりの部分が、粗野で乱暴ではないか、と推測しないわけにはいかない。そのため、多くの市民たちが脱出を求めて空港に殺到していることが事実で、最高指導部が首都に入ったタリバンの責務は大きく、深刻だ。
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