2024.03.28  3.20「さようなら原発全国集会」
   韓国通信NO740

小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)
           
 祝日で原宿駅前は若者たちで大賑わいだった。ブラカードやノボリを持ち会場の代々木公園に向かう人たちと彼らは明らかに「異人種」だった。小雨が降り肌寒かった。

 福島第一原発事故からまる13年、いまだに緊急事態宣言が出されたままだ。何故、解除されないのか改めて政府に聞いてみたい気がする。
 爆発した原子炉の中は手付かずのまま。「復興」も掛け声ばかり。いまだに故郷に帰れない人が大勢いる。安全ならそのまま保管してよい汚染水を処理水と言い換えて海に廃棄した。やはり宣言の解除はあり得ないのだろう。原発の再稼働と新設とは! 正気の沙汰ではない。地震のたびに近くの原発に思いをはせて不安になる日常が続く。
                       <下写真/東京新聞3/20付>
さよなら原発320集会

 「レモンちゃん時代」から知っている落合恵子さんが後期高齢者とは信じられない。いつものようにしっかりと参加者たちの気持ちを語ってくれた。作家の澤地久枝さんが94才という高齢をおして登壇、反原発の運動は絶対にやめるわけにはいかないと静かに訴えた。会の呼びかけ人だった内橋克人、大江健三郎、落合恵子、鎌田慧、坂本龍一、澤地久枝、瀬戸内寂聴、辻井喬、鶴見俊輔のうち6人が亡くなった。反原発、反核、平和への思いを受け継ぐ人たちが今年も6千人も集まった。

 会場に隣接するNHKホールとNHK本社の存在に改めて気がつく。NHK全体が「OOTANI」一色に染まったとは思わないが、原発にしがみつき、金権腐敗、大軍拡を進める自民党政治を糾弾する集会に関心はまったくないのは異常に思えた。これが公正・中立なのか。「政府に物申す」運動を報じなくなってから20年になる。それどころか最近は「火消し役」になった感さえある。愚痴を言っても始まらない。自民党政治と一緒にNHKも変えるしかない。NHKの職員たちも官製春闘でどれほど賃上げを「勝ち取った」のか知りたくなった。

<わが亡き後に 洪水は来たれ>
 小雨があがった。突然「わが亡き後に洪水は来たれ」という言葉が浮かんだ。
カール・マルクスは『資本論』でフランスのルイ15世の愛人ポンパドゥールの言葉、「わが亡き後に洪水は来たれ」を引用して資本主義の末路を述べた。利潤のためには労働者がどうなっても構わない。「後は野となれ山となれ」。最近は資本家や無責任な権力者に使われることが多い
 世界中が「わが亡き後に洪水は来たれ」の状態となった。「世も末」と嘆く人が少なくない。地球温暖化、環境破壊、核兵器、ウクライナとイスラエルの戦争も世界規模の「今だけ金だけ自分だけ」から生まれたと言って過言ではない。グローバルスタンダードに追いつけとばかりの憲法違反。わが国も武器を製造して儲ける「死の商人」国家となった。まさしく金儲けのためには「後は野となれ山となれ」である。
 権力者の腐敗はどの国でも起こりうるが、わが国の政治の腐敗ぶりは目を覆いたくなるほどの惨状である。

 地震大国にもかかわらず原発を死守しようするのも金のためなら、金のために狂奔する政権与党の腐敗ぶりが次々と明らかになった。「裏金」で私腹を肥やしたり、闇の政治活動に使った。「わが亡き後に洪水は来たれ」を地で行く傲慢不遜ぶりに寛容な国民も呆れ返り、怒った。
 政治不信を招いたことに政府は「真摯に」謝罪するばかりで実態は明らかにしない。やがて国民が忘れてくれるのを期待する厚かましさ。検察が見逃しても主権者の国民は見逃さない。自民党に秋波を送る野党と権力にすり寄るメディアもいらない。さようなら原発の集会で異口同音に「自民党政治打倒!」の声があがったのは当然だった。

<君たちはどう生きるか>
 「君たちはどう生きるか」という宮崎駿のアニメ作品がアカデミー賞を受賞した。私には退屈な作品だった。それとは別に同名の小説 を書いた吉野源三郎の思い出話をしたい。
 高校時代に全校生徒の前で吉野さんが講演した。「君たちはどう生きるか」というテーマだったと記憶する。「君たちと同じ年頃の多くの若者が徴兵され戦死した」「戦争は絶対に繰り返してはいけない」「君たちは子どもではない。自分の頭で考え行動するように」と諭した。
 60年安保で騒然としたさなかの時期。翌朝の校内放送で校長先生が戊辰戦争のさなかに福沢諭吉から学んだ学生を例にとって、吉野さんの話に惑わされて軽はずみな行動をしないよう説得した。校内放送は逆効果だった。その日から毎回、安保反対のデモに自分の頭で考えた100名を超す生徒が参加した。自分の頭で考えること。吉野さんの話は私の生涯の指針となった。昔の高校生としてそのことを今の若者に伝えたいと思う。

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