2021.10.14  米国とタリバン代表がカタールで公式会談
        国際社会への復帰、復興支援拡大に道を開く

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 米国とアフガニスタンのイスラム武装勢力タリバンは、昨年2月、湾岸アラブ国カタールのドーハで開いた会談で、2018年から断続的にかさねてきた和平協議に最終合意、米軍、同盟国軍ともに14か月以内に大使館警備要員などを除き完全撤退することになった。当時のトランプ米政権を継いだ現バイデン政権は、1万3千人弱のアフガニスタン駐留米軍をごく少数の警備要員らを残して、今年8月末撤退を完了した。タリバンは、ごくわずかな反対勢力の支配地域を除き(まもなく消滅)、アフガニスタン全土を支配。すでにガニ大統領が国外に逃亡、消滅した政権に代わって9月7日、暫定政権の樹立を発表した。
 暫定政権はムハンマド・ハッサン・アフンド首相以下閣僚とそれに次ぐ次官級を合わせ33人。さらに9月21日、17人の閣僚と次官級の追加人事を発表した。併せて50人の新政権だ。
 この全陣容がそろったアフガニスタンのタリバン新政権を待っていた米国のバイデン政権は、これまでも武装勢力タリバンとの和平交渉を重ねてきた中東カタールの首都ドーハでの和平交渉を呼びかけ、10月9,10日、タリバン新政権との和平交渉が実現した。
 米国の代表団は国務省高官、タリバン側の代表はこれまでの米国との交渉代表のムラ―・アブドル・ハキーム。副首相級だ。
 2日間の交渉を綿密に取材、報道してきたカタールの国際通信社アルジャジーラが10日夜報道した、まとめ報道をなるべくそのまま、以下に紹介しようー

タリバンと米国がドーハでの“率直な会談”を終了
 米国側は安全保障、女性の権利、出国の自由、タリバン側は国際的な承認、制裁の解除を要求した。
 米代表団はタリバンに対して、すべてのアフガン社会での女性、少女の有意義な参加を求めた。

 米代表団によると、タリバンと米国の代表団は、カタールの首都ドーハで「率直でプロフェッショナルな」会談を行った。2日にわたる会談では、安全保障と「テロリズム」、女性の権利、アフガニスタンからの出国問題について討議した。
 この会談は、8月15日、タリバンがアフガニスタンを支配してから、最初の直接会談だった。
 米国務省のスポークスマンはドーハで「討議は率直でプロフェッショナルであり、米代表団は、タリバンは言葉ではなく行動で判断される、と発言した」と述べ、さらに次のように語ったー「米代表団は治安とテロ、米国民と他国民、アフガニスタン人の友人たちの通行の自由、そしてすべてのアフガニスタン社会での女性、少女の意味ある参加を含む人権尊重について発言した」と。

 ドーハからの報道をした、アルジャジーラのナターシャ・ゴネイム記者は、アフガニスタン側代表団が2日間の会談について「有意義だった」、「この会談が米国だけでなく、国際社会がアフガニスタン政府を承認する道を開くことを願っている」「ムラ―・アミール・ハーン・ムタッキ外相代理を団長とするアフガニスタン代表団は、国際的承認とともに経済的支援を求めるため、ドーハに来た、と語った」と述べた。
 さらに同記者は、アフガニスタン代表団が米国に経済制裁を止め、米国が抑えている100億ドルのアフガニスタン資産の凍結を「解除」するよう求めたと語った。

 タリバン暫定政権は、上記のように50人からなる男性ばかりの顔触れを正式に発表した。しかし、IMFや世界銀行などの国際金融システムから除外されているため、暫定政権は公務員への給与支払いはじめ、必要最低限の支出に苦闘し、経済的、人道的な危機のさなかにいる。しかし、今回の会談で、これらの問題で何らかの合意があったとは、どちら側も言ってはいない。
 アルジャジーラのゴネイム記者は「財政的な支援について、どのような合意があったかどうか、今のところ分からない」という。(坂井注:彼女も、この問題に期待をしていたようだ)

 米当局者は今回の会談前、会談はタリバンに対する継続する「現実的な関与であり、タリバンの公式承認や現実的な正当性の承認をするのではない」と語っている。
 ワシントンと他の西側諸国は、アフガニスタンに広がる深刻な人道的危機に直面しながら、タリバンが求める正統性を承認しないで、支援を国内に運び込む努力を続けている。
Comment
管理人にだけ表示を許可する
 
TrackBack