2023.03.14 ロシア軍の空爆と地上侵攻にウクライナ軍が激しく迎撃

      1年を過ぎたロシアの侵略戦争

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 ロシアがウクライナへの侵略戦争を開始(昨年2月24日)してから1年以上が過ぎた。ウクライナでは、ロシア軍の空爆と戦車侵攻に対して、ウクライナ軍の抵抗が激しく続いている。
 連日、現地からの報道を全世界に伝えているBBCは8日、以下のような報道をしている。

 ロシア軍は、北部のハリコフから南部のオデッサ、西部のジートミルに至るウクライナ全土の目標をミサイル攻撃した。
 ハリコフやオデッサでは多くの建物やインフラ施設が攻撃され、いくつかの地域で停電が発生した。また、首都キエフへの攻撃も報告されている。
 この攻撃は、ウクライナ東部のバフムート市をめぐる激しい地上戦が続く中で行われた。
 米国のヘインズ国家情報長官は8日、「プーチン大統領は戦争を何年も引き延ばすつもりかもしれないが、ロシアは今年新たに大規模な攻勢をかけるほど強くない」と述べた。
 ヘインズ長官はなお戦争が続く可能性があることを示唆し、「どちらも、決定的な軍事的優位性を持たない、消耗戦になっている」と分析した。
 ロシアのプーチン大統領が、ちょうど1年前に侵攻を開始して以来、何万人もの戦闘員や民間人が死傷し、何百万人ものウクライナ人が難民となった。
 キエフのクリチコ市長と救急隊は、首都の西部と南部で大きな爆破があった現場に駆けつけた。
 港町オデッサのエネルギー施設を大量のロシア・ミサイルが襲い、停電を引き起こしたと、同市のマルチェンコ知事が述べた。住宅地も攻撃されたが、死傷者は出ていないと、彼は付け加えた。   
 ハリコフ市とその周辺では約15回の空爆があり、「重要なインフラ施設」と住宅が標的となったと、シネグボフ地方行政長官が述べた。
 ロシアのウクライナ攻撃のその他の被害地域は、西部のヴィニツィアとリブネ、中央部のドニプロとポルタヴァ。
 ヘインズ長官また、プーチン大統領は戦争を何年も引き延ばすつもりかもしれないが、ロシアは今年新たに大規模な攻勢をかけるほど強くはないとの見解を示した。
 同長官は、ウクライナの戦争は「どちらも決定的な軍事的優位性を持たない、消耗戦」になっていると述べた。さらに同長官は「しかし、プーチンは、時間が自分に有利に働くと計算し、戦闘の一時停止を含めて戦争を長引かせることが、たとえ何年もかかっても、最終的にウクライナにおけるロシアの戦略的利益を確保するために、最善の道だと考えているようだ」と述べた。

 さらにヘインズ長官は、ロシアは現在占領している地域の防衛に転じるかもしれないと述べ、ウクライナでの作戦レベルを維持するためには、さらに「強制動員や第三者の弾薬源」が必要になるだろうと付け加えた。

 ウクライナ軍は2023年3月9日、ロシア軍が東部の都市バクムートの東半分を制圧したと主張しているにもかかわらず、同市に対するロシアの激しい攻撃を押し返したと発表した。
 モスクワは数ヶ月前からバフムート市の奪取を試みており、双方が消耗戦で大きな損害を被っている。
 ウクライナ軍参謀本部は「敵は攻撃を続け、バフムート市への襲撃をやめる気配はない が"、我が防衛軍はバフムートと周辺地域への攻撃を撃退した」と述べた。
 西側当局によると、ウクライナの都市バフムートの戦闘が昨年の夏に始まって以来、2万人から3万人のロシア軍が死傷している。


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