2024.04.13  〝党存亡の危機〟を訴えた第2回中央委員会総会、全支部が立ち上がれば目標実現が可能との「仮定の方針」を実現できるか、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その21)

広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
                
 4月6、7両日にわたって開かれた共産党の第2回中央委員会総会(2中総)が終わり、「党づくりの後退から前進への歴史的転換を――全党の支部・グループのみなさんへの手紙」が公表された(しんぶん赤旗4月8日)。今回の2中総の際立った特徴は、これまでのような長文の決定文書の作成を避け、「手紙」という形で〝党勢回復一本〟に絞った内容になったことだ。これは、長文の決定文書が党員から忌避され、読了する党員が3~4割にしか達しないという事態をもはや無視できなくなったからであろう。何しろ全党の英知を結集して作り上げ、歴史的成功をおさめたと自画自賛する第29回党大会決定の読了率が27.8%というのだから(志位議長の開会のあいさつ、しんぶん赤旗4月7日)、実態は推して知るべしなのである。

 「手紙」の趣旨は以下の3点に集約される。
 (1)この2年間は、わが党にとって歴史的な分かれ道となる2年間です。党大会決定は、次期党大会までに、すなわち2年間で、①第28回党大会時現勢――27万人の党員、100万人の「しんぶん赤旗」を必ず回復・突破すること、②青年・学生、労働者、30代~50代での党勢倍化、1万人の青年・学生党員と数万の民青の建設を図ることを決めました。2年間でこの目標を実現できるかどうか。ここに文字通り、わが党の命運がかかっています。
 (2)この2年間、党づくりが進まなかったらどうなるか。わが党の任務が果たせなくなる事態に直面することは、みなさんが痛いほど感じておられることだと思います。「党の旗を地域で示せなくなっている」「選挙をたたかう自力があまりに足りない」「しんぶん赤旗が配れなくなった」――全国のみなさんが直面している困難に、私たちが胸を痛めない日はありません。しかし、困難に負けて党づくりをあきらめてしまったら未来はなくなり、国民への責任を果たせなくなってしまいます。試練に耐えて党の灯を守り続けていること自体が大きな値打ちのあることです。そこに自信と誇りを持ち、困難は党づくりで突破するという立場にたち、みんなで築いてきた草の根の党の旗を未来へ引き継いでいこうではありませんか。
 (3)党大会で掲げた2年間の目標は、決して無理な目標ではありません。すべての支部が毎月毎月、党員と読者の拡大に足を踏み出し、一つの支部に平均すれば、第29回党大会現勢から2年間で2人の党員、2人の日刊紙読者、8人の日曜版読者を増やすという目標です。全国のすべての支部と党員が立ち上がるならば、必ずやり遂げることができます。

 ここでは「崖っぷち」に追い詰められている党の実情が垣間見える。日刊紙赤旗の党活動欄は、先進支部の活動が中心になっていて、全国至るところで拡大運動が毎日勢い良く展開されているかのような印象を受ける。だが実態は、全国の支部が「党の旗を地域で示せなくなっている」「選挙をたたかう自力があまりに足りない」「しんぶん赤旗が配れなくなった」といった困難に直面している――というのである。しかし、問題はその先にある。試練に耐えて党の灯を守り続けていることが自信と誇りにつながり、「困難は党づくりで突破する」という立場にたてば未来は開けるというが、果たしてそうだろうかということだ。

 この文面には大きな論理矛盾がある。長期にわたる党づくりの後退が〝原因〟であり、党活動の困難が〝結果〟であるにもかかわらず、原因を究明しないで「困難は党づくりで突破する」というのだから、およそ方針らしい方針になっていないのである。これでは党づくりは〝我慢と根性〟でやるしかなくなり、旧日本陸軍と同じく「バンザイ突撃」(進退窮まった部隊が最後の戦術として行う自殺的な攻撃)になってしまう。戦況を正しく分析せず、作戦を十分に吟味しないで、とにかく「突撃命令」を出せばよいといった司令官の下での軍隊の運命がどうなるか、ちょっとでも『失敗の本質、日本軍の組織論的研究』(中公文庫、1991年)を読めばわかることだ。

 それに加えて、各支部が平均して2年間で2人の党員、2人の日刊紙読者、8人の日曜版読者を増やすという目標が決して無理な目標ではなく、全国のすべての支部と党員が立ち上がるならば、必ずやり遂げることができるという方針の提起にも心底驚く。この方針は、いわば「たられば」(事実と無関係な仮定の話)の見本みたいなもので、田村氏自身が報告した「入党の働きかけを行っている支部は毎月2割弱、読者を増やしている支部は毎月3割前後」という〝事実〟とはまったく無関係な〝仮定の話〟なのである。事実に基づいてどうすれば多くの支部を立ち上がらせることができるかという現実的な方針の提起ではなく、「全国すべての支部と党員が立ち上がれば」との(あり得ない)条件を設定したうえでの仮定の話であり、それで「必ずやり遂げることができる」というのだから、眉唾物以外の何物でもない。

 それでも田村委員長は力説する(2中総結語、しんぶん赤旗4月9日)。今後の政治日程を考えた時、今年前半は思い切って党づくりに力を集中し、7月末を一つの節目にして2年後の目標達成にふさわしい毎月毎月の目標水準――全国的に毎月2万人に働きかけて2千人の入党者を迎える、日刊紙では毎月1200人、日曜版では6千人以上の増勢をかちとるというものだ。この提案は全員一致で採択されたというが、目下毎月400人台の入党者を2千人に引き上げることは容易でないし、減紙が続いている機関紙読者を増勢に転じることも容易でない。この方針がどれだけリアリティを以て受け止められるかいずれ明らかになるだろうが、その時は〝党の存亡〟を懸けた判断が求められる時だろう。

 蛇足ながら、NHKの最新世論調査(4月5~7日実施)の結果を付け加えておく。志位議長は、ことある度に「自民党政治の行き詰まりが内政・外交ともに極限に達しており、多くの国民が自民党に代わる新しい政治を求めており、それにこたえられるのは日本共産党だ」と吹聴するが、それを実証する根拠はどこにもない。上記世論調査の政党支持率は、自民28.4%、立憲6.5%、維新4.7%、公明4.0%、共産2.4%、れいわ1.7%、国民民主1.5%、社民0.5%などであり、共産は自民の10分の1にも満たない。また自公合わせての与党は32.4%、維新を含めても野党は14.3%にすぎず、支持政党なし41.3%に届く政策を打ち出さなければ、政権奪取など「夢のまた夢」でしかない。もうそろそろ夢物語は止めて、「リアル」な党勢回復方針を打ち出す時ではないか。(つづく)
Comment
管理人にだけ表示を許可する
 
TrackBack