2022.12.26 イマジン
韓国通信NO711

小原 紘 (個人新聞「韓国通信」発行人)

 最近、ジョン・レノンの『イマジン』のメロディがしきりに浮かんでくる。メロディばかりで歌詞がわからない。詩をなおざりにしてきたのはうかつだった。
 オノ・ヨーコの詩に由来する歌詞は、発表された1971年当時のアメリカ社会、なかでもベトナム反戦と黒人差別社会に対する怒りが投影された作品と言われる。
 中学生でもわかるやさしい歌詞。
 「この世には天国はない」から始まり、国があるから人々は殺し合い、国のために死んでいく。平和を邪魔する国と宗教ならいらないという主張が権力者たちから危険視されることもあった。だが社会に抗議して平和と平等、そのために団結を呼びかける歌は世界中から支持され広がった。

 Imagine no possessionsはこの曲の肝とも言うべき部分で、no possessions(所有のない社会)は資本主義社会への挑戦と読める。甘く切ない曲のなかに婉曲な表現ながら、飽くなき「所有への貪欲が人々を飢えさせる。だから世界の兄弟たちよ、分かち合おう!」と訴える。(https://www.youtube.com/watch?v=wARpk54fv8U これはイマジンの決定版)

 資本主義の終焉、脱成長論が多くの人の心をとらえ始めている。岸田首相でさえ「新しい資本主義」を主張するくらいだ。資本主義は人々を不幸にするシステムだということが次第に明らかになってきた。『資本論』から約100年後『イマジン』は私的所有社会の弊害を歌に、それから半世紀にわたって世界の人たちの心をとらえ愛唱されてきた。

 レノンは歌の中で二回繰り返す。
 「ボクを夢想家と思う?」「君も仲間になってくれたら、世界は一つになるんだ」と。このメロディも心に響く。
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 40才で亡くなったジョン・レノンが生きていれば今年で82才。『イマジン』発表後、ベトナム戦争は終わったものの中東戦争、ソ連のアフガニスタン侵攻、イラン・イラク戦争。死後も湾岸戦争、コソボ紛争、同時多発テロ、アメリカのアフガン侵攻、イラク戦争、ロシアのウクライナ侵攻と戦禍は続いた。『イマジン』が恐れたように今世界には9億人を超す人たちが飢餓で苦しんでいる。レノンの夢は悪夢となった感さえある。

 イマジン 
 想像して欲しい。地球温暖化、飽くなき軍備拡張、不平等社会のなかで、夢想し、希望を持ち続ける人が大勢いることを。イマジン! 
 平和のために先制攻撃も辞せず、脱炭素化を口実に原発を増やそうとする。命より経済を優先させる発想は一体どこから生まれ何を意味するのか。人々が助け合って平和に生きることができればそれに勝るものはない。You may say I`m a dreamer。
 私たちは決して一人ではないと歌ったジョン・レノンの夢は生き続けている。

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