2024.02.29 日本と世界の未来 
 
 韓国通信NO738
   
小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)

 「僕はジコチュー」。ある精神障害者の友人が語ったことを思い出す。今から25年前、栃木県喜連川の障害者施設で働いていた時のことである。
 世界は国益と自己主張が渦巻く分断社会にある。

(講演会その1)
 去る2月10日、東京葛飾区の青戸センターで開かれた国際政治学者羽場久美子氏の講演を聞いた。テーマは「戦争か、平和か? アジアを『戦前』にさせない」「平和、人権、命を守るために私たちにできること」と欲張った。
以下2時間にわたる講演の感想である。
羽場久美子
<写真/同氏HPより>
 メモ書きと記憶にもとづく「感想」であることをご承知願いたい。本人からお叱りを受けるのではないか心配だ。

<50年後の世界>
 羽場氏はアメリカの著名な金融機関のレポートから50年後のGDPの国際比較を紹介した。ランキングは上位から ①中国②インド③アメリカ④インドネシア⑤ナイジェリア⑥パキスタン⑦エジプト⑧ブラジル⑨ドイツ⑩イギリス⑪メキシコ⑫日本の順である。
 経済大国「慣れ」した日本人にはショックな内容だが、日本の凋落に警鐘を鳴らすのが目的ではない。予測される先進国による南(グローバルサウス)の収奪構造の変化の中で日本の進むべき道を語った。

<危険な日米関係>
 アメリカへの過剰なまでの従属ぶり。日本では当然と思われても世界からは奇異なものに映っている。アメリカの敵は日本の敵。「安保法制」と「安保三文書」が現実味を帯び出した。世界の緊張激化にともない日本の平和はかつてなく危機的状況にある。
これでいいのかと羽場さんは会場に問いかける。
 安保理ではイスラエルに対する戦争停戦決議がアメリカの拒否権で葬られた。国際条約で禁止されたクラスター爆弾をウクライナに提供するアメリカ。戦争支援国家アメリカは「ならずもの国家」と言ってよい。ハマスはテロリスト集団、ロシアは専制独裁国家、中国を人権後進国と非難するが、アメリカにそれを言う資格があるのか疑わしい。危険な日米関係を批判しない日本のマスコミも心配だ。
 羽場氏の批判は自信に溢れ、よどみがない。
 国際文化関連の著書多数。国内外の大学の教授を兼任、研究員の肩書も多い。多くの国際会議の役員として活躍する彼女は歯に衣を着せない発言で知られる。平和と人権にかかわる市民運動にかかわりの深い学者として注目を集める。
 日本のアジア侵略についても厳しい。「加害者が被害者を非難するようでは友好と平和は築けない」と日本政府の責任逃れを断罪(月刊『マスコミ市民』1月号対談)。中国の「一帯一路」政策に関しては中国脅威論に染まって無視し続ける日本を憂慮する。パレスチナ問題は100年前に始まったイギリスの「三枚舌外交」から生まれた。ハマスはガザ地区の選挙で選ばれた合法的政体である。過激派武装集団は一部に過ぎない。
 イスラエルのジェノサイドに反対の声をあげよう! 二つの戦争の即時停戦を訴え講演を締めくくった。

(講演会その2) 
<「国境なき医師団」の報告集会>
国境なき医師団
<写真/会場風景/筆者撮影>

 同月20日、我孫子市生涯学習センターで「国境なき医師団」の日本のリーダー中島優
子医師の報告を聞いた。求められれば世界の何処でも出かける医師たち。彼女はナイジェリアを始め7ヵ国、昨年末にパレスチナ・ガザ地区から帰国したばかり。
 ガザでは連日の空襲で子供たちを中心に3万人近い犠牲者が生まれ、現在も増え続けている。ジャーナリスト、医療関係者も亡くなるという過酷な現地報告にかたずを呑んで聞き入った。危険な場所に誰も行きたくないのは当然。日頃の医師団の献身的な活動に敬意を抱く市民たちで会場は立ち席がでるほど溢れた。即時停戦を願う彼女と聴衆が一体となった。
 国境なき医師団は世界に42の事務局を置き、49,000名の医師が参加する。独立、公平、公正を原則とする彼らは、実態は報告するが紛争に関する批判は許されない。
 「可愛いい、可愛いい」と連発して子どもたちの映像に声をつまらせながら紹介する彼女からガザの現実のすべてが理解できた。  
 「ジコチュー」に陥った政治家たちとは真逆の医師団の活動に元気をもらい希望を見出した。
活動は募金によって支えられている。HP https://www.msf.or.jp/donate/select/から寄付は可能だ

少子化問題を考える
 日本のGDPが12位になるという予測。皆さんはどう受け止めただろうか。2070年の
予測される日本の人口は8700万人、高齢化率38.7%。子どもが少ない活気のない社会。経済規模の縮小にともなう行政サービス、社会保障、医療体制の縮小、地方の一層の過疎化などあらゆる部門の深刻な「縮小」が予想される。
 だが、政府の少子化対策として聞こえてくるのは子どもの手当の話ばかり。物価高騰、深刻化する所得格差。7人に1人の子どもを貧困に放置したまま、金をばらまいて子どもを増やすという発想はいかにも金権政治的で安易すぎる。
 1200兆円の国の借金は増える一方。アメリカから使い切れないほどの武器を買わされキナ臭ささえ漂い始めた社会に生まれてくる子どもたちも納得しないだろう。「適正」な人口という発想にはいかがわしさが感じられるが、人口を含め生活環境、社会保障、働き方、外国人との共生など日本の未来について国民的議論が必要ではないか。退場が求められている自民党政権の知的水準では期待できない重すぎるテーマではあるが。
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