2009.08.03 各党は少子化対策を内需拡大の柱に
子育て・教育支援もバラマキ型でなく

早房長治 ((地球市民ジャーナリスト工房代表)


 総選挙に向けたマニフェストで、自民、民主両党が大々的な子育て・教育支援策を発表し、子育て世代の争奪戦を繰り広げている。これまで、この種の支援政策が、国際的にみても非常に見劣りしていたことを考えると、大変結構なことである。しかし、両党とも、考え方とやり方がバラマキ型に近く見えることが気にかかる。せっかく巨額の予算を注ぎ込むのなら、構造改革の一環と位置づけ、内需拡大政策の柱とすべきである。

 民主党は月額2万6千円の「子ども手当」を子育て・教育支援の中心とするほか、公立高校の授業料の無償化、出産一時金の増額などを掲げた。一方、自民党は、3~5歳児への幼児教育の無償化、保育サービスの集中整備などで対抗しようとしている。「子ども手当」は従来からの民主党の主張だが、自民党の場合、なぜ3~5歳児なのか、もう一つ、明確でない。

  しかし、日本の政府による家族支援支出が経済協力開発機構(OECD)加盟29か国中26位と、最低の状況であったことを考えると、選挙前とはいえ、両党の競い合いは望ましいことである。わが国の少子高齢化のスピードは先進国中、最高である。年金の充実など、高齢化対策は、過去約20年間に、それなりに手が打たれてきたが、少子化対策子育て支援は、つい最近まで、ほとんど無視されてきた。

  その結果、北欧はじめ欧米の大部分の先進国では、女性が出産後・子育て中も働き続けているのに対して、日本では、70%近い女性が出産後、職場から去っている。子育てが終わって復職を試みても、非正規労働にしか就けない。悲惨なのは母子家庭で、その貧困度は先進国中最悪であることが、OECD 統計で明らかになっている。このような状況は、小泉改革以降、むしろ進んだ。

 自民、民主両党の子育て・教育支援策には規模、内容にかなりの差があるが、民主党の政策でも「バラマキ」と受け取られかねないのは、中期的な構造改革政策と結び付けられていないからである。たとえば、北欧諸国と同様の福祉経済化政策の一環と位置付ければ、将来、経済活性化や税収増加の原動力の一つともなるので、「バラマキ」といわれるはずもない。

 福祉経済政策が経済活性化の大きな力になるかどうかについては、もう少し詳しい検証が必要だろう。しかし、北欧諸国がすべて、一人当たり国民所得ランキングの上位に入っていることを考えると、日本も福祉経済化をトライしてみる価値はある。万一、経済活性化に失敗しても、福祉水準は間違いなく向上するのであるから。

 各政党も国民も、総選挙をきっかけに子育て・教育支援策を本格化させるだけでなく、それを核とする内需拡大政策、さらに「国の形」にまで、思いを広げてほしい。
                           (7月31日記す)

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