2018.02.11  「本日休載」

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リベラル21編集委員会

2018.02.10 ▇短信▇
未来へと伝えたい~核の被害を乗り超える
3・1ビキニ記念の集い2018

 公益財団法人第五福竜丸平和協会は、1954年3月1日に太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で行われた米国の水爆実験で、静岡県のまぐろ漁船「第五福竜丸」の乗組員やマーシャル諸島の島民が被ばくしたことを記念して、毎年、3月1日前後に「集い」を開いているが、今年は以下の要領で開催する。

 とき: 2月24日(土)14時~17時

 会場: 日本青年館8階会議室(東京都新宿区霞ヶ丘町4-1)
       東京メトロ銀座線外苑前駅3番出口、JR中央線・総武線千駄ヶ谷駅、信濃町駅

 講演: トム・D・キジナーさん(駐日マーシャル諸島共和国大使)
     大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
第五福竜丸平和協会によると、マーシャル諸島共和国政府は核実験被害国として、2014年、核大国を相手取って「核廃絶への努力不履行」を国際司法裁判所に提訴し、国際世論に一石を投じた。キジナー駐日大使には、同国の深刻な核被害、その一方で米国の核戦略に組み込まれた実情、核なき未来に向けたマーシャルの人々の願いについて語ってもらい、大石さんには、ビキニ水爆実験、引き続く核の脅威、収束の見えない原発事故などを踏まえての現在の心境を話してもらうという。

 資料代: 500円

 問い合わせ: 公益財団法人第五福竜丸平和協会(電話03-3521-8494)
                                                 (岩)

2018.02.09  『レーニン伝』を読む
          ――八ヶ岳山麓から(249)――

阿部治平 (もと高校教師)

ロシア革命の指導者レーニンの伝記は数多くある。
最近刊行された一冊、ヴィクター・セベスチェン著(三浦元博・横山司訳)『レーニン 権力と愛』(白水社 2017)は、そのあまたある「レーニン伝」のなかでは人情本版とも呼ぶべきものである。

この本は帯の惹句が好い。上卷おもて表紙のそれには「同志より、妻と愛人に信を置いた革命家の『素顔』」とある。この巻に描かれるのは、生い立ち、革命運動への参加、国外からの革命指導、そしてその間の妻や愛人との人間劇である。
下巻の帯の惹句は「『善を望みながら、悪を生み出した』革命家の悲劇」となっている。2月革命を受けてのロシアへの帰還、10月臨時政府の打倒と軍事クーデタ―による権力奪取、脳梗塞の発病を経て1924年に死去するまでが描かれる。
激しい革命活動のなか、(邦訳にして)40巻余の著作をどうやって残せたか、『唯物論と経験批判論』がなぜあのようにしつこいのか、『国家と革命』がかなりずさんな国家論なのはなぜか、といった類のことは書かれてはいない。

レーニンはロシア人としてはいかにも小柄だった(160cm!)。顔もどことなくアジア人を思わせる。本書の詳しい家系記載によれば、彼は19世紀ロシアの典型的なブルジョアの出ではあるが、生粋のロシア人ではなかったことがわかる。
スターリンは自分がグルジア(ジョージア)人でありながら、レーニンを「生粋のロシア人の天才」に仕立てたくて、レーニンの家系研究を禁止した。その方が後継者としては都合がよかったからだ。だが時代が下ってソ連崩壊の30年前には、蔵原惟人氏が、レーニンの祖母のひとりがカルムィーク(モンゴル)人だったことを書いている(『若きレーニン』新日本出版社 1969)。

レーニンの妻ナジェージダ・クルプスカヤについて、著者は上巻「序文」の中で、「通常描かれるような、働き者の主婦兼秘書という枠には収まらない姿が浮かび上がってくる。彼女がいなければ、レーニンは現実に成し遂げたような仕事を決して達成できなかっただろう」と述べている。レーニンは気の短い人で、疲れるとよく頭痛を起し、かんしゃくを爆発させた。クルプスカヤはそれをよく承知していて、散歩や山歩きに連れ出したという。
レーニンには愛人がいた。これも「序文」に、「彼は10年間にわたって、イネッサ・アルマンドという名前の、肉感的で、知性がある美貌の女性と断続的に愛人関係を続けた。彼らの三角関係は、レーニンとナージャ(妻)の感情面での生活の中心を圧倒的に占めていたので、本書のほぼ半分には、このことが織り込まれている。……レーニンがたった一度、人前で泣き崩れたのは、アルマンドの葬儀の時、自分の死の三年前のことだった」とある。
レーニン全集に『イネッサ・アルマンドへの手紙』があるが、レーニンの愛人が彼女だということを私は長い間知らなかった。

本書では、レーニンは理論を重んじたが、実際に臨んでは理論より便宜的方法があればそれを採用したという。これはそのとおりで、彼は社会主義原理に反して市場経済の導入をおこない、革命政権を経済破綻から救った(新経済政策NEP)。いま日本には鄧小平の改革開放をNEPとの連想で持上げる人がいるが、これは見当違いだ。
では、レーニンが残した悪とはなにか。
いまでは誰でも認めるように、「彼が作り出した悪の最たるものは、スターリンのような人物を、自分が亡きあとのロシアを指導する地位に残してしまったことである」
レーニンはかちえた権力を守るために、敵と見なした勢力を数多く殺し、労農大衆にも冷酷な手段を遠慮なく用いた。スターリンはそれを間違いなく継承し、何倍にも拡大深化させた。
20代の私にとってレーニンは神様だった。しかも「スターリン・カンタータ」こそ歌わなかったが、社会主義経済論としてはスターリンのものしか知らなかった。
だが、もし神様がソ連を指導しつづけていたら、「悪」を生み出さなかっただろうか。社会主義生産様式は(といえるか疑わしいが)、強力な官僚群とその指導者を必要とした。しかもロシア的専制主義の伝統がそれを促した。中国で毛沢東が「皇帝」になったのも似た理由である。ならばスターリンほどではなかったとしても、レーニンもまた冷酷な独裁者にならざるを得なかったのではないか。

革命から75年後、東欧・ソ連は内部から崩壊した。レーニンの社会主義の実験は失敗だった。生産手段の社会化や計画経済は幻想で、共産党官僚の独裁だけが現実だった。これでは人々は幸福になれないということははっきりした。
では、レーニンの革命は世界史上どんな意味をもつのか。私にはこの疑問が解けない。答えを求めて本書を読んだが、わからなかった。

本書の著者ヴィクター・セベスチェンはハンガリー人だが、東欧問題専門の定評あるイギリスのジャーナリストである。訳者の三浦元博・横山司両氏は元共同通信記者である。読みやすい日本文と「訳者あとがき」によって、その実力のほどがわかる。
2018.02.08  米国の「核態勢の見直し」と河野外相談話を撤回せよ
          世界平和七人委がアピール

岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 世界平和アピール七人委員会は2月7日、「米国の『核態勢の見直し』と河野外相談話の撤回を求める」と題するアピールを発表した。
  世界平和アピール七人委は、1955年、世界連邦建設同盟理事長で平凡社社長だった下中弥三郎の提唱により、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の知識人有志の集まりとして結成され、国際間の紛争は武力で解決してはならないを原則に、日本国憲法の擁護、核兵器禁止、世界平和実現などについて内外に向けアピールを発表してきた。今回のアピールは128回目。
 現在の委員は、武者小路公秀(国際政治学者、元国連大学副学長)、大石芳野(写真家)、小沼通二(物理学者、慶應義塾大学名誉教授)、池内了(宇宙論・宇宙物理学者、総合研究大学院大学名誉教授)、池辺晋一郎(作曲家、東京音楽大学客員教授)、髙村薫(作家)、島薗進(上智大学教授、宗教学)の7氏。

 アピールは、米国のトランプ政権が発表した「核態勢の見直し(NPR)」と、それに対する日本政府の対応について論評したもので、NPRについては「小型核兵器を開発し、通常兵器など核兵器以外による攻撃に対しても核兵器使用がありうるとしたのは、世界の核軍拡を加速させ、相手の核攻撃も誘発させるものである」と断じ、米政府に撤回を求めるとともに、NPRを「高く評価する」とした河野外相談話についても「安倍首相のこれまでの発言と矛盾する」として撤回を求めている。
 アピールの全文は次の通り。

米国の「核態勢の見直し」と河野外相談話の撤回を求める
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進

 米国のトランプ政権は、昨年から検討を進めてきた「核態勢の見直し(NPR)」を2月2日(日本時間3日)に公表した。その内容は2010年のオバマ政権の「核態勢の見直し」を否定し、歴史の流れを逆行させるものである。特に、小型核兵器を開発し、通常兵器など核兵器以外による攻撃に対しても核兵器使用がありうるとしたのは、世界の核軍拡を加速させ、相手の核攻撃も誘発させるものである。これでは他国の核兵器の放棄を実現させようとの政策と整合性がない。
 この度の政策は、昨年成立した核兵器禁止条約に真っ向から挑戦するものであり、米国も加盟している核兵器不拡散条約の、核軍備競争の早期停止と核軍縮についての誠実な交渉の約束にも明らかに違反するものである。
 核兵器による放射能被害は小型化しても全世界に及ぶものであって、核戦争により安定した平和をもたらすことはできない。どのような条件の下でも、すべての核兵器は使用も威嚇もしてはいけないのである。
 ところが河野太郎外相は、直ちに「高く評価する」との談話を発表した。これは、広島と長崎の被爆以来、被爆者を中心にして日本国民が一貫して追求してきた核兵器廃絶を目指す努力を否定するものである。さらに毎年8月に行われて来た広島と長崎における式典時やオバマ大統領の広島訪問時の、安倍晋三首相自身の発言とも明らかに矛盾する。
 私たち世界平和アピール七人委員会は、トランプ政権と安倍政権に抗議し、「核態勢見直し」と河野外相談話の撤回を求める。
2018.02.07  三匹の子ブタが駅前で出会った
          韓国通信NO547

小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)

 2月3日の「全国統一行動日」。千葉県・我孫子駅前で三人のオジサンが「スタンディングデモ」をした。最近名前を知り合った仲間だ。ふだんは別々に活動をしているが、たまたま先月に続いて三人が駅前でそろって「立ちんぼ」をした。
三人だと目立つようで話しかけてくる人が多い。地域の新聞で紹介したいので写真を撮らせてほしいと頼まれた。どんな団体なのか聞いてくる人もいた。三人ともまぎれもない「無所属」だ。
「一匹オオカミなのね」。オオカミと言われて咄嗟に、「三匹の子ブタです」とやりかえす。
 ジャージを着た中学生たちが「アベセイジヲユルサナイー」と大声で通りすぎていった。土曜日の午後、立春の前日にしては温かく、駅前は賑やかだった。

三匹の子ブタが駅前で出会った

<東海第二原発の廃炉を求めて>
前日の2日、雪が降った日の夕刻、我孫子市議会に提出する東海第二原発の廃炉を求める請願の打ち合わせをした。状況は楽観を許さないものの、県外では、既に茨城県内の17自治体が再稼働反対の決議を行ったし、栃木県益子町の婦人たちが1600人の署名を集め、町議会を「圧倒」、全会一致で決議が行われた。
千葉県では一番バッターを目指して我孫子市民が後に続く。原自連(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)が提唱する国民運動や伊方原発の運転中止の動きに合わせた東海第二原発の包囲網がさらに広がれば、再稼働を阻止できる展望が十分見えてきた。

30キロ圏内に100万近い住民が住み、事故が起きたら首都圏壊滅は「想定内」である。40年過ぎた原発は廃炉と決まっているのに、特例でさらに20年も使うという「ムシのよい話」に怒らない人はいない。それも事故続きの危険な原発である。東海第二原発の廃炉を求める署名活動をしながら安倍政権が進める原発依存、再稼働路線に反対する人がこんなにも多いことを知った。ひとりで署名集めをしていたら、100名集めるだけでも大変なのに500名も集まった。地元の人や「通信」の読者からも署名が届いた。署名活動への期待は重い。
東海村から85キロにある我孫子市の議会が「NO」といえば、東海第二の再稼働路線に痛打になるはずだ。原発の是非は国会の与野党対立の構図のなかで理解されがちだが、市民の命と生活の安全に与党も野党もない。保守系議員が多い市議会で全会一致の採択を目指している。3月12日の環境委員会で請願者代表が5分スピーチを行うことになっている。今月25日が署名の締め切り日。皆さんの応援「弾」署名をお願いしたい。
2018.02.06  米国の戦後外交を踏みにじるトランプ
          大使館移転に次ぎ難民支援凍結を宣告

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

昨年12月に、イスラエルが要請し続けてきたテルアビブからエルサレムへの米大使館移転を宣言したトランプ米大統領は、世界各国とくにパレスチナ人の激しい抗議行動に対抗して、70年近くにも及ぶUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)予算の約3割を占める米国の拠出分担金支払いを1月から凍結すると発表した、これについてUNRWAトップのピエール・クレヘンビュール事務局長は1月19日、次のように朝日新聞との会見で述べたー「米国の決定は有害であり、深く失望した。UNRWAは過去最大の財政危機だ」「約50万人の生徒がUNRWAの学校に通い、年間数百万人がUNRWAの診療で治療を受けている」「政治的な対立があっても、人道支援の拠出金を圧力に使うべきではない」
UNRWAは、1947年の国連「パレスチナ分割決議」の直後のイスラエル建国宣言、第1次中東戦争によって発生した多数のパレスチナ人難民を支援するため、49年に国連が設置した機関。分割決議の成立、イスラエル建国と戦争支援には米国が大きな役割を果たした。その後の第3次中東戦争(67年)ではイスラエルが東エルサレム、ヨルダン川西岸まで占領地を拡大、新たな難民が発生した。さらに第4次中東戦争(73年)の停戦交渉も米国が調停した。
その後イスラエル占領地では、パレスチナ人の抵抗闘争が激化する一方、政治解決をめざすパレスチナ人の政治機関PLO(パレスチナ解放機構)への国連はじめ国際的認知が拡がった。そして93年、ワシントンでクリントン大統領の下、ラビン・イスラエル首相とアラファトPLO議長がパレスチナの暫定自治宣言に調印した。パレスチナ側は将来独立後のパレスチナ国家の首都を、第3次戦争でイスラエルが占領した東エルサレムを返還させ、首都とすることを表明した。
このように、第2次大戦後のパレスチナ紛争の経過では、米国はイスラエル支援では一貫しながらも、紛争の調停役をつとめた。また増え続けるパレスチナ難民対策でUNRWA経費の各国別負担では第1位を担い続け、パレスチナ紛争への発言力を確保してきた。国連はエルサレムをイスラエルの首都とは認めず、テルアビブを首都としてきたし、米政府もエルサレムを首都とは公認せず、イスラエルの強い要求にもかかわらず、テルアビブからエルサレムへの大使館移転を引き延ばしてきた。
しかし、トランプ大統領は就任1年を期すように、エルサレムを首都として公認宣言し、1年以内の大使館移転を発表したのだ。それに対し、パレスチナでは直ちに激しい抗議デモが拡がり、世界各国にも拡がった。パレスチナ自治政府は、トランプが派遣したペンス米副大統領との会談を拒否した。トランプは逆に、UNRWAへの拠出金の支出凍結を発表したのだ。
UNRWAは、パレスチナ(難民登録ガザ130万人、東エルサレムと80万人)のほか、パレスチナ難民が多く住むヨルダン、レバノン、シリアを含め合計約530万人の難民支援活動を続けている。食料、医療、電気代など生活支援、学校運営費など。やっと生きていけるだけの援助だが、パレスチナ人の子供たちは熱心に勉強している。
UNRWAによると、昨年1年間の援助の総額は、約12億4千万ドル。うち米国の拠出額は1位で、約3億6千万ドル。米国に続くのは、その半額以下のEU,サウジアラビア、ドイツ、英国。日本は7位の4千万ドルだった。米国が拠出停止は、直ちにパレスチナ難民の生活に深刻な影響をもたらす。UNRWAは、EU,サウジアラビア以下の拠出国に支援を求めるしかないが、まだ、拠出増を表明した国はない。

                    講演会のお知らせ

主催:日本大学経済学部中国アジア研究センター研究会

日時:2018年2月14日18:00-19:30
場所:日本大学経済学部7号館9階7091教室
講演者:盛田常夫氏(ハンガリー在住、元法政大学教授)
テーマ:「体制転換によって中・東欧社会はどう変わったのか-資本主義経済か、それとも特殊な市場経済か」
幹事:池本修一・日本大学経済学部
連絡先: ikemoto.shuichi@nihon-u.ac.jp

講演会のお知らせ
2018.02.05  無理が通っても道理は引っ込まない、国会審議の中で次々と暴露される森友疑惑の真実
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)

 おそらく国会審議が始まるまでは多寡を括っていたのだろう。森友・加計疑惑の追及は野党共闘の分断でこのまま沈静化する、もうこれ以上の新しい材料は出てこない、従来通りの答弁を繰り返していればそのうちに時間が過ぎていく、内閣支持率も上向いているなどなど、楽観的観測が安倍政権を覆っていた。

 NHKの国会討論会でも、野党の発言は立憲民主党、希望の党、民進党、共産党と分散し、これまでの自公与党と野党の対決構図は一変した。与党側の発言が自公+維新となって一段と強化されたのに対して、野党側は発言内容も力点の置き方もバラバラで著しく精彩を欠け、司会者の機械的な仕切りも相まって討論会とは言えない有様だ。これでは、安倍政権が思うがままに事態は改憲一直線へと進むのではないか―、と懸念していた。

 だが、国会前半の生ぬるい与野党攻防の空気が一変したのは、2月1日参院予算委員会での辰巳議員(共産)の鋭い追及だった。佐川前理財局長が一貫して否定してきた森友学園との交渉関連文書が財務省に存在することを太田現理財局長が一転して認め、会計検査院には文書の発見が遅れたので検査中に提出しなかったと答弁した。それまでは交渉記録の存在に「気付かず」、会計検査院報告書が出される直前(1日前)に「発見」して提出したというのである。

 しかも太田理財局長は、これらの関連文書の存在に早く気付いていれば、財務省の主張はもっと早く理解されたはず、「発見が遅れたのは誠に残念でならない」とまくし立てた。そして、その舌の根も乾かないうちに公表されていない関連文書が新たに存在することを認めるのだから、これは三百代言どころの話ではない。これからまだまだ「新しい気付きと発見」が続き、そして相変わらず「発見が遅れて残念だ」と言うのだろう。

 私はこのやりとりを国会中継で見ていて、役人とはかくも平然とウソをつくものかと心の底から憤慨した。これまで数多くの国会中継を見てきたが、これほど酷い答弁に接したのは初めてだからだ。太田局長当人は何一つ良心の呵責を感じていないのだろうが、しかし答弁席に並んでいた関係省庁の役人たちの表情は険しかった。心の中ではきっと財務省の答弁を苦々しく思い、上は財務相から下は理財局長まで腐っていると心底思っていたに違いない。

 加えて、森友学園の籠池前理事長夫妻が近畿財務局の役人たちと国有地払い下げについて協議した新たな音声データも発見された。その中には、安倍首相夫人の昭恵氏が籠池前理事長に財務省で担当室長と面会した直後に電話をかけ、「どうなりました? 頑張ってください」との応援メッセージが録音されていた。ところが、安倍首相はこの音声データの発言内容について問われると、籠池発言は信用できないとしてこれも逃げの答弁ばかり。昭恵夫人のことについてはすべて自分が答えるとした前言を翻して、いっこうに説明しようとしない。辰巳議員に追い詰められて漸く昭恵夫人に聞くと答えたが、額に汗が滲んでの苦し紛れの答弁だった。

 どれだけの人が国会中継を見ていたかはわからないが、この情景を目前にすれば、首相が「黒を白」と強弁していることはもはや明々白々だろう。安倍首相が事実を以て反論できず、すり替えとごまかしを重ねて逃げる以外、もう道がないところまで追い詰められている様子がよく分かるのだ。そんなこともあってか、最近は報道機関に対する安倍首相の感情的な誹謗中傷も度を増してきている。とりわけ朝日新聞は「目の敵」らしく、事あるたびに裏付けを取らないで記事を書いていると非難している。

 どうやら、安倍首相はトランプ大統領にますます似てきたようだ。トランプ大統領は、自分に不都合な記事を書かれると「フェイクニュース」だと決めつけて関係報道機関を非難する。挙句の果ては記者会見の席上でも関係記者の質問を拒否し、答弁すらしない。トランプ大統領と「100%共にある」安倍首相も、これに倣って気にいらない報道機関を早晩締め出すかもしれない。また国会審議でも、辰巳議員のような追及に対しては「フェイク質問だ」と決めつけて答弁を拒否するかもしれない。

 安倍首相の信条には、「無理が通れば道理が引っ込む」という言葉が固く刻み込まれているのだろう。安倍首相の国会答弁も国会運営も全てこのことを裏書きしている。だが、世論を見くびってはいけない。「無理が通っても道理は引っ込まない」こともあるのである。安倍首相は追い詰められてきている。「無理が道理に屈する」日はそれほど遠くないところまで来ている。

2018.02.04  「本日休載」
今日2月4日(日)は休載します。

リベラル21編集委員会

2018.02.03  韓国KBS放送、高社長退任確定、越年ストライキ終結へ向かう?
隅井孝雄 (ジャーナリスト)

 韓国の公共放送KBSは1月22日に開催された理事会で、コ・デヨン(高大栄)社長の解任を決めた。解任を提案したイ・インホ(李仁浩)理事長は理事会後辞職した。
 昨年9月4日以降、社長退陣を求めて140日以上にわたって続いていたKBS労組の全面ストライキは、解任決定を受けて終結する見通しとなった。しかしコ社長は「公共放送としての中立性が損なわれる」と反発している。
 KBSには産業別の韓国言論労組傘下のKBS新労組と企業内のKBS労組の二組合があるが、今回のストライキでは両労組が足並みをそろえた。両労組ともに、コ社長の態勢の下で、パク・クネ(朴槿恵)政権を批判するニュースが抑えられ、逆にパク政権を擁護する報道が行われたとして、報道の自由を求めて、経営首脳部の一掃を求めてストライキに入ったものである。KBSでは2008年のイ・ミョンパク(李明博)政権誕生以降、パク政権退陣(2017年)に至るまで、9年間にわたって続いた保守政権がKBSの主要人事を握り、政権擁護の報道機関だとの汚名を受け続けてきた。
 特にパク政権の下では、政府批判の報道を行った記者の配置転換、解雇があったほか、2014年のセウル号沈没事件で、政府からの報道差し止めを社長が受け入れたことも、問題となった。北朝鮮の核実験という大きなニュースがあったが、記者たちは取材を拒否した。また、ニュース、時事番組の放送休止や、時間短縮が相次ぎ、ニュースが録画で放送されるという事態にもなったという。人気娯楽系番組も一部休止となった。そのため、放送本部の部長、デスクなど25人が、社長は責任を取って辞職すべきだとの共同声明を出した。視聴者からは「受信料返せ」など、批判的なメールも多数寄せられていた。
 社長解任を報じた「ハンギョレ」新聞は、「国民の念願だった公営放送の正常化の第一歩だ」(1/23)と歓迎している。
 理事会はこれまで前保守政権(現野党)系の理事が多数を占めていたが、保守系の一部理事が公金不正事件で辞任したことから、与党系理事が多数となり、社長解任が決まったといういきさつもある。
 韓国の放送は大統領が保守系か革新系かで政権が変わるごとに揺れ動いてきたが、今回ばかりは、「権力からの独立性と公共性が課題だ」(ハンギョレ新聞1/23)という世論にどう対応するかが問われている。
     韓国KBS放送、高社長退任確定、越年ストライキ終結へ向かう?
22日、ソウル汝矣島(ヨイド)のKBS本館ロビーでコ・デヨンKBS社長の解任建議案が理事会で通過した後、ソン・ジェホ労組委員長がこのニュースを伝えると労組員たちが喜んでいる。文在寅大統領は23日、コ社長解任要求案の採決を行い承認した。//ハンギョレ新聞社
2018.02.02  まずは事実を共有して――相次ぐ米軍機事故
宮里政充 (元高校教師)

またしても米軍機不時着
今年に入って1月6日にうるま市伊計島にUHIヘリが、8日には読谷村の廃棄処分場にAHIZ攻撃ヘリが不時着陸した。沖縄県議会の議員団は22日に在沖縄海兵隊政務外交部長のダリン・クラーク大佐に相次ぐ米軍機の事故などにたいして抗議。その時、大佐は「事故の数は減っているし、車だって故障はする。未然にチェックするのは難しい」などと述べていた。また、宜野湾市議会では23日の午前、抗議決議と意見書を全会一致で可決し、第3海兵遠征軍司令官と駐日米国大使に抗議決議文を、安倍首相、防衛省、沖縄防衛局長に意見書を送った。
まさにその日の午後8時ごろ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のAHIZ攻撃ヘリコプター1機が渡名喜島(渡名喜村)の急患搬送用ヘリポートに不時着したのである。新聞報道によれば、油圧系統の異常を知らせる警告灯が点灯し、着陸したものらしい。乗員2人にけがはないという。県には同日午後9時10分すぎに防衛省沖縄防衛局から「8時ごろ渡名喜村にAHIZヘリが予防着陸した」との連絡があった。渡名喜島における米軍ヘリの不時着は1999年以降今回で8回目である。

まずは事実を共有して――相次ぐ米軍機事故
以下、この事故に対する新聞報道を列記する。

翁長知事―「米軍全体がクレイジー」
沖縄県渡名喜村の村営ヘリポートに米軍普天間飛行場所属のAHIZ攻撃ヘリコプターが不時着陸したことを受けて、翁長雄志知事は24日、「まさしく、米軍全体がクレイジーだ」と憤った。翁長知事は、米軍機の事故やトラブルが相次いでいることに「米軍は管理、監督が全くできないようになっている。全く改善する兆しがない」と問題視。国の当事者能力のなさも批判した。その上で、「今の米軍のやり方はふに落ちない。どうにもならない感じなのでしっかりとやり方を考えてみたいと思う」と述べた(1.27沖縄タイムス+プラス ニュース)。

ネラー司令官―「不時着で良かった」
米海兵隊のネラー司令官は25日、ワシントンでのシンポジウムで、沖縄県で米軍ヘリコプターの不時着が相次いでいることを念頭に「海外で起きた不時着のニュースが流れているが、非常に率直に言って不時着で良かった」と述べた(1.26西日本新聞)。
ネラー氏は今後の対策として、部品不足を解消し、機体の整備体制を立て直して飛行可能な航空機数を増やし、飛行訓練の時間を増加させることでパイロットの技能向上を図り、即応体制の回復を目指すと説明し、訓練環境の改善に取り組む考えを示した。(中略)統合参謀本部のマッケンジー事務局長(中将)は同日、国防総省での記者会見で、渡名喜村での不時着について、「細心の注意を払うために取った行動だ」と述べ、「訓練が沖縄の人々の懸念を高めていたとしても、われわれが日米安全保障条約の義務を果たしていくならば、訓練を続ける必要がある」と訓練継続の必要性を強調した(1.28沖縄タイムス・プラス)。

小野寺防衛相―「あまりに多い」
小野寺五典防衛相は24日午前、防衛省内で記者団に対し、「(米軍ヘリの不時着が)繰り返されている。あまりに多い」と指摘したうえで「極めて遺憾」と述べた。不時着した機体と同型機のAHIZの飛行停止を米軍側に要請したことを明らかにした。防衛省は同日、状況などを把握するため、沖縄県警と防衛省の職員を陸上自衛隊のヘリで現地に派遣した。小野寺氏は「夜間に突然米軍ヘリが着陸し、住民は大変不安を持っていると思う」と述べた(1.24朝日新聞DIGITAL)。

RBC(琉球放送)ニュース(1.26 19:01)
渡名喜村議会では25日、事故に対する抗議決議を可決していて、26日、桃原村長と村議会の議員らが沖縄防衛局の中嶋局長に抗議しました。この中で村長らは普天間基地所属のすべての航空機の飛行と訓練を中止するよう求めました。「不時着したことにすごく不安を感じている中、その日の夕方にはフライトして、次の日にもフライトして、その辺が我々からすると理解ができないというか、まるで傷口に塩を塗り込まれたぐらいの、すごい、あらわしようのない気持ちですね」(渡名喜村・桃原優村長)。中嶋局長は「トラブルが続いていることは重く受け止めている。政府をあげて様々な取り組みを行っていく」と述べるにとどめました。

松本文明内閣府副大臣―「それで何人死んだんだ」-あっけない辞職
さて、米軍機によるトラブル(昨年の不時着・墜落炎上事故も含めて)について、25日の衆院本会議において共産党の志位委員長が代表質問をした際、「それで何人死んだんだ」とヤジった議員がいた。自民党の松本文明内閣府副大臣である。彼は26日夕方、安倍晋三首相と首相官邸で面会し、ヤジを飛ばした責任をとり、辞表を提出し、受理された。稲田元防衛大臣の度重なる重大な失言をかばい続けた安倍首相としてはあまりにもそっけなくアンバランスな対応である。
松本氏は首相との面会後、記者団に「不規則発言で、人が亡くならなければいいのかというような誤解を招いた。沖縄県民、国民の皆さんに迷惑をかけた」と謝罪した。首相からは「この国が大変な時期なので緊張感をもって対応してもらわないと困る」と注意されたという。名護市長選への影響を恐れた政権幹部は「背筋が凍った」。安倍晋三首相と菅官房長官は瞬時に更迭を決めたという(1.27朝日新聞DIGITAL)。
翁長知事は27日、名護市で記者団の質問に「あの一言でびっくりするようなものではない。沖縄担当の副大臣をされているときも、沖縄に対する認識は全くなかった」と強い不快感を示した(1.28沖縄タイムス)。

無事に不時着した。だから何?
軍用機が飛行続行困難という非常事態に陥った時に、墜落などの最悪事態を避けるためヘリポートあるいはそれ以外の場所へ緊急着陸するのは当然のことである。「不時着」と言おうが「予防着陸」と言おうが同じことだ。その際、飛行士は自分自身や地上にいる人に損害を与えないためのギリギリの努力と技術が要求される。今回の場合はたまたま死者もけが人も出なかった。それは不幸中の幸いであって、喜ぶべきことである。そして米軍関係者のコメントはそこでとどまっている。だから反省しないばかりか更に訓練を増加させようと考える。だが、「けが人も死人もなく無事に着陸したのだからいいじゃないか。何で大騒ぎするんだ」(インターネットはそういうコメントで満ち溢れている)という反応に笑顔でうなずくわけにはいかない。沖縄の人々は不時着や墜落事故が多発する状況を何とかしろ、と言っているのである。当然のことではないか。
と、ここまで書いて、我ながら恥ずかしくなる。「それで何人死んだんだ?」とヤジる人の思考経路には沖縄という島が70余年にわたって背負わされてきた軍事的な負担に対する想像力がまるで欠落している。翁長知事が不快感を示したのは当たり前のことである。松本氏のような人物が日本の政治をつかさどる中枢部に存在すること自体が恥ずかしい。しかも彼がかつて沖縄担当の副大臣であったという事実は語るもおぞましい。そういうネトウヨ顔負けの人物を内閣府の副大臣に任命したのは誰だ? 任命したにもかかわらず名護市長選に不利と見るや「瞬時に」クビを切った姑息な奴は誰だ?(2018.01.28)