2009.07.05 国民を馬鹿にしている政治リーダーたち
 有権者は顔を背けず、各自の見識で対応を

早房長治 (地球市民ジャーナリスト工房代表)


政治リーダーのあきれた行動が続出している。まず、麻生太郎首相が総選挙直前になって自民党執行部の入れ替えを断行しようとしたが、現執行部はもちろん、大部分の派閥幹部たちの強硬な反発にあい、撤回した。自民党内で強まる「麻生降ろし」の動きにブレーキをかけるとともに、選挙戦で、不人気の自分を補う“人寄せパンダ”づくりを狙ったのだろうが、お粗末極まりない行動で、失敗は当然である。麻生首相の求心力がいっそう弱まったことは明らかだ。

民主党の鳩山由紀夫代表の政治資金報告書に90人もの人が2千万円超の個人献金をしたという虚偽の記載があったという事件も、有権者が絶句する類の大不祥事である。鳩山氏は、個人献金担当の秘書が自分の業績を良く見せかけるために、鳩山氏から預かっていた資金を個人献金として報告書に記載した、と説明し、謝罪した。しかし、これで説明責任を十分に果たしたとはいえない。鳩山氏は、国会の政治倫理審議会などにも積極的に出て、具体的に説明すべきである。

自民党に自らを総理、総裁候補とするという条件を突きつけて、自民党から立候補することを承諾したとみられる東国原英夫・宮崎県知事は、未熟で破廉恥な政治家としての“馬脚”を暴露した。約2年半前に初当選したばかりで、公約も十分に果たしていないのに、県知事のイスを任期途中で放り出すのは無責任である。また、国政の経験はまったくないばかりか、国政についての政見もまともに述べたことのない政治家が首相の座を要求するとは、非常識を通り越して、破廉恥とさえいえる行為である。
3人に共通しているのは、国民をなめていることである。麻生首相は、首相として国会の解散権を事実上、独占している。首相就任以来、専権事項であることを盾に、国民に明確な理由を説明しないままに、総選挙を今日まで引き延ばしてきた。今回は、自民党総裁として、執行部交代の理由を明確にしないままに、人事権を行使しようとした。こんな専横的なやり方が通ると、首相はたかをくくっているようである。このレベルの低さは度し難い。

鳩山代表は潤沢な政治資金を持っているし、また、その人柄からして、ダ―テイ―なカネをインチキな方法で集めてはいないだろうと思われる。しかし、当人が知らないことであったとしても、故人を含む多数の個人の名前を勝手に使って政治報告書をつくるのでは、政治資金規正法を否定しているに等しく、ひいては、民主主義の土台の一つを破壊していることにもなる。「脇が甘い」のではない。民主主義についての理解が浅すぎるのである。

東国原知事の行動はレベルが低すぎて、まともな論評に値しない。それよりも、東国原氏に膝を屈して出馬を要請した古賀誠氏をはじめとする自民党幹部の矜持の欠如ぶりにはあきれる。政権さえ守ることができれば、国政までも“タレント政治家”に委ねてもいいと考えているのか。

国民を馬鹿にした3人の政治家の行動を、国民が厳しく批判するのは当然である。しかし、それだけではいけない。「ふざけている」「こんな政治家たちを相手にしていられない」と、政治の現実から目を背けてしまったら、政治は現状で足踏みするだけである。いい換えれば、有権者のレベルも愚劣な政治家と同水準に止まってしまう。

与野党のリーダーや、もてはやされる知事の行動のレベルが劣悪極まりない今日こそ、有権者は政治家に頼らず、各自の見識を磨き、発揮しなければならない。政権交代と官僚政治からの脱却、核兵器と平和、経済危機からの回復、医療・介護・年金、方向性を失っている教育などの問題について、一人ひとりが懸命に考えて答えを出し、その上で総選挙の一票を投じなくてはならない。

古今東西、歴史の転換点では、国民一人ひとりが何らかの発言をして、社会構造を変化させてきたことを忘れてはならない。
                           (7月3日記す)
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