2018.06.11  「安倍政権はいますぐ退陣せよ」 大雨の中、2万7000人が国会前で叫ぶ
岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 「安倍政権はいますぐ退陣」「麻生財務相はいますぐ辞めろ」。激しい冷雨が降り注ぐ国会議事堂前正門に集結した約2万7000人のコールが、雨にかすむ国会周辺にこだました。6月10日(日)午後2時から国会議事堂正門前で開かれた「9条改憲NO! 政治の腐敗と人権侵害を許さない! 安倍政権の退陣を要求する6・10国会前大行動」は、不祥事や失態を重ねながらも退陣しない安倍内閣への怒りや憤りの声が噴出した。

 安倍内閣は、森友・加計問題で公文書の改ざん、自衛隊のPKO日報問題で隠蔽、財務次官のセクハラ疑惑といった不祥事を次々と起こしながら、内閣としていまだに責任をとらない。このため、これらの不祥事を追及している各団体が、それぞれ内閣総辞職を迫ってきたが、安倍内閣は頑として応じない。そればかりか、原発の再稼働に踏みきり、沖縄・辺野古で米軍新基地の建設を進め、国会では「働き方」改革法案の成立を目指し、そのうえ、憲法9条の改定に躍起だ。そこで、これらに反対する23団体が実行委員会をつくり、今回の国会前大行動を主催した。

国会前大行動 019
「国会議事堂正門前につくられたステージ。野党各党の代表も登壇し、あいさつした」

 このため、大行動が掲げたスローガンは森友・加計学園疑惑究明、「働き方」改革一括法案廃案、セクハラ・女性差別許さない、東アジアの平和を対話で、沖縄・辺野古新基地建設反対、オスプレイ配備反対、原発再稼働反対、TPP11承認反対、IR(カジノ)法案廃案、戦争法廃止、共謀罪廃止、安倍9条改憲反対の12本にのぼった。

 東京は、この日朝から梅雨空から雨が落ち、大行動が始まる直前から雨脚が強くなった。でも、地下鉄の駅を降りてきた、傘をさしたり、ビニールの雨合羽を着た人たちが国会議事堂前につめかけ、瞬く間に歩道がその人たちで埋まり、一部は歩道わきの公園にあふれた。
国会前大行動 010
              「国会議事堂正門前の公園まであふれた参加者」

 この日の参加者は、労組や各種団体によって組織的に動員された人よりも一人でやってきたと思われる人たちが目立った。それぞれの思いを書いた手製のプラカードを掲げた人もいた。その文面は「うそつき内閣」「うつき首相」といったものが多かった。
国会前大行動 002
             「これも手製のプラカード」

 大行動では、まず、主催者を代表して「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」共同代表の福山真劫氏があいさつしたが、同氏はその中で「安倍政権は憲法を破壊し、国政を私物化し、もり・かけ問題でうそにうそを重ねている。私たちの力でうそだらけの政権を終わりにさせよう。アジアでは非核平和への動きが始まっているのに、安倍首相は戦争政策を続けている。辺野古に基地を造り、憲法9条を改悪しようしている。これ以上、安倍政権を続けさせてはならない。退陣まであと一歩のところまで来ている。力を合わせて、安倍退陣へ大きな流れをつくろう」と訴えた。

国会前大行動 016
「会場で見つけたプラカード。掲げていたのは高齢の女性で『これ、自分でつくったんですよ』」

国会前大行動 004
               「こんなノボリも」

 また、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)世話人の山口二郎・法政大学教授は「民主主義とは、腐った権力から国民が権力を奪う闘いだ。力を合わせて闘おう」と呼びかけた。
森友問題に取り組んできた木村真・豊中市議会議員も登壇し、「財務省の改ざん発覚で安倍首相は終わりと思ったが、甘かった 。首相は悲願の改憲に必死。それをさせないために、一刻も早く退陣に追い込もう」と訴えた。

2018.06.10  「本日休載」
 
今日06月10日(日)は休載します。

リベラル21編集委員会

2018.06.09  「ホテル」がだめなら「野宿」せよ
          韓国通信NO559

小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)

 紆余曲折をへて6月12日に米朝トップ会談が開かれることになった。(但し「ドタキャン」もあり得る) トランプ大統領が「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)にこだわらず、話し合いを優先させた。会談の焦点は「終戦宣言」「北朝鮮の体制保証」「朝鮮半島の非核化」である。残念ながら「拉致問題」が中心テーマになる可能性は極めて低い。

 北朝鮮が宿泊代の支払いに苦慮しているという。気が抜けた話で、思わず笑ってしまった。真相は不明だが、ワシントンポスト紙が1日、北朝鮮が「金正恩国務委員長のホテルの宿泊費など代表団の経費を第三国が負担してほしいと要請している」と報じた。
確かに一泊6千ドル(約60万円)は高い。しかし大切な会談をするための宿泊代が払えないとは信じがたい。それほど困っているなら何とかしてあげたらと誰もが思う。
 第三国というならこの際、日本政府がホテル代を負担したらどうか。制裁一辺倒だった日本政府の180度の方針転換となるが、「乗り遅れた」日本がアジアの平和のために貢献できる絶好の機会になる。外交の大切さを熟知する安倍首相なら米朝会談への貢献に異論はないはずだ。無理な話だろうか? 内閣支持率の回復にもつながる。

 安上がりな解決策がある。会談会場近くの公園にテントを張って泊まるというのはどうだろう。経費はとびきり安い。人民のために無駄遣いをしない代表一行の姿に国民は感激するはず。世界に対しても米朝会談への北側の熱意が伝わるはずだ。一石三鳥である。
 私が金正恩だったら絶対にテントに泊まる。寝袋か毛布、水と焼酎とつまみ少々で十分だ。
 2002年、小泉首相(当時)一行が平壌を訪れ、北側の夕食接待を断わり、日本から持ち込んだ仕出し弁当を食べた。その真剣さが「平壌宣言」を生んだことを思いだした。
 トランプ大統領がどんな立派なホテルに泊まっても、「民主主義人民共和国」の国家代表はテントを恥じるべきではない。テントはアメリカを圧倒するはずだ。

「体制保証」を求める愚かさ
 朝鮮半島の平和と非核化の実現に期待したい。その可能性は十分ある。
 しかし「非核化」と「体制保証」が取引されることに疑問がある。アメリカは「体制」を保証する必要はない。内政干渉をしないことを約束するだけで十分だ。金日成、金正日、金正恩と三代にわたる特殊な権力継承と翼賛政治体制の保証は新たな内政干渉を生みはしないか。北朝鮮の体制の選択は国民が自主的にすべきもの。保証は「体制」の維持に踏み込むことになる。
 好ましくない政権を戦争、内乱、陰謀によって転覆させてきたアメリカによって北朝鮮の権力は「安堵」するが、国としては「従属国」になるに等しい。南北統一の懸念材料にもなる。
 米朝会談の成功は北朝鮮の脅威を利用してきた安倍内閣に痛打となる。「憲法改悪」、「戦争法」、辺野古の米軍基地、軍事増強など戦争準備の前提が崩れる。
 「核兵器禁止条約」を拒む理由も無くなる。朝鮮半島の非核化によって南北ともに「核兵器廃絶条約」への加入が見えてきた。私たちが「冷戦思考」と決別する日が迫っている。
2018.06.08  私立大学における体育会権力(その2)
盛田常夫 (在ブダペスト、経済学者)

混迷する対応
 日大アメフト事件をめぐる大学の対応は混迷の度を深めている。当然のことながら、当事者たちは問題の根源がどこにあるかを理解していない。体育会出身者たちのコメントも問題の核心を突いていない。なかには、「体育会活動は自主的活動だから、部のなかで解決すべき問題」と主張する者もいる。大方、理事長も学長も、一つの運動部にすぎないアメフト部の問題がなぜ大学全体の管理にかかわる問題にまで拡大しているのかを理解できないのだろう。だから、問題解決の抜本的な改革指針など出るはずもない。
 他方、日大の対応を批判する側も、問題の核心がどこにあるかを明確に指摘していない。なぜ理事長が責任を取る必要があるのか、理事長が謝り辞任すれば済む問題なのか、この問題を契機に何をどう改革すれば良いのか。これらのことについて、方向性が議論されず、当事者の対応を批判するだけに終わっている。
 問題の根源は体育会権力が大学全体の経営を左右するほどの力を持ってしまい、大学本来のあり方や理念から外れた大学経営が行われているところにある。そのことを明瞭に指摘し、その改革の手立てを示さない限り、アメフト事件に端を発した私立大学が抱える根本的な問題は解決しない。

体育推薦制度は営業活動
 体育推薦入学制度は新興私立大学が編み出した学生募集のための宣伝営業であり、体育会運動部はいわば私立大学の宣伝営業部の役割を担っている。学生の自主活動でも何でもない。スポーツを通して大学の名が全国に知られ、入学志願者が増え、入学者が確保できれば、大学経営の財政基盤を強めることができる。
 そこまでは良い。ところが、体育推薦制度のお陰で大学知名度が全国区になり、大学経営が安定すると、体育推薦の営業活動で成功した現場の監督や責任者が、大学経営に参画することになる。運動部の監督という実績だけで、教育活動に従事したこともない者が、大学経営の責任者になる。こうして、運動部出身者が大学経営そのものを支配することになれば、大学は教育・研究の場ではなく、スポーツを売り物に、学生を呼び込んで受験料や授業料で稼ぐビジネスに転化してしまう。入学志願者を増やし、入学者を確保するための体育推薦入学制度や体育会運動部という存在が、宣伝手段を超えて、大学の主要ビジネスに転化すると、体育会関係者が大手を振って大学を支配することになる。そして、このレベルに到達すると、政治家やいかがわしい人物が大学幹部と交遊を深め、学外の闇権力との繋がりが生まれる。
 こうなると、大学はもうその本来の理念を失い、たんなるブラックビジネスに転化してしまう。もちろん、理事会が体育会出身者によって占められても、それですぐに大学が本来の理念を失うわけではない。大学の教育や研究を行うのは教員(教授会)であり、理事会の意向とは無関係な一般学生たちがいる。しかし、理事会が強い大学では教授会の力は相対的に弱く、教育・研究以外の事項で発言する力や権限がない。大学によっては、教授会の権限そのものが最小限に抑えられ、教育や研究内容についても理事会が口出しできるところもある。

体育会運動部の闇
 私立大学の体育会運動部のすべてに同じ問題があるわけではない。個人種目が中心の運動部では推薦入学者の枠そのものが小さく、合宿所をもたないので、かなりの程度、自主的民主的に運営されている。これにたいして、集団スポーツの場合、推薦入学の枠も大きく、ほとんどのスポーツ強豪校は特定運動部の合宿所をもち、体育推薦入学者は否応なしに合宿所生活を強いられる。問題が発生するのは、大概、合宿所をもっている大所帯の運動部である。
 隔離された集団生活を支配するのは、例外なく、軍隊的な階級制度と規律である。とくに日本の場合、戦前から学校における体育は軍事教練を兼ねていたから、スポーツにおける封建的な支配・従属関係が現在に至るまで、体育会運動部に連綿と受け継がれている。
 確かに合宿所そのものは形式的に学生の自主運営だが、そこには古めかしい封建的な階級支配が厳然として存在する。炊事洗濯は一兵卒である新入生の仕事であり、最上級生はレギュラーであろうとなかろうと、「天皇」あるいは「大将」の位置を獲得する。2年生が下士官、3年生が将校である。こうやって、スポーツ競技とは無関係な、上級生-下級生の支配従属関係が支配する。
 他方、運動部における監督-コーチ-選手との間にも、同様の関係が構築される。日大アメフト部のように監督は天皇であり、直に口をきくことも許されない存在であることもある。先進国と言われる国の中で、現代になっても、このような封建的な支配関係が支配している国は日本だけだろう。アジア的な後進性の現象と言えるだろう。
 このように、私立大学の集団スポーツ競技の運動部は、大概、二重の支配従属関係が支配している。一つは合宿所内における先輩-後輩の支配従属関係、もう一つは運動部内の監督-コーチ-選手間の支配従属関係である。軍隊的な上下関係と、暴力団の親分-子分の関係は紙一重である。
 こういう封建的な支配関係が支配している競技は国際的なレベルに到達できないだろうし、親分-子分の関係で大学経営が支配されるなど、たまったものではない。ちなみに、職員の間で、体育会出身者の上級管理者のことを「先生」と呼ぶ習慣があることはあまり知られていない。このような歪んだ親分-子分関係に、教員にたいする対抗心や劣等感が反映されているとみることができる。

選手個人へのリスペクトに欠ける日本
 日本の体育会運動部に欠如しているのは、選手個人へのリスペクトの欠如である。スポーツ選手としての個人の能力を評価するのではなく、能力外の社会関係で選手個人を支配するのが合宿所生活である。これでは選手の能力を開花させることができない。
 この点はプロの集団スポーツでも、気になるところである。たとえば、プロ野球選手として入団してきた選手は若かろうが歳を取っていようが、自立した個人と扱うべきだが、一部の選手やコーチが居丈高に若い選手を指導する姿が見られる。春のキャンプで見られる「おい、こら」という調子の指導は、体育会の悪しき伝統を受け継いでいるのだろう。だが、選手個人へのリスペクトの欠如は、選手個人の自立した人間としての成長を妨げる。「おい、こら」指導に慣れてしまうと、何時まで経っても大人になれない。そういう大人が次世代の指導者になるのだから、封建的伝統が生き続ける。
 未成年の喫煙にたいしても、スポーツ選手としての心構えから説くのではなく、「未成年だから」というのでは説得力がない。ところが、プロ野球選手には喫煙者が多いから、そういう指導ができず、「未成年」という法律上の話で終わる。成年になれば、大手を振って喫煙して良いというものではないだろうに。

体育推薦制度と運動部運営の抜本的見直し
 体育推薦制度がどれほどの重みを持っているかは大学によって異なるが、共通しているのは、その運用において、教育に責任をもつ教授会が蚊帳の外に置かれているということだ。理事会はそれを当然のように考えており、教授会も「長いものには巻かれろ」で、そのことを特段に問題にすることもない。しかし、ここに体育推薦制度の基本的な問題がある。
 教授会は体育推薦枠の漸次的削減と推薦入学への教授会の関与を求めるべきである。教授会の関与がない所に不明瞭な力が加わり、それが体育会の独立権力化を助長する。必要に応じて、推薦入学者にたいして、社会的常識や基本的学力を問う試験なども実施すべきである。体育推薦制度を大学教育から隔離された租界にしてはならない。

 運動部の運営は、少なくとも以下の諸点で改革が必要である。
 一つは、推薦枠の最小限化と推薦の透明化である。レギュラー人数の何倍もの推薦枠は無駄である。
 二つは、固定した合宿所の廃止である。軍隊的規律が支配するような合宿生活は部の発展によっても選手個人の能力向上にとっても、良いことは全くない。
 三つは、運動部指導者の使命と指導について、明瞭な指針を立てることである。支配-従属型の指導を排除し、また特定の運動部の監督が大学の経営に従事することも禁止すべきだろう。

 体育推薦制度が蔓延したことによって、一部の大学では大学本来の道から外れ、体育推薦制度がブラックビジネスに転化している。社会はこれを厳しく批判しなければならない。私立大学における体育推薦制度や運動部のあり方について、抜本的な改革を進めなければ、日大アメフト事件が提起している問題の解決にはならないだろう。
2018.06.07  ガザ抵抗の2か月余、死傷者1万3千人以上(1)
          ― 苦闘を続けた国際医療チーム、看護女性も犠牲に

坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)

 土地の日(3月30日、1976年にイスラエルがパレスチナ住民の土地を大規模に接収し住民を追い出した日)から、ナクバ(5月15日、大災厄。1947年イスラエルが建国宣言に続いて、パレスチナ住民の大規模追い出しを開始、アラブ軍が開戦した日)まで、パレスチナ自治区のガザ、ヨルダン川西岸で毎年行われてきたパレスチナ住民の抗議デモ。ことしは、米国のトランプ政権が、5月14日を選んで米大使館をテルアビブからエルサレムに移転し、イスラエルのネタニヤフ政権を狂喜させたため、パレスチナ側の抗議デモと、イスラエル側の武力弾圧が、例年よりはるかに激化し、イ軍の武力鎮圧行動によるパレスチナ住民の犠牲が激増した。
 ガザでは、かなり以前から中心的なアルシーファ病院などの施設で、国際赤十字からの派遣者と国際医療ボランティア「国境なき医師団」の医療チームなどが医療支援にあたってきたが、今年は死傷者が激増したため、国際赤十字は50ベッドの外科手術施設を設置、外科医、麻酔師、看護師の増派に取り組んできた。毎日デモが行われた境界近くの地域では、イ軍の地上と航空機による攻撃が容赦なく行われ、重傷を負った市民の応急処置に走り回るボランティア看護女性が活躍した。そして、その一人ラザン・アルナジャルさん(21)が1日、境界の金網のすぐそばでイ軍に射殺された。
 アルナジャルさんの死に抗議するデモが2日、ガザ全土で行われた。血でそまった白衣とともにアルナジャルさんの遺体は、パレスチナの国旗で包まれ、街路を埋め尽くした市民たちの中を、父親とともにガザ市内を運ばれていった。

 ガザはイスラエルと一部はエジプトとの境界と長い海岸線で囲まれ、それぞれ1か所の検問所だけが外部世界との出入り口にされている。陸の境界は厳重に高い金属網で包囲され、長い海岸線は6カイリ(11キロ)沖でイスラエル海軍によって封鎖されている。イスラエルに故郷を奪われ、ガザで苦しい難民生活を送ってきたパレスチナ住民が、故郷への帰還を要求する大規模なデモが1か月半、連日続いた。デモはガザの最有力抵抗組織ハマスのリーダーシップのもとに、イスラエル軍が立ち入り禁止を宣言した境界に沿った地域で行われ、イスラエル軍は、空爆と金網越えの砲撃、銃撃でデモ隊を攻撃した。イスラエル軍によると、パレスチナ側から手製のロケット弾などで攻撃があった。しかし、その回数、規模は象徴的な攻撃に過ぎず、実害はほとんどなかった。
 ハマスの当初プランでは、デモは「土地の日」からナクバまでの1か月半だったが、例年をはるかに激しいガザ領内へのイ軍の攻撃、犠牲者の多さに抗議して、ナクバを過ぎても、境界の金属フェンス連日抗議デモが行われ、死傷者が増えつづけている。

               ガザ抵抗の1か月半、死傷者1万3千人以上(1)
(写真説明)ガザで1日、イスラエル軍の銃火で殺害された、医療ボランティアのアルナジャルさん。
英公共放送BBC中東版が6月2日報じた“Gaza Violence:Thousands attend funeral”
For Palestinian medoc”の併用写真。 国連人道問題調整事務所(OCHA)提供の資料写真。OCHA,世界保健機関、国連人権高等弁務官事務所連名で「医療ボランティアの殺害に深い懸念をいだき、医療従事者の保護を要求する」という文章が付けられている。


2018.06.06  安倍内閣は退陣せよ
          世界平和七人委がアピール   

 世界平和アピール七人委員会は6月6日、「安倍内閣の退陣を求める」と題するアピールを発表した。
 世界平和アピール七人委は、1955年、世界連邦建設同盟理事長で平凡社社長だった下中弥三郎の提唱により、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の知識人有志の集まりとして結成され、国際間の紛争は武力で解決してはならないを原則に、世界平和実現、核兵器禁止、日本国憲法の擁護を目指して内外に向けアピールを発表してきた。今回のアピールは130回目。七人委が現内閣の退陣を迫るアピールを出したのは初めて。
 現在の委員は、武者小路公秀(国際政治学者、元国連大学副学長)、大石芳野(写真家)、小沼通二(物理学者、慶應義塾大学名誉教授)、池内了(宇宙論・宇宙物理学者、総合研究大学院大学名誉教授)、池辺晋一郎(作曲家、東京音楽大学客員教授)、髙村薫(作家)、島薗進(宗教学、上智大学教授)の7氏。
アピールの全文は次の通り。
安倍内閣の退陣を求める
世界平和アピール七人委員会

 5年半にわたる安倍政権下で、日本人の道義は地に堕ちた。
私たちは、国内においては国民・国会をあざむいて国政を私物化し、外交においては世界とアジアの緊張緩和になおも背を向けている安倍政権を、これ以上許容できない。
 私たちは、この危機的な政治・社会状況を許してきたことへの反省を込めて、安倍内閣の即時退陣を求める。


     █ 短信 █
米騒動100年記念フォーラム
「女一揆 魂を揺さぶられた越中の男たち」

 1918(大正7)年夏、富山県東部沿岸地域に端を発した米騒動は、全国の大都市、炭鉱などを巻き込み、ついに暴動までに発展した。「越中の女一揆」としてしられる米騒動は、民衆が政治の表舞台に躍り出た、いわば民主主義への第一歩を記した歴史的大事件である。それは確かに「越中の女一揆」ではあったが、女たちを支え、米騒動の意義を記録したのはまさに「越中の男たち」にほかならない。横山源之助、井上江花、細川嘉六という3人の男たちの魂を揺さぶり続けた米騒動とはいったい何だったのか。米騒動から100年にあたり、研究者やジャーナリストが米騒動の意味をひも解く。

 とき:6月9日(土)13:30~15:50

 会場:富山県民共生センター・サンフォルテ2Fホール
富山市湊入船町6―7。富山駅北口から徒歩10分。電話076-432-4500

 基調講演:細川嘉六ふるさと研究会代表・金澤敏子「鍋割月 越中の女たちは起ちあがった!!」
 
 徹底討論:「米騒動は何だったのか!! 魂を揺さぶられた男たち 横山源之助・井上江花・細川嘉六」。バネリストは魚津歴史民俗博物館長・麻柄一志、北日本新聞社相談役・河田稔、金澤敏子。コーディネーターはジャーナリスト・向井嘉之

 記念ライブ:楽屋姫ミニコンサート

 参加費:一般=前売1000円、当日1200円/大学生=前売500円、当日600円/高校生以下=無料

 主催・問い合わせ:米騒動100年記念フォーラム実行委員会(電話0765-72-2565)
                                                  (岩)

2018.06.05  米側が北朝鮮の段階的非核化を容認
          米朝首脳会談は予定通り12日に開催

伊藤力司 (ジャーナリスト)

トランプ米大統領は6月1日(米東部標準時間)、金正恩朝鮮労働党委員長の腹心と言われる金英哲同党副委員長とホワイトハウスで会談した後「米朝首脳会談は来たる12日にシンガポールで開催される」と発表した。5月24日に同大統領が突然、前から予定されていたこの首脳会談の中止を宣言してからちょうど1週間後のことである。

この1週間の間に米朝双方から首脳会談を予定通り開きたいといった反応が飛び交い、また各レベルの米朝折衝が行われた。中でも金英哲副委員長は5月29日と30日、ニューヨークでポンペオ米国務長官とじっくり会談した。

さらに同副委員長は翌6月1日ワシントンを訪れ、ホワイトハウスで金正恩委員長の親書をトランプオ大統領に手渡して懇談した。同副委員長は今年の新年以来北朝鮮が対話路線に転じて以来、南北、米朝関係を取り仕切ってきた人物である。3月末と5月初めに訪朝したポンペオ国務長官と金正恩委員長との会談にも同席していた。北朝鮮が最高幹部をワシントンに派遣したのは18年ぶりのことだった。

トランプ大統領は金英哲氏との会談後記者団に対し、北朝鮮の非核化について「時間をかけても構わない。速くやることも、ゆっくりやることもできる」と北朝鮮側に伝えたと述べた。米側はこれまで北朝鮮非核化の「早期達成」を要求してきた事実からすれば、大きな譲歩と言える。

同大統領の記者団への説明によると、北朝鮮側が「非核化の意思」を繰り返し明白にしたことが第1のポイント。第2のポイントは「彼らは用心深く、急いでやろうとはしない」と「段階的な非核化」を主張してきた北朝鮮の立場に理解を示したことである。また大統領は「1回の会談ですべてが成し遂げられるとは思わない」と述べ、複数回の首脳会談を含む米朝間の折衝の積み重ねが必要であることを示唆した。

問題は12日の米朝首脳会談の中身である。最大の課題は非核化だが、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含めた弾道ミサイルや生物・化学兵器などの大量破壊兵器の扱いなどについての協議も難航が予想される。

6月2日付毎日新聞によれば、非核化の焦点となる北朝鮮の核兵器計画とは1.15~60発とみられる核兵器とその組み立て施設2.核兵器の原材料となる核物質を製造する原子炉などの施設群-だという。

一方6月2日付朝日新聞によれば、米国は半年以内に核弾頭やICBMの一部を海外に搬出するよう求めたという。また北朝鮮核技術者の国外移住をも要求したとの報道もある。こうした要求を直ちに北朝鮮が実行できるのかどうか、米側も北側に要求するだけでなく北側とじっくり話し合うべきだろう。

一方、北朝鮮が同意しているのは「朝鮮半島の非核化」である。つまり北朝鮮はいずれ完全に非核化することに同意するが、半島の南半分つまり韓国ないし韓国周辺の非核化も要求しているわけだろう。韓国は核兵器を持っていないが在韓米軍はどうか。

在韓米軍の基地には核兵器は貯蔵されていないとされているが、韓国周辺の日本海や黄海には核兵器を積める原子力潜水艦や核搭載可能の爆撃機を搭載できる原子力空母が、常時遊弋している。北朝鮮も韓国も今回「必要とあれば核装備のできる」在韓米軍の撤退を求めていないが、原潜や原子力空母の「非核化」はどうなるのか。

北朝鮮と韓国は「朝鮮半島(韓半島)の非核化」に同意し、北朝鮮の「非核化」は米朝の最大イッシューになっているのだが、半島南部の非核化については何も語られていない。トランプ大統領は就任後、在韓米軍の撤退もあり得るとの発言をしたことがある。当面の大問題である北朝鮮の非核化が実現すれば、在韓米軍の問題もいずれ避けられなくなるだろう。
2018.06.04  大山鳴動して鼠一匹出ず、安倍政権打倒へのマグマはさらに大きくなった
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
    
 大山鳴動して鼠一匹出なかった。大阪地検特捜部は5月31日、安倍首相夫妻による森友学園への国有地売却を巡る一連の不正疑惑に関して、財務省、国交省関係者らの国有地の大幅値引き売却に対する背任や決裁文書の改ざんなど全ての告発容疑について、財務省幹部ら38人全員を不起訴処分にすると発表した。驚くべきことに、公文書改ざんをめぐって告発された前財務省理財局長・佐川宣寿氏に対しては「嫌疑不十分」、その他の関係者は「嫌疑不十分」あるいは「嫌疑なし」として誰一人訴追されなかったのだ。

 1年以上にもわたって国政を揺るがし続けてきた森友疑惑について、大阪地検が佐川氏ら当時の関係者をいずれも不起訴処分にしたことは、不正を暴き正義を追求する司法の存在意義(責務)を自己否定し、三権分立の原則を踏みにじったことにほかならない。この不起訴処分は、検察が財務省と同じく安倍首相夫妻の私兵となり、不正疑惑に蓋をする「同じ穴の狢(むじな)」になり下がった歴史的事件として長く国民の記憶に留められるだろう。否、留めなければならない。

 それにしても、8億円に及ぶ国有地の巨額値引き、国会をだまし続けた悪質な文書改ざんと意図的な廃棄などの国家的犯罪のどれもが「罪にあたらない」とされるのだから、開いた口が塞がらないではないか。これでは「刑事訴追の恐れ」を口実に国会証言を拒否した佐川氏と、彼の一切を免罪した大阪地検は、共謀して安倍首相夫妻の不正疑惑隠しに加担し、国会と国民をだましたことになる。佐川氏は大阪地検が起訴しないことを見越したうえで証言を頑なに拒否し、大阪地検は佐川氏の期待に応えて不起訴処分にすることで、両者は一致団結して森友疑惑の解明に背を向けたのである。

 大阪地検は31日、不起訴理由を説明する異例の記者会見を開き、山本特捜部長は「本件は社会の耳目を引いている事案」であるがゆえに「本件についての検察のスタンス」を説明するとしたが、その内容は凡そ説明には遠いものだった。山本特捜部長は、具体的な質問には「捜査の具体的な内容に触れる」として口をつぐみ、さらなる質問には「お答えできません」「これ以上は差し控える」などの回答拒否を連発して(1時間半に25回以上も)、実質的には何も答えなかったという(朝日、2018年6月1日)。これでは検察も佐川氏も国民に対しては何も答えていないことになり、「全体の奉仕者」である国家公務員としての職責を放棄したことになる。彼らは国民の税金ではなく安倍首相夫妻から給料を貰い、安倍首相夫妻の「使用人」として職責を果たしているとでも言うのだろうか。

 一方、森友疑惑に関しては、最高検や法務省幹部らはこれまで一貫して「法解釈からいうと、佐川氏ら財務省職員の立件は困難」との見解を示してきた(朝日、同上)。司法上層部が初めから「不起訴ありき」との見解をあからさまに打ち出すことで大阪地検に圧力をかけ、財務省の家宅捜査すらしない(できない)ままの作業が続いていた。これでは立件作業に障害が出ることは火を見るよりも明らかではないか。いわば、国家権力が総ぐるみで安倍首相夫妻の不正疑惑の解明を妨げ、「森友疑惑と関係があれば総理も議員も辞める」と啖呵を切った安倍首相を守ったのだ。こんな人物にひれ伏すことは屈辱以外の何物でもないが、「独立した人格と権力」を保障されているはずの検察までが恥知らずの行為に走ったのだから何をか言わんやだろう。

 安倍政権はこれで一連の問題に区切りをつけたい意向だという。だがこんなことで森友疑惑がお蔵入りになっては、社会正義も国家規範も死んでしまう。「安倍が通れば道理が引っ込む」ような事態が罷り通れば、世界に「国家の恥」「国民の恥」を曝すことになる。こんな(低劣で恥知らずの)人物に首相の座をいつまでも占められることなど大方の国民には耐えられないし、多くの心ある人々はどんなことがあっても彼を権力の座から引きずり降ろさなければならないと決意している。それが政治への信頼を回復させ、民主主義をまもる最低の一線なのだ。

 当面は検察審査会への申し立てから国民の反撃が始まるだろうが、それ以外にも彼らの幕引きを許さない無数の抗議行動が立ち上がるだろう。すでに、森友疑惑と双璧の(それ以上の)加計疑惑に対する新たな証拠が次から次へと発覚している。なかでも安倍首相と加計学園理事長が獣医学部設置に関して面談したと記録されている愛媛県文書は、安倍首相が「初めて知った」と国会答弁した期日のはるか以前の出来事であるだけに、首相の虚偽答弁を暴く最重要資料として浮上するだろう。なにしろ、「なかったことをあったようにウソを言った」との加計学園側の証言まで出てきたのである。「ウソにウソを重ねる」行為がどのような終末を迎えるかは歴史の多くが教えるだけに、身内の加計学園側の虚偽証言が安倍首相の命取りになる可能性は限りなく高いと言わなければならない。

 米朝首脳会談にともなう国際的緊張関係が、一時的に安倍内閣の支持率を下支えするかもしれない。日本を取り巻く安全保障体制が根本から動揺するような事態の下では、政権交代といった国内の波乱要因を避けたいとの国民心理が働くためだ。だが、米朝首脳会談が最初の障害を乗り越えた段階で国際情勢が大きく変動することも否定できない。その時は最大の圧力一辺倒の安倍政権の外交政策が「世界の孤児」になり、安倍外交の空虚な中身が暴露される時でもある。

 総選挙の噂が絶えない。新潟県知事選挙の成り行き次第では安倍内閣が総選挙に打って出るという話もあるし、それでなくても国際情勢の変化如何で総選挙を迫られる局面も出て来る。その時、野党は依然としてバラバラで戦うのか、それとも何らかの野党共闘を組むのか、その戦略的選択に直面する。安倍内閣の支持率が30%を切らないのは、安倍政権に代わる政権構想が示されないことにあるのが定説になっている以上、野党は森友疑惑と加計疑惑の追及に止まらず、次の総選挙への準備を進めなければならない。その時はもう目前に迫っている。
2018.06.03  「本日休載」

今日6月3日(日)は休載します。

リベラル21編集委員会

2018.06.02  「平和が来る」~盧武鉉元大統領9周忌追悼記念式~
          韓国通信NO558

小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人)

 盧武鉉元大統領が亡くなってから9年目の去る5月23日、生家のある慶尚南道金海市で追悼式が盛大に開かれた。
 歴代の大統領の中で長年好感度トップだった朴正熙大統領に代わって、廬武鉉が世論調査で好感度一位の座に就いた。朴正熙は娘の朴槿恵とともに嫌われ者になった。韓国社会が変わったことを実感する。
               「平和が来る」~盧武鉉元大統領9周忌追悼記念式~
 追悼式には遺家族を始め、丁世均(チョン セ ギョン)国会議長、各党代表者、朴元淳(パク ウォン スン)ソウル市長ら各地方自治体長らが市民とともに参加した。
 板門店会談から約1カ月後の追悼式。南北の融和と統一に力を注いだ盧武鉉元大統領の功績を偲んだ。
 追悼式のテーマは「平和が来る」だった。
 文在寅大統領の懸命の努力にもかかわらず米朝会談はトランプ大統領に振り回されている感がある。だが平和と統一に対する韓国国民の期待は日本人の私たちには想像できないくらい大きい。
 政治の劣化が著しいニッポンは感動のない国だ。福島を切り捨てながら『花は咲く』なんて歌は聞いていられないが、官製ながら韓国のBGM『ワン・ドリーム ワンコリア』は台湾の『反原発ソング』の次に素晴らしい。
 台湾→https://www.youtube.com/watch?v=-xZYuYQnyC8
 韓国→https://www.youtube.com/watch?v=2cKPU_GPa7w
どちらも若い歌手たちが生き生きと歌っている。何かが生まれそうな予感がある。

<「釜山始発バリ行き列車」の衝撃>
 「板門店宣言」の1-⑥には「南と北は……東海線及び京義線鉄道と道路を連結し」とある。38度線で分断されていた二つの鉄道と道路を繋ぐ意味はとてつもなく大きいことに気づく。
 北朝鮮は国際社会から孤立していると言われるが、実は地理的には韓国は半島でありながら「陸の孤島」だと今頃気がついた。鉄道と道路が結ばれると韓国はユーラシアと「繫がる」。
 追悼記念式で、李海瓉(イ へ チャン)盧武鉉財団理事長(元首相)が、「若者たちが最近一番楽しみにしていることは、列車に乗って北朝鮮と中国の丹東を経てヨーロッパに旅行に行くことだ」と語ったが、これまで夢と考えられていたことが現実になりつつある。国家の統一はまだ先としても、交通の「動脈」が繋がるだけで東アジア経済共同体の実現と繁栄が目に見えてきた。OECDは日本がGDPで韓国に追い越されると予測しているが、「戦争終結宣言」によってさらにその時期は早まると考えられる。 

<孤立を深める日本>
 北朝鮮への「制裁」だけ叫んできた日本は東北アジアで孤立する可能性が高い。「日米韓」と呪文のように唱えてきた時代は終わろうとしている。北朝鮮の脅威を利用して軍国主義に走る日本はアジアばかりか世界の趨勢から取り残される。
 世界に誇る平和憲法を持つ国として南北朝鮮の統一を積極的に支援すべきだという声が一部の政治家・財界人からあがっている。便乗的な側面は否めないが。
 トランプ大統領は戦争状態の「継続」か「解消」かによる自国の「損得」の計算で揺れている。既に北朝鮮に対する「経済支援」を巡ってアメリカと中国との確執が始まっているように見える。
 日本は「核兵器禁止条約」に反対しながら、北の核兵器廃棄声明を信用できないという。「拉致」の解決がなければ制裁の継続を主張する。しかし主体性は無い。トランプが「北との戦争も辞さない」といえば、「その通り」と応え、「北と話し合う」と言えば「支持」し、「米朝会談取りやめ」といえば「支持」するという荒唐無稽さだ。日本が今何をすべきか明らかだろう。緊張と戦争が国を富ませるという戦前の発想に安倍首相が取りつかれているなら直ちに辞めてもらう他ない。「平和が来る」という確信を韓国の人たちとともにしたい。