2022.05.13 残忍なロシアのウクライナ攻撃続く
―狡猾なプーチン演説

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 ロシアの対独戦争勝利記念日の9日、プーチン大統領は、モスクワで開かれた軍事パレードで演説。大規模なウクライナ攻撃を、「NATO(北大西洋条約機構)諸国が最新兵器を供与して、危険が増大したため」として、東部、南部国境地帯への侵攻を正当化した。激しい砲爆撃で、多数のウクライナ国民を殺害したことについては全く触れなかった。
 ロシア軍がウクライナ侵略戦争を開始(2月24日)してから2カ月半。人口4、340万人ほどのウクライナが、抵抗を続けている。国連の発表(5月3日)によると、ロシア軍のミサイル攻撃主力の地上砲火、空爆でウクライナ側の民間人の死者は3,153人。しかしこれにはロシア軍に抵抗を続ける東部のロシア国境地域の死者はほとんど含まれず、その数は2~4万人と推定されている。ロシア軍は、当初、首都キーウを目指して北部から大規模に侵攻したが、ウクライナ軍が激しく抵抗。ロシア軍はキーウ占領をあきらめ、主力をウクライナ東部に転戦、東部から南部にかけての国境地帯を占領した。ロシア軍側の死者数も多数に違いないが明らかにしていない。

 しかし、北部ではウクライナ軍が激しく抵抗、ロシア軍は東部国境地域に主力を移動。東部の大小の都市を包囲、とくにマリウポリを激しく攻撃した。同市には、広大な敷地に建つ世界有数のマリウポリ製鉄所がある。ロシア軍は同製鉄所を包囲、降伏を迫ったが、武装した従業員に守られた製鉄所側は拒否した。しかし一部社員と逃げ込んだ市民たちは、脱出を希望、3百人以上が、ウクライナ当局とロシア軍の協議によって、脱出できた。
 ロシア軍はロシアと国境を接し、親ロシア派の住民が国造りに名乗りを上げた小都市2か所を含むドンバス地方の占領を拡げ、中小都市を包囲する態勢になっている。

 ドンバス地方をウクライナ領から奪おうとしていることは明白だ。
 ロシア軍のミサイル攻撃、爆撃は、東部に限らずウクライナ各地の都市に広がっている。国連が5月4日に明らかにした現状では、ウクライナ各地から、国外に脱出したウクライナ国民は約570万人。4,340万人の(2021年推定)総人口の約13%。
 脱出先はー
 ポーランド 3,119、196人
 ルーマニア   854,292
 ロシア     714,713
 ハンガリー   545,311
 モルドバ    450,797
 スロバキア   388,282
 ベラルーシ    25,852

▼プーチンの意図
 ロシアの独裁者プーチンが、いつ、どこまで戦争を続けるのか。9日の戦勝記念日にモスクワでの大規模な軍事パレードでの演説からもわからない。プーチンは、この日までにウクライナ東部のロシア国境地帯ドンバス州全域と、その南部の黒海に面し、2015年に軍事占領したクリミア半島、さらには黒海に面する重要な港湾都市オデーサまでを占領し、クリミア半島と同様に領土化宣言をしようと意図していたに違いない。
 しかし、欧米諸国の強力な支援、大多数の国民の信頼と支持を受けたゼレンスキー大統領とウクライナ軍は、侵攻するロシア軍と戦う力量を高めている。このため、プーチンの対独戦勝記念日のプランも崩れてしまったに違いない。
 プーチンのロシア軍は、ウクライナから撤退しなければならないのだ!
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