2021.09.13 DHCの化粧品は買わない
DHCテレビ裁判で辛淑玉さん勝訴

米田佐代子 (女性史研究者)
 
 9月冒頭の重要な出来事についての感想を書くのが遅くなりました。9月1日、2017年に東京MXテレビで放送されたDHCテレビによる人権団体「のりこえねっと」共同代表辛淑玉さんに対する誹謗中傷が、東京地裁で「名誉棄損」と断じられ、550万円の損害賠償とウェブサイトへの謝罪文掲載を命じる判決が出たことです。DHCの吉田嘉明会長は、かねてから朝鮮人・韓国人への口汚いヘイト発言を繰り返し、今も反省する気配がありません。わたしは以前コンビニでも買えるし安いので、DHCの化粧水などを買ったことがありますが、この事実が分かった時点で「不買」に踏み切りました。娘は通っていたジムがDHCの経営とわかったので退会、それでもハラの虫が収まらなかったので、この判決で少し溜飲が下がりました。
 これは「ニュース女子」事件として問題になったから覚えている人もいると思う。なにしろ沖縄の基地反対運動を「暴力や犯罪行為もいとわないものがやっている」と決めつけ、それを裏付けもなしに辛さんが資金を出してあおったとテレビ番組で宣伝したのですから「フェイク」とされたのは当然。辛さんは、自身が「日本人ではないということ、日本人ではない私が反戦運動に声を上げること、沖縄のことに思いを馳せること、そこを巧みに利用されたように思います」として裁判では「人種差別的」であることを主張しました。この点を裁判所は明示的に判断しませんでしたが、裁判に当たった佃弁護士は「ほかの名誉毀損訴訟と比べて、賠償額は極めて高い。人種差別的であることが、『諸般の事情』に含まれているとは思うが、明示的に書くのは難しかったのではないか」と語ったそうです。差別を包括的に禁止する法律がないためだそうです。DHC側は控訴すると言っているらしいが、やめてもらいたい。
 同じ9月1日は、1923年の関東大震災から98年、東京では実行委員会によって毎年この時起こった朝鮮人虐殺犠牲者追悼行事が行われていますが、この式典に毎年東京都知事が追悼文を送っていました。ところが小池知事になってから「犠牲者すべてに」哀悼の意を表しているからという理由で就任以来もう5年間も追悼文を送っていません。これも大きな問題です。震災の犠牲になった方々と、その混乱の中で日本人によって殺された朝鮮人を、「すべて」とくくってしまうことは、その責任を消してしまうことになる。
  戦後76年、日本がかつて朝鮮を植民地化し、「創氏改名」で本来の名前を奪い、「日本語強制」で民族のアイデンティティを奪った過去を「なかったことにする」わけにいかない。関東大震災の朝鮮人虐殺はその中から生まれたのだもの。それなのに巷に「嫌韓」本があふれ、ヘイトクライムがまかり通ることを、恥ずかしいと思わなければ。朝日新聞(9月2日付)には編集委員北野隆一さんの記事が出ていて「政府の中央防災会議報告書によると」関東大震災のとき「武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加え殺害する、虐殺という表現が妥当する例が多かった」とあることを記憶しておこう。国でさえ認めている「虐殺」の事実を。
(『米田佐代子の森のやまんば日記』 から転載)
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