2007.06.12
誇りをもって今を生きる、四国の小さな町や村
中尾ひろえ
(日野・地域エネルギー協議会)
(日野・地域エネルギー協議会)
環境自治体会議 うちこ会議で片鱗に触れる
愛媛県内子町で5月23日〜25日に開かれた「第15回環境自治体会議 うちこ会議」に参加した。「〜今、見つめなおそう 真のエコロジー〜」というサブタイトルがつき、テーマは「暮らし再考 自然再生」である。
環境自治体会議は、年1回、地元実行委員会の主催で開かれている。自治体単位の会員制で現在59自治体が加盟。会議は、環境政策についての情報交換や交流が目的で、自治体職員のほか、市民も参加できる。地域の特色をさまざまなかたちで披露する場でもあり、夜の交流会が楽しい。昨年は鹿児島県指宿市で開かれた。
私が住む日野市は環境基本計画が施行された1999年頃から会員になっている。現在、日野市長は会議の共同代表でもある。
私が初めて参加したのは、4年前の長野県・飯田会議であった。新エネルギーの勉強をしたいという気持ちもあって、地域共同型エネルギー政策の分科会に参加。保育園での太陽光発電点灯式へ参列や、太陽光発電システム工場の見学など、新知識を得ることができた。また全体会で、地元中学生がりんご並木を植え替え、収穫や手入れも行っているとの報告を聞いて、たまたま宿舎近くにそのりんご並木があり、はずれに風車と太陽光発電装置つきのシンボル塔があった。小さな塔の発電の様は今なお鮮明である。
愛媛県内子町は、昔の芝居小屋で歌舞伎が上演できる劇場「内子座」があることで有名であるが、町そのものが環境に配慮されたたたずまいの中にあると感じた。この町を舞台とした今年の環境自治体会議には、地元を含め延べ800人が参加した。
2 3日は共生館での全体会。第1部は河内紘一・内子町長が内子のまちづくりについて話したあと、「歴史的環境保全が果たしたもの」というテーマで、西村幸夫・東京大学大学院工学研究科教授、川端五兵衛・前近江八幡市長、千田千代和・若狭町長、森野美徳・都市ジャーナリストの4人がパネラーとなって討論した。
面白かったのは、やはり内子町長の話であった。町が取り組んだ街並み保全は観光客誘致が目的だったが、これを進めるうちに街並み保全とは文化財の保全であり、暮らしの環境を保全することであると分かったという。結局、街並みを残すことができたのは、過疎と高齢化で住宅の近代的建て替えができなかったためで、国の補助を受けて旧い建物を保存する事業を続けることができたと、エピソードを交えながら話された。中学校校舎の一部を木造2階建てに建て替え中だが、地元の木材を使い、地元建築会社に請け負わせているという話も興味深いものだった。
第2部は馬場弘融・日野市長がコーディネーターを務め、四国の4人の首長、笠松和市・上勝町長(徳島県)、上治堂司・馬路村長(高知県)、中越武義・榛原町長(高知県)、佐々木龍・新居浜市長(愛媛県)による「エコロジーのまちづくり・四国からの発信!」と題するパネルディスカッション。
上勝町は「ゼロ・ウェイスト宣言」で有名である。ウェイストとは廃棄物のことで、2020年までに再利用再資源化を進め、焼却・埋立処分をゼロにするという宣言だ。ごみの34分別、リサイクル率76%が着実に実施されている。これを可能にしているのは、町民が元気なことと、地域資源とマンパワーを最大限に生かした情報戦略型産業だ。例えば、地元の人が「彩農業」と呼ぶ事業。これは、木の葉や草花を料理のつまとして仕立て直した商品で、全国に出荷している。これに平均70歳の約190人が従事し、年間2億6千万円の売り上げがあるという。
榛原町は、風・光・水・森を生かした町づくりを進めている。風力発電、太陽光発電、小水力発電とともに森林のバイオマスも活力の源になると、地域の特質を生かし、自然との共生を目指す取り組みだ。地域資源の活用という点では馬路村も負けておらず、有機肥料で栽培して加工した柚子油が全国で販売されているとのことだった。
別子銅山のある別子山村と合併した新居浜市は、公害に悩んだ負の歴史を貴重な近代化産業遺産として後世に残したいとの方針から、「エコ推進課」を設置し、小水力と風力という自然エネルギーの利用推進に力を入れているとのことだった。
これら四国の中山間地は、都会では見られない自信と活力に満ちていた。首長もみな、自信をもって意見を述べ合っているように感じられた。
翌24日は参加者が14の分科会に分かれ、それぞれの体験を話しながら討論を重ねた。私は、食と農業の問題を考える第8分科会に参加し、山深いところにある堆肥センターまで出かけた。途中、大江健三郎氏の生家のある町を通ったが、周辺は農村風景がまだ残されていた。
各分科会の概要が25日、内子座で開かれた全体会で報告されたが、それらをすべて伝えることはできない。ご参考のために各分科会のタイトルだけを記しておく。
第1分科会 環境でつながろう!子どもの心、大人の行動(環境教育と学社融合)
第2分科会 環境・コミュニティビジネスの秘訣とは?(経済活動と環境)
第3分科会 目指せ!森林宣隊水土(みど)れんじゃーin内子小田深山
第4分科会 石畳・むらの風景づくり(村並み保存運動)
第5分科会 これからの町並み保存−住み続けるために必要なこと−
第6分科会 山間地の交通手段を探る(交通政策)
第7分科会 バイオマスペレットの今と未来(バイオマス)
第8分科会 食の安全から考える農業(食の安全と環境保全型農業)
第9分科会 近自然工法*に見る自然環境保全(水辺環境と土木事業)
第10分科会 「命の水」〜清流小田川でつながった内子町で再考〜
第11分科会 自然エネルギー利用を持続させるしくみづくり(自然エネルギー)
第12分科会 ごみ・資源・消費行動から見る暮らし(ごみ・リサイクル)
第13分科会 市民自治で環境政策を進めるためには(環境政策とマネジメント)
第14分科会 私たちが進める地球温暖化対策
*自然素材を重視した河川工事を近自然(多自然)工法といっている
2 3日は共生館での全体会。第1部は河内紘一・内子町長が内子のまちづくりについて話したあと、「歴史的環境保全が果たしたもの」というテーマで、西村幸夫・東京大学大学院工学研究科教授、川端五兵衛・前近江八幡市長、千田千代和・若狭町長、森野美徳・都市ジャーナリストの4人がパネラーとなって討論した。
面白かったのは、やはり内子町長の話であった。町が取り組んだ街並み保全は観光客誘致が目的だったが、これを進めるうちに街並み保全とは文化財の保全であり、暮らしの環境を保全することであると分かったという。結局、街並みを残すことができたのは、過疎と高齢化で住宅の近代的建て替えができなかったためで、国の補助を受けて旧い建物を保存する事業を続けることができたと、エピソードを交えながら話された。中学校校舎の一部を木造2階建てに建て替え中だが、地元の木材を使い、地元建築会社に請け負わせているという話も興味深いものだった。
第2部は馬場弘融・日野市長がコーディネーターを務め、四国の4人の首長、笠松和市・上勝町長(徳島県)、上治堂司・馬路村長(高知県)、中越武義・榛原町長(高知県)、佐々木龍・新居浜市長(愛媛県)による「エコロジーのまちづくり・四国からの発信!」と題するパネルディスカッション。
上勝町は「ゼロ・ウェイスト宣言」で有名である。ウェイストとは廃棄物のことで、2020年までに再利用再資源化を進め、焼却・埋立処分をゼロにするという宣言だ。ごみの34分別、リサイクル率76%が着実に実施されている。これを可能にしているのは、町民が元気なことと、地域資源とマンパワーを最大限に生かした情報戦略型産業だ。例えば、地元の人が「彩農業」と呼ぶ事業。これは、木の葉や草花を料理のつまとして仕立て直した商品で、全国に出荷している。これに平均70歳の約190人が従事し、年間2億6千万円の売り上げがあるという。
榛原町は、風・光・水・森を生かした町づくりを進めている。風力発電、太陽光発電、小水力発電とともに森林のバイオマスも活力の源になると、地域の特質を生かし、自然との共生を目指す取り組みだ。地域資源の活用という点では馬路村も負けておらず、有機肥料で栽培して加工した柚子油が全国で販売されているとのことだった。
別子銅山のある別子山村と合併した新居浜市は、公害に悩んだ負の歴史を貴重な近代化産業遺産として後世に残したいとの方針から、「エコ推進課」を設置し、小水力と風力という自然エネルギーの利用推進に力を入れているとのことだった。
これら四国の中山間地は、都会では見られない自信と活力に満ちていた。首長もみな、自信をもって意見を述べ合っているように感じられた。
翌24日は参加者が14の分科会に分かれ、それぞれの体験を話しながら討論を重ねた。私は、食と農業の問題を考える第8分科会に参加し、山深いところにある堆肥センターまで出かけた。途中、大江健三郎氏の生家のある町を通ったが、周辺は農村風景がまだ残されていた。
各分科会の概要が25日、内子座で開かれた全体会で報告されたが、それらをすべて伝えることはできない。ご参考のために各分科会のタイトルだけを記しておく。
第1分科会 環境でつながろう!子どもの心、大人の行動(環境教育と学社融合)
第2分科会 環境・コミュニティビジネスの秘訣とは?(経済活動と環境)
第3分科会 目指せ!森林宣隊水土(みど)れんじゃーin内子小田深山
第4分科会 石畳・むらの風景づくり(村並み保存運動)
第5分科会 これからの町並み保存−住み続けるために必要なこと−
第6分科会 山間地の交通手段を探る(交通政策)
第7分科会 バイオマスペレットの今と未来(バイオマス)
第8分科会 食の安全から考える農業(食の安全と環境保全型農業)
第9分科会 近自然工法*に見る自然環境保全(水辺環境と土木事業)
第10分科会 「命の水」〜清流小田川でつながった内子町で再考〜
第11分科会 自然エネルギー利用を持続させるしくみづくり(自然エネルギー)
第12分科会 ごみ・資源・消費行動から見る暮らし(ごみ・リサイクル)
第13分科会 市民自治で環境政策を進めるためには(環境政策とマネジメント)
第14分科会 私たちが進める地球温暖化対策
*自然素材を重視した河川工事を近自然(多自然)工法といっている
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横浜で生まれた長女が幼児教室に入り、長男が生まれて緑豊かな環境で育ちました。
あの環境はいまどうなっているのでしょう。
とかく、自治体など行政当局に目が行きますが、われわれ自らの<暮らし方>に目を向ける必要があると思います。