2022.01.05 おかしくないか、日本のオミクロン対策 ほか

盛田常夫 (経済学者、在ハンガリー)

 日本のオミクロン対応はあまりに過剰ではないでしょうか。連日、強制隔離の国や地域が発表されていますが、こんなことが何時までも続けられるはずがありません。入国者を日本中のホテルに拡散する馬鹿な措置が限界にぶつかるのは自明なことです。官僚任せにしていると、規制にさらに規制が加わって、二進も三進も行かなくなります。オミクロン感染者の濃厚接触者に、入試を認めない措置は批判を受けて撤回されました。またも朝令暮改です。
 感染力は高くても、重症化しないのであれば、インフルエンザと同じです。にもかかわらず、エボラ熱のように、感染そのものを阻止しようとすれば、社会生活を止めるしか方法がありません。中等症化、あるいは重症化する対象者を明確に定め、それらの人々を守るだけの措置に変更すべきです。目標のない官僚任せの場当たり的な措置の導入が、このような馬鹿げた事態を招きます。
 専門家と称する人々は、感染力の高さだけを強調して、実際の症状(重症化リスク)について何も語りません。感染すること自体が危機であるような考え方は捨てるべきです。「8割叔父さん」のように、再生産数の高さだけを強調するのは、科学者の基本姿勢としても誤りです。再生産数は環境要因で、社会生活条件、民族、民度など多くの要因によって決まるもので、世界中に一律に適用できる再生産数など存在しません。社会環境要因を無視した再生産数の計算は、ただの統計計算でしかありません。数理疫学というもっともらしい名称を付けていますが、疫学なしの統計学では、実際の役にはたちません。こういうエセ学問が大手を振っている限り、コロナ禍からの脱却は難しいでしょう。

 もう一つ、ハンガリーの話題(大統領選)です。
 現在のアーデル大統領の任期(2022年5月9日満了)が、来年の国会議員選挙の前に終わるために、任期満了の30~60日前に、ハンガリー国会が新大統領を選出することになります。そこで先週、オルバン首相は現在、家族担当無任所大臣のノヴァク・カタリン(44歳)氏をFIDESZ(キリスト教民主社会同盟・政権与党)の大統領候補にすると発表しました。
 国会では与党のFIDESZが議席の3分の2を占めますから、オルバン首相が決めれば、そのまま決定事項になります。オルバン首相はカタリン氏が当選すればハンガリーで最初の女性大統領になると自らの選択を自画自賛していますが、野党からはオルバン首相に従属している政治家を指名することに反対意見が出ています。
 野党統一首班候補のマルキ-ザイ氏は、国民統合の象徴となるべき大統領に、首相の片腕を指名したのでは、国民統合の象徴にならない。大統領を国民投票で選ぶべきだと主張しています。
 体制転換後のかつての社会党政権下では、全政党の協議にもとづいて、政党政治家ではない文人や法律家が大統領に選出され、時の政権の政策に反対する姿勢を見せたこともありました。マードル・フェレンツ大統領は、ホルン首相の国家顕彰に反対する姿勢を明確にし、ソーヨム・ラースロー大統領も、ジュルチャニ首相から提案されたホルン元社会党党首への国家顕彰に反対し、叙勲が実現しなかった経緯があります。
 しかし、FIDESZ政権になってからは、アーデル・ヤーノシュ氏のようにFIDESZ政治家が大統領になりましたが、これは多分に、オルバン首相が自分の競争相手なりうる政治家を祭り上げたという意味もありました。実際、アーデル大統領はいくつかの法案について、憲法裁判所の判断を仰ぐ姿勢を見せました。
 今回指名されたノヴァク・カタリン氏は在外教育を受けた経歴から外務省に勤務し、その後、2018年からFIDESZの国会議員になった女性です。多言語を話す優秀な人物だと思われますが、如何せん、国家統合の象徴という面から見ると、「軽量」感は否めません。せめて、国会で全政党から候補者を出しあって、その上で一定の予備交渉があってしかるべきでした。オルバン首相が指名すればものごとが決定するというのでは、ロシアや中国と変わりなくなってしまいます。
 2022年がハンガリーにとっても日本にとっても、良い年でありますよう。

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