2022.01.19 国連事務総長、米国にアフガン政府資金の凍結解除を要求
パジュワク通信社が伝える現状(10)

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 ▼カブール発:グテレス国連事務総長は13日、ニューヨークで各国記者団に対し、アフガニスタンは、いま、在外国家資産をできるだけ早く、多く、できるだけ柔軟にすることを必要としており、「これら資産が、この緊急な事態の中で、人々の生命と経済を救うために使用されるように、資産活用を妨げている条例や条件が停止されなければならない」と強調した。
 米国政府のもとには、アフガニスタン政府の預託した外貨準備資金が70億ドル程度(95億ドルとする報道もある)あり、米政府はその全額を凍結し、アフガニスタン政府による引き出しをできなくしている。
 中国政府は、タリバンによるアフガニスタン暫定政権樹立(昨年8月)1か月後の9月、暫定政権に代わって米政府に対し、アフガニスタン政府の在米準備資産95億ドルの返還を要求したが、米政府は凍結したままだった。
 今回のグテレス事務総長の発言について、タリバン暫定政権のシャヒーン国連派遣代表は、「アフガニスタン資産の凍結解除を求めたグテレス事務総長の言明に感謝する。この厳冬の困難の中のアフガン国民の注意を集めている」「危機的情勢の中で、この資金を人々の生命と経済を救うために役立てるのだ」と語った。

 ▼カブール発:USAID(米国国際開発局)はアフガニスタンへの人道支援3億8百万ドルを実施すると発表した。
 USAID声明によると、バイデン大統領は12日、アフガニスタン国民への直接的援助として実施する。この援助によって、米国の人道的援助と難民支援は、2020年10月以来、計7億8千2百万ドルとなる。このうち新しい分野での援助では、女性と少数民族、身体障害者援助がある。
 また、食料と栄養支援、健康維持施設、移動健康支援チーム、防寒対策支援、緊急資金援助、防寒器具、毛布、建設・移動支援などが含まれ、女性たちに安全に届くように実施できる。
 米国はタリバン政権に対し、援助が人道的配慮の下で、安全に、自律的に実施できるよう、再三求めている。

▼カブール発:国連・世界食糧計画(WFP)のマクグロアーティ・アフガニスタン担当局長は、AP通信とのインタビューで、資金不足のためアフガニスタンが「飢餓の津波」に襲われることを警告した。
 このインタビューで同局長は、国際社会が人道的に必要なことを政治的議論の上に置き、タリバンが指導するこの国に数十億ドルの援助を届けて、破滅を防がねばならない、と強調した。
 国連の人道支援団体によると、飢餓に近い870万人を含む2,280万人のアフガニスタン国民が、深刻な食糧不足に直面している。
 「2022年にアフガニスタンのすべての人道支援組織は、今後12カ月に44億ドル、最低でも26億ドル必要です。」と彼女は述べた。
 マクグロアーティは、最近アフガニスタン北東部のバダフシャン州で会った高齢の農民たちの話をしたー「彼らは数十年にもわたる紛争のなかで、19回も違った政府の下で暮らしたが、互いに争うことはなかった、と話した。彼らにとって、初めての現在の飢餓は50年以上も繰り返されてきた紛争よりも悪い」と語ったといった。
 マクグロアーティは、援助資金はタリバン政権から独立してアフガニスタンに送金できるとして、国際社会に送金を続けるよう要請した。
 さらに彼女は、WFPは冬の数か月に、アフガニスタン北東部と中央高地全体の主要な場所で、食料を配布できたと語った。しかし彼女は、積雪で主要道路一部が閉鎖されはじめ、援助を緊急にしている、と話した。
 「幼い子供たちに食べ物を与えられないことを想像できますか?それらの幼い子供たちを、暖かく保つことができないことを想像できますか」とマクグロアーティはいった。「想像を絶する苦しみであり、その一部だけでも避けるために、今日の支援が必要なのです」と彼女はいった。
 マクグロアーティは、アフガニスタン人は今、飢えているか、彼らの国を離れるかの選択に直面している、と言った。「それは、破滅から一歩離れることなのです」
(了)

           
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