2022.04.13 残虐なロシアの侵略戦争、第2段階

坂井定雄(龍谷大学名誉教授)

 2月24日から開始されたロシア軍のウクライナ侵略戦争。ほぼ1か月半が過ぎた。当初、侵攻ロシア軍は、ウクライナの首都キーウを3日間で占領すると一部では豪語して、北方から迫ったが、ウクライナ軍の激しい抵抗で、首都占領をあきらめ、キーウを含む北部地域から、4月7日ごろまでに全面撤退。一方、いわば第2戦線の同国東部ロシア国境地域ドンバスでは、親ロシア住民が多い地域を占領したが、その最重要目標のマリュウポル市でウクライナ側の頑強な抵抗を受けて、全面占領できず、侵略戦争は第2段階に入った。
 国連総会(193ヵ国)は4月7日、国連人権理事会の理事国(97ヵ国)であるロシアの理事国資格を停止する決議を、賛成は日米英仏など93カ国、反対は中国など24ヵ国、棄権はインドなど58ヵ国で可決。ロシアは即日、同理事会を脱退すると表明した。空席を埋める選挙が行われる。資格停止は国連安全保障理事会の常任理事国では初めて。

 ロシア軍の砲爆撃を必死に逃れ、徒歩、バス、列車などで、ポーランドはじめ隣国に必死に逃れたウクライナ国民は、4月9日までに438万人(総人口の約1割)を超えた。

 ロシア軍は、自動車、列車、徒歩で必死にポーランドに逃れる途上の避難民に対しても、残虐な攻撃を加えた。8日早朝、ウクライナ東部のクラマトルスク市の鉄道駅を短距離ミサイルで攻撃、子供を含む52人を殺害し、病院で手当てを受けた負傷者のうち12人以上が死亡した。同駅には、同市から列車で避難するための乗客2千人以上が早朝から詰めかけていた。
 首都キーウの西方約50キロの町マカリフの町長7日発表によると、同日、ロシア軍によって殺害された市民132人の遺体が発見された。大部分の死体は、集団で埋められていた。

 ロシア軍のウクライナ侵略戦争は残虐を極めた。その蛮行は、ゼレンスキー大統領の精力的な国際的告発と、当初から現地に6~7人の記者を派遣、ウクライナの記者、カメラマンとのチームで全世界に向け報道したBBCはじめ、各国の記者、カメラマンの報道によって、知れ渡った。

 首都を含む北部から撤退したロシア軍は、第2段階に入った現在、ロシア領と接する東部国境地帯の大部分を占領している。ウクライナ政府とロシア政府は、トルコ政府の仲介による会談など、不確かな交渉を行っているが、和平に向けて進展はほとんど見えない。ウクライナ政府側の要求は、ウクライナ領からのロシア軍の完全撤退。これに対してロシア側は、要求とその条件が不明確だ。ロシアは2014年、ウクライナ東部から黒海に突き出したクリミア半島での住民投票で、ロシア領編入支持多数を獲得、ウクライナ政府の拒否を押し切って編入を強行した。その後、ロシアはクリミア半島の北側に接するドンバス地方の領土化を狙い、小さな親ロシア勢力二つに、それぞれの支配地域の自立表明をさせていた。
 ウクライナの真の独立、ロシアの支配拒否を明確にして、国連加盟国の過半数の明確な支持を得ているゼレンスキー大統領と大多数の国民は、しっかりと戦いつづけるに違いない。(了)

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